廃棄物資源循環学会誌
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21 巻, 6 号
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巻頭言
特集:循環型社会,低炭素化に応える都市ごみ焼却処理―焼却研究部会特集―
  • 武田 信生
    2010 年 21 巻 6 号 p. 345-346
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/01/27
    ジャーナル フリー
  • 西谷 隆司, 山内 淳行, 永山 貴志
    2010 年 21 巻 6 号 p. 347-357
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/01/27
    ジャーナル フリー
    わが国では,経済成長が進む中で急速に増大し続ける都市ごみを適切に処理するために,焼却処理がその中心的な役割を担ってきた。しかし,資源の消費と環境の負荷への限界が意識され,社会の持続的発展が危ぶまれるに至り,それまでの社会全体のシステムの転換が迫られることとなった。各自治体においても,分別等の導入が急速に広がった。焼却ごみの量と質も,導入された分別等の施策に応じて変化することとなり,ごみ焼却施設の役割についても,システム全体の中で検討される必要がでてきた。そこで,分別等を先進的に取り組んでいる自治体でのごみ量やごみ質の変化を整理し,分別等の施策が焼却ごみにどのような影響を及ぼすのか推計した。その結果,今後10年で,焼却ごみ量は20%程度の減量となり,その組成については可燃ごみが減少するが,発熱量は8,000kJ/kg程度までの減少にとどまると見込まれた。
  • 小北 浩司, 増田 孝弘
    2010 年 21 巻 6 号 p. 358-367
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/01/27
    ジャーナル フリー
    都市ごみ処理が循環型社会・低炭素社会に貢献するためのひとつの手段として,ごみ発電があげられる。ごみ発電の総発電能力は年々向上しているものの,2008年度時点で1,615MWにとどまっており,高効率ごみ発電の導入によるさらなる総発電能力の向上が望まれている。高効率ごみ発電のひとつの手段として,広域化による施設の集約が考えられるが,一方で,広域化には地域性や制度面などのさまざまな課題もある。
    本稿では,ごみ処理の広域化に関して,ごみ発電の視点に重きを置いた望ましい姿を提示するとともに,現実面の課題の整理を試みた。また,近畿2府4県をモデル地域とし,広域化の検討を行った結果,中継輸送が必要になるものの発電量,CO2排出削減量,コストの面でメリットがあることがわかった。
  • 高岡 昌輝, 増田 孝弘
    2010 年 21 巻 6 号 p. 368-379
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/01/27
    ジャーナル フリー
    本論では,都市ごみとして排出されるごみをいかに中間処理していくのかについて述べている。最初に,焼却技術について比較的最近の高度化,先端化事例を紹介し,各技術がどこまでCO2排出削減に寄与できるのかを述べた。次に,現在の都市ごみという枠組みの中で,どのように分別し,中間処理していくことが都市ごみ処理システムの中でエネルギー,コスト面から望ましいかをLCAの考え方を適用して議論した。資源化やメタン発酵といった焼却以外の中間処理を組み合わせることで,処理コストは最大2割程度上昇するが,エネルギー消費量は最大4割程度改善し,CO2排出量はプラス側 (排出) から大きくマイナス側 (削減) に改善する結果となり,中間処理の複合化の効果を確認した。次に,現在の都市ごみの中間処理の枠組みを広げると,どのような技術システムが可能であるかを考えるため,廃棄物の枠組みの変更や処理施設の共同化・複合化によるシステムの効率を上げる試みについてレビューした。最後に中間処理残渣の資源化についての現状と今後の課題を示した。
  • 前田 洋, 山形 成生
    2010 年 21 巻 6 号 p. 380-386
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/01/27
    ジャーナル フリー
    CO2排出量を削減し地球温暖化を防止するため,新エネルギーの導入が推進されている。「ごみ発電」もその一つと位置づけられ,様々な技術開発や施設整備のための助成制度の拡充によりその高効率化が図られている。本項では,現在導入されている新エネルギー導入推進のための取り組みについて紹介するとともに,発電コストという観点から新エネルギー導入推進におけるごみ発電の位置づけと今後ごみ発電を普及させていく上での課題について述べる。
  • 西野 雅明, 近藤 守
    2010 年 21 巻 6 号 p. 387-394
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/01/27
    ジャーナル フリー
    DBO (Design Build Operation) による廃棄物処理施設整備事業が増加している。本報告では,2008年から2009年にかけて発注された主要な案件における官民のリスク分担について調査するとともに,ごみ量やごみ質の変動などが運営事業に及ぼす影響について具体の試算を行った。
    リスク分担調査において,個別のDBO案件の契約条件ではすべての案件でごみ収集責任は官が担い,発電による売電収入は民間事業者とされていた。また,ごみ量やごみ質の変動リスクについては計画の範囲内では基本的に民間事業者のリスクとされていたが,詳細条件について規定されているケースは少なかった。
    一方,ごみ量やごみ質の変動が運営事業に及ぼす影響を試算した結果から,ごみ質 (発熱量) が10%増加した場合には運営事業費はほとんど変化しないが,10%減少した場合は約8%悪化し,ごみ量が15%減少した場合には運転パターンにより7~12%悪化することがわかった。また,これらの悪化の主要因は,売電収入の減少および助燃用燃料費の増大によるものであった。
    リスク分担の現況および試算結果を踏まえ,持続的な運営事業実現に向けたいくつかの提案を示した。
    安定した運営事業実現のためには,具体の運営事業において官民協力して想定されるリスクの程度を把握し,解決策を見出していかねばならない。
  • 古林 通孝, 安田 直明
    2010 年 21 巻 6 号 p. 395-403
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/01/27
    ジャーナル フリー
    都市ごみ焼却施設の発電量向上策の一つの考え方として,窒素酸化物自主規制値緩和を取り上げ,窒素酸化物排出濃度の違いによる周辺環境への影響の度合いと,期待される発電増加量や温室効果ガス削減効果について整理した。
    都市ごみ焼却施設からの窒素酸化物排出濃度は,触媒脱硝装置などを採用しなくても,100~120ppm程度が期待される。そこで,簡易な大気拡散計算により,国内の建設予定施設の周辺地域の大気環境濃度を推算したところ,排出濃度が50ppm (触媒脱硝装置を採用) から120ppm (触媒脱硝装置を不採用) に緩和されても,二酸化窒素の環境基準に対して,1~4%程度の増加にとどまることが推測された。また,施設規模150ton⁄day×2炉の都市ごみ焼却施設について,自主規制値が50ppmから120ppmまで緩和されると,発電量として2,205MWh⁄年の増加が見込め,この発電増加量は1,237ton⁄年の二酸化炭素削減量に相当することが推察された。
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