私たちの生活において衣類は必要不可欠なものである。衣類は嗜好性の強い製品であるため,デザインや機能に比べ,その環境側面に注意を払う生産者,消費者は限られていた。また,日本では毎年約200万tonの使用済み繊維品が排出されているものの,そのリサイクル率は約11%にとどまっている。その一方で,政府は京都議定書の温室効果ガス削減目標を達成するためのひとつの方策として,ライフサイクルを通して排出される環境負荷を可視化する取り組みを始めた。
本稿では環境負荷を定量的に評価する指標であるライフサイクルアセスメント (Life Cycle Assessment:LCA) に着目し,衣類に関する既往文献をレビューし,その現状および課題を抽出した。今後,衣類のLCAが普及し活用される上で,その実施を助ける高い品質のバックグラウンドデータの整備が求められ,そのために既存のデータの精査およびカーボンフットプリント等による新たなデータの収集,分析が必要になる。
最後に,LCAで評価した環境負荷を購入時の判断に利用する方策として環境効率の導入を検討した。
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