廃棄物資源循環学会誌
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22 巻, 2 号
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巻頭言
特集:国際物質循環:資源性と有害性
  • 本多 俊一
    2011 年 22 巻 2 号 p. 117-124
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/02/21
    ジャーナル フリー
    わが国は,バーゼル条約に加盟後,国内の関連法に基づく有害廃棄物の越境移動管理だけでなく,バーゼル条約締約国会合の決議に基づくさまざまな国際的な活動に関わってきている。特にアジア地域に関しては,わが国のイニシアティブによる有害廃棄物の不法輸出入防止対策や電気電子機器廃棄物 (E-waste) の環境上適正な管理等の活動について,域内のバーゼル条約締約国やバーゼル条約地域センターと連携して行っている。こうした活動はアジア地域全体の有害廃棄物管理に対する管理能力の向上等に貢献しており,域内の締約国における有害廃棄物の環境上適正な管理構築に向けた各種国内活動を支えている。さらにわが国はアジア地域内のみならず,バーゼル条約締約国会合の決議に基づくグローバルなプログラムに対しても主要国として参画している。本稿はバーゼル条約におけるわが国の取り組みについて紹介する。
  • 寺園 淳, 林 廣和, 吉田 綾, 中谷 隼, 森口 祐一
    2011 年 22 巻 2 号 p. 125-139
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/02/21
    ジャーナル フリー
    国内の使用済みPETボトルリサイクルは原料の市場価値の変動によって大きな影響を受けており,安定的で持続可能なリサイクルが求められている。本論文では,貿易統計や中国での現地調査によって,PETボトルの国内外マテリアルフローと中国における廃プラスチックリサイクルの概要を把握し,課題を議論した。まず,国内における使用済みPETボトルのマテリアルフローを検討した結果,廃PET輸出量40万ton (2009年度) はその半分程度しか由来を説明できず,国内フロー全体を再検討する必要性を指摘した。次に,日本・中国・香港の間の廃プラスチックの貿易量を分析した結果,日本からの廃PETは対中国直接輸出が増加して30万ton (2009年) となっている。さらに,中国における現地調査の結果,輸入された廃PETはフレーク化やペレット化までを実施する施設が多く,製品製造は別施設で実施されていた。洗浄排水の処理は残渣の処分とともに,環境配慮面の課題としてあげられる。
  • 小島 道一
    2011 年 22 巻 2 号 p. 140-147
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/02/21
    ジャーナル フリー
    バーゼル条約の発効した1992年から19年,先進国から発展途上国への有害廃棄物の輸出を禁止するBan改正案の採択から16年が経とうとしている。この間,有害廃棄物の輸出入をとりまく状況は大きく変化してきた。資源価格の高騰から,廃棄物を資源として利用する意味の重要性が高まっている。また,一部の途上国で有害廃棄物の処理・リサイクル施設の整備が進み,先進国と途上国を二分して,規制の枠組みを考える意味が失われてきている。適正処理・リサイクル施設の状況,不適正なリサイクル業者の存在などを考慮に入れながら,廃棄物を資源として有効利用していくため,バーゼル条約を中心とする越境移動の規制についての見直しを行う必要が出てきている。実際に越境移動の規制見直しを行うためには,締約国会議等で上記のような問題意識を各国からの参加者が共有できるかが重要であると思われる。
  • ――3Rイニシアティブの国際展開の経験に基づいて――
    堀田 康彦
    2011 年 22 巻 2 号 p. 148-158
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/02/21
    ジャーナル フリー
    2005年の3Rイニシアティブの発足以来,日本政府はアジア各国での廃棄物管理・3R政策の形成に向けて,さまざまな支援や政策対話を実施してきた。アジア各国でも,廃棄物管理および資源循環に関連した法制度・政策の形成が進展してきている。その一方で,そうした政策の実施や制度の運用 (すなわちガバナンス) でさまざまな課題が存在している。アジア各国での3R・資源循環政策の充実,ガバナンスの改善に必要な優先課題を議論し,それに取り組む上で,静脈経済の発展段階に沿ったアプローチの必要性を仮説的に論じた。その上で,アジアでの国際的な政策連携を視野に入れた上で,拡大生産者責任政策を例として,アジアにおける持続可能な資源循環へ向けた段階別アプローチのあり方について検討・提案を試みた。
  • 梶原 夏子, 滝上 英孝
    2011 年 22 巻 2 号 p. 159-168
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/02/21
    ジャーナル フリー
    臭素系難燃剤の一種であるポリ臭素化ジフェニルエーテル (PBDEs) は電気・電子機器の筐体や室内装飾材など幅広い製品に使用されてきたが,その蓄積性や潜在的な毒性の高さから国際的に規制が強化されている有害物質である。近年,使用済みテレビやパソコン等の電気・電子機器廃棄物 (E-waste) の先進国から途上国への輸出と,途上国におけるE-wasteの不適正なリサイクル・廃棄処理に伴うPBDEsおよびその関連物質による環境汚染の拡大が懸念されている。本稿では,不適正なE-waste処理に伴うPBDEs汚染の現状,とくにPBDEs汚染が顕在化しているアジア途上国での実態と今後解決すべき課題について,最近の知見や情報を踏まえながらまとめた。
  • 高橋 真, Nguyen Minh Tue, Pham Hung Viet, 田辺 信介
    2011 年 22 巻 2 号 p. 169-179
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/02/21
    ジャーナル フリー
    ベトナム北部のE-waste処理地域等から採取したヒト母乳・ダスト・大気試料を対象に,ポリ臭素化ジフェニルエーテル (PBDEs) 等の臭素系難燃剤やポリ塩素化ビフェニールを測定し,その曝露実態を評価した。ダスト試料に関してはin vitroバイオアッセイによるダイオキシン様活性の測定や関連物質の分析を実施した。E-waste処理地域の住民や処理作業従事者の母乳からは,高濃度のPBDEsが検出された。母乳中PBDEs濃度はE-waste処理作業の従事年数に伴って増加する傾向が認められた。臭素系難燃剤の1日あたり取込量を推計したところ,E-waste処理地域では都市域よりも明らかにPBDEsの取込量が多く,特に小児の取込量は成人の約2倍に達することが示された。E-waste処理地域のダスト試料では高いダイオキシン様活性が認められ,臭素化ジベンゾフランや未知のAhRアゴニストの活性寄与が示唆された。
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