廃棄物資源循環学会誌
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22 巻, 6 号
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巻頭言
特集:金属資源の物質フローとリサイクル・廃棄物管理―物質フロー研究部会特集―
  • 岡部 徹, 野瀬 勝弘
    2011 年22 巻6 号 p. 403-411
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/12/26
    ジャーナル フリー
    金属鉱物資源,特にレアメタル鉱物は,何万年,何億年とかけて,きわめて特殊な自然現象により,偶然にも地表近くに濃縮された,地球がもたらした奇跡 (Miracle of the Earth) の産物である。地球科学的に特異かつ希少な現象によって生成したレアメタル鉱石の本質的な価値 (Value of Nature) はきわめて高い。しかし,現在の社会システムでは,レアメタルの本質的な価値についてはほとんど評価されることなく,鉱山開発や採掘・製錬に伴う経済的なコストのみが評価されている。一方,経済性を追求するあまり採掘に伴う環境破壊コストや製錬時の環境汚染コストは発生しても計上されない場合もある。また,製品の素材として利用した後は,リサイクルのコストがかかるため,循環利用せずに廃棄されるレアメタルが多い。本稿では,Value of Natureという概念を導入して,レアメタル資源の物質フローに関する中長期展望について述べる。
  • 浅利 美鈴, 丸川 純, 酒井 伸一
    2011 年22 巻6 号 p. 412-425
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/12/26
    ジャーナル フリー
    日本における使用済み小形電池の回収方法とその実態を把握し,回収・リサイクル検討に向けた基礎的知見を得ることを目的に,小形電池の回収率を推定した後,使用済み小形電池に関する自治体収集分類等に関する調査,消費者アンケート,小型家電製品からの小形電池取り外し実態調査を行った。
    その結果,日本における小形電池の回収率は26%と推定され,特に二次電池等は低く,欧州各国と比較しても,向上の余地があると考えられた。また,自治体における収集分類等は,自治体および電池間で統一されておらず,必要な情報発信も不十分と考えられた。小型家電製品からの小型電池取り外し実態に関する調査からは,特に二次電池を利用する小型家電製品について,ほとんど電池が取り外されずに捨てられていることが明らかとなった。これらの背景としては,アンケート調査より消費者の情報・認知不足や負担感が示唆され,検討を要する点が抽出された。
  • 中條 寛
    2011 年22 巻6 号 p. 426-436
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/12/26
    ジャーナル フリー
    金属資源の安定的利用を図るための方策の一つにリサイクルがあり,その際重要となるのが国内に既に存在するストックとしての「都市鉱山」である。マテリアルフローモデルを用いた試算では,たとえば,コバルトは6年分,タングステンは7年分,ネオジムは5年分程度が市中の製品中に含まれた形でストックされている。分散的な一次処理 (前処理=濃縮) と備蓄のシステムなどを組み合わせることで,有用資源を含む使用済み製品等を活用して,新たな資源を輸入せずとも定常的に資源を使い回していく社会に近づけることができる。一方,人間1人に必要とされるベース金属の資源量は,経済発展レベルに応じて増加するが,究極的には一定の値に落ち着く傾向にある。これに基づき,地球規模でみて人類に必要となる金属資源量を推計し,埋蔵資源量と比較することで,どんなタイミングでどのようなリサイクルレベルが必要とされるかの示唆を得ることができる。
  • 木村 正伸, 吉田 勝利, 谷津 龍太郎
    2011 年22 巻6 号 p. 437-447
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/12/26
    ジャーナル フリー
    現在,アジアにおいては経済成長・人口増加により廃棄物の発生量が急増しており,適正処理が追いつかず,環境汚染が発生している事例が報告されている。一方,日本では廃棄物処理・リサイクルの法制度が整備され,先進的技術の開発が進展してきたが,静脈産業の国内市場の成長には限界がある。
    こうした背景から,環境省では,2011年度より「日系静脈産業メジャーの育成・海外展開促進事業」を開始し,わが国の先進的な廃棄物処理・リサイクル技術をこれら技術の導入を支える廃棄物処理・リサイクル制度とパッケージとして,わが国静脈産業の海外展開を支援することにより,世界規模で環境負荷を低減するとともに,日本経済の活性化にも貢献することとしている。具体的な事業内容として,基盤戦略の策定,実現可能性調査等への支援,情報基盤の整備,関係者によるフォーラムの開催等を行っている。
  • 吉田 勧
    2011 年22 巻6 号 p. 448-452
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/12/26
    ジャーナル フリー
    DOWAグループは1884 (明治17) 年の創業以来,秋田県小坂鉱山等での鉱山事業を経て,現在は,製錬,電子材料,金属加工,熱処理,および環境・リサイクルの事業を行っている。中でも,環境・リサイクル分野では電気電子部品工場等から発生する廃電子部品等を乾式・湿式処理し,多種類の有価金属を回収したり,産業廃棄物や一般廃棄物の焼却処理,中和処理,混錬処理といった中間処理,および最終処理を行っている。また,近年では中国の複数の都市に家電リサイクル会社を設立した他,東南アジア3ヶ国にも進出するなど,日本・中国・東南アジアでトータルな環境事業を開始している。
    また,非鉄金属資源のうち銅に着目し,国内外のマテリアルフローを調査した結果,わが国の天然の銅資源は海外に強く依存している一方で,使い終わった製品に含まれる銅分はリサイクルされず,多くが海外に流出しており,資源確保の面において問題であること等を指摘した。
  • 林 庄作
    2011 年22 巻6 号 p. 453-456
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/12/26
    ジャーナル フリー
    三菱マテリアル(株)では,グループ会社も含め,銅の一次製錬業を実施する中で,電子基板類等の金属スクラップや自動車シュレッダーダスト等の産業廃棄物を有効にリサイクルしている他,鉛や錫,ITO等のリサイクル事業も実施し,資源循環型社会の構築に貢献している。ここでは,当社で開発した三菱連続製銅法をベースとした銅製錬操業におけるリサイクル事業の現状について解説する。
調査報告
  • 戸井 朗人
    2011 年22 巻6 号 p. 457-463
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/12/26
    ジャーナル フリー
    循環型社会の形成に向け,プラスチックのより高度かつ効率的なリサイクル実施のための基本的データを得るため,わが国におけるプラスチック全体のマテリアルフローについて,プラスチックを使用する主要な製品ごとの使用量等からの積み上げを行い,全体としてのプラスチック使用量および排出量の推計を行った。その上で,容器包装について,容器包装リサイクル法の対象であるプラスチック製容器包装の家庭からの排出量を推計した。さらに,家庭から廃棄されるプラスチック製容器包装の形状ごとの構成を推計した。
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