廃棄物資源循環学会誌
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20 巻, 3 号
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巻頭言
特集:住環境とごみ ―持続可能な住まい―
  • 山川 肇
    2009 年 20 巻 3 号 p. 92-
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
  • ――福島県南会津郡下郷町「大内宿」の事例――
    中村 恵子
    2009 年 20 巻 3 号 p. 93-100
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    福島県大内宿では,およそ300年間,江戸時代宿場町の町並み,「住まい」,生活文化を保持し続けたまま,人々は生活と生業を成立させている。1981 (昭和56) 年には,国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定された。大内宿の概要,「住まい」,江戸時代からの歴史と生活を調べ,まちづくりのキーパーソンに取材し,「持続可能な住まい」を現出させた要因を考察した。その要因は 1.収入減と情報減による江戸時代そのままの暮らし,2.日本の風土に合った建築と建て方 3.「地域コミュニティ」の仕組みである。その住み手のライフスタイルと仕組み,現在も続く「持続可能な住まい」への努力を報告する。大内宿の事例は,循環型社会,低炭素社会,自然共生社会を地球規模でめざす現在の私たちに,大きなメッセージを伝えているが,とりわけ,経済成長戦略の道具と化した日本の住政策に警鐘をならしている。
  • 松原 斎樹, 澤島 智明
    2009 年 20 巻 3 号 p. 101-107
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    日本の木造住宅の寿命が短いことはよく知られている。本稿では,住まいの寿命と建物の環境性能との関係について論じる。
    高断熱高気密住宅は,断熱・気密性能が高いという意味であって,風通しの良くない家ではないが,一般的には誤解も少なくない。本稿では,断熱気密性能の違いと住まい方の関係に関する実態調査結果を紹介する。冬期には,断熱気密性能の向上は生活の質の向上につながっているが,夏期には,必ずしも向上するとはいえない。
    また,断熱気密性能は住まいの評価基準として重要ではあるが,多くの評価基準の一つに過ぎない。住まいの寿命を長くするためには,断熱気密性能も含めた評価基準の総合的なバランスの良さが重要である。
  • 間宮 尚
    2009 年 20 巻 3 号 p. 108-114
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    世界的な環境への関心の高まりと建築部門の影響の大きさから,わが国では建築の環境性能を広範に評価するCASBEE (Comprehensive Assessment System for Building Environmental Efficiency:建築物総合環境性能評価システム) が開発され,省資源の観点では耐久性やリサイクル材,有害物質の使用等が評価されている。第三者による客観的評価・認証システムを採用することで健全な建築の普及に寄与することが望まれている。しかし,建築の寿命には物理的耐用年数だけではなく社会的耐用年数も大きく関わっており,そのことは古くから指摘されてきたが解決していない。
    社会的耐用年数を決める要因は広範で,建て替えが進む因果関係の検証に時間がかかることもあって,部分的局面を掘り下げた調査・研究はあるが,知見を集積して体系的分析に繋げることは困難である。本稿では建築の寿命に影響する因子を建て替えのトリガーとなった事象を追っていくことにより抽出し,その変遷をたどることから現代の日本が直面している建替文化の問題について概括を試みた。
  • 橋本 征二
    2009 年 20 巻 3 号 p. 115-121
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    2002年の完全施行から5年が経過した建設リサイクル法の施行状況の検討と,長期優良住宅普及促進法等の200年住宅の普及促進に関する動きについてまとめた。建設リサイクル法の施行状況の検討については,国土交通省および環境省において法制度の評価・検討を行うために設置された委員会の報告書をもとに,課題と課題解決に向けた取り組みの方向性について議論した。200年住宅の普及促進については,200年住宅の経緯や意義,実現のための要件について整理するとともに,長期優良住宅普及促進法の概要と課題についてまとめた。3Rの原則に従えば,使用済みの建設資材を再資源化するとともに,良い住宅を維持管理し長く大切に使用することにも努力を払う必要がある。重要なのは,200年住宅に象徴される長持ちする住宅には,廃棄物問題の軽減以外にも様々な意義があるという点である。私たちの生活をより豊かにするという観点で,この課題に取り組むことが必要である。
コラム
活動レポート
支部活動:九州支部の活動紹介
調査報告
  • 岩村 満, 岡村 隆成, 大津 正道, 太田 勝
    2009 年 20 巻 3 号 p. 134-141
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    八戸地域の資源循環型システムにおいて大手素材産業5社によるエコタウン事業,およびそれと関係する事業や業種でのリサイクル事業の展開により,ゼロエミッションが顕著に進行している。とりわけ,八戸セメント(株)の役割が大きいが,大平洋金属(株)などの役目も大きな比重を占める。また,本業がゼロエミッションに密接な係りをもつ東北東京鉄鋼(株)や八戸鉄錬(株)の活動も特徴的である。これらの2事業所では本業が生産―販売―回収―再生利用のリサイクルを実現している。他方,農業においてもリサイクルが進展しており,長イモの残渣,鶏糞,豚糞が肥料として再生利用されている。そして,農業では,こうしたリサイクルに八戸広域農協 (現 八戸農協) や組合が大きな役割を担っている。ただし,八戸地域の資源循環型システムにおいても大量に発生するスラグや汚泥の処理の問題が存在し,その一つの方途として,東北東京鉄鋼(株)ではスラグの削減を,八戸製錬ではスラグの用途拡大に取り組んでいる。
書評
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