ベトナム北部のE-waste処理地域等から採取したヒト母乳・ダスト・大気試料を対象に,ポリ臭素化ジフェニルエーテル (PBDEs) 等の臭素系難燃剤やポリ塩素化ビフェニールを測定し,その曝露実態を評価した。ダスト試料に関しては
in vitroバイオアッセイによるダイオキシン様活性の測定や関連物質の分析を実施した。E-waste処理地域の住民や処理作業従事者の母乳からは,高濃度のPBDEsが検出された。母乳中PBDEs濃度はE-waste処理作業の従事年数に伴って増加する傾向が認められた。臭素系難燃剤の1日あたり取込量を推計したところ,E-waste処理地域では都市域よりも明らかにPBDEsの取込量が多く,特に小児の取込量は成人の約2倍に達することが示された。E-waste処理地域のダスト試料では高いダイオキシン様活性が認められ,臭素化ジベンゾフランや未知のAhRアゴニストの活性寄与が示唆された。
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