廃棄物資源循環学会誌
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23 巻, 3 号
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巻頭言
特集 循環型社会を育むおもちゃ
  • ――こどもの発達と玩具での遊び――
    西本 望
    2012 年 23 巻 3 号 p. 180-189
    発行日: 2012年
    公開日: 2019/01/16
    ジャーナル フリー
    玩具 (おもちゃ) は,こどもの情緒的・認知発達において重要な役割を担っている。本稿では循環社会という視点において,玩具にどのような意味があるのかを論じる。
    こどもが玩具の最初にかかわる時期においては,おとな (たとえば親や教師など) がものの大切さやもののリサイクルの必要性を伝えることが有効となる。愛着が親子関係から仲間関係へ移行しはじめる前に,ぬいぐるみ玩具が喪失体験を補うものとして知られている。これらのものは,おとなになってもストレス解消の安定剤として玩具の秘められた機能である。模倣遊びの時期になると,玩具として廃物の利用が行われるようになる。幼児・児童期に保育・教育活動で廃品・廃物を取り入れた遊びをすることで,そのこどもが後に日常生活で物を再利用する可能性を高めることの一助となりうる。そのため廃品・廃物の提供者は廃品・廃物を活用する知識を必要とする。
    一方,障がい児を含めたあらゆるこどもに対する玩具としては,追加機能がある玩具を設定したりするなど,個々人に適するように容易に改造可能し,すべての人が利用できることが求められるであろう。
  • 馬場 清
    2012 年 23 巻 3 号 p. 190-197
    発行日: 2012年
    公開日: 2019/01/16
    ジャーナル フリー
    東京おもちゃ美術館で行っている木育事業は多岐にわたる。その目的は2つある。ひとつは木のもつ特質を活かして子どもたちの豊かな発達や大人の癒やし効果を保障していくこと。もうひとつは木や森に関心を持ち,循環型社会の構築に向けて,自ら考え行動する市民になること。そのためにもまずは「木のおもちゃ」と接する機会を多くし,木を好きになり,そこから木を暮らしに取り入れ,木や森に関心をもつようになることが大切である。こうした市民を育てるためにさまざまな働きかけを行うことで,一人でも多くの人が,賢い消費者に育ち,ひいては森林の持つ多面的機能が発揮されることにつながれば,循環型社会の構築への第一歩となると考えている。
  • 嶋田 弘史
    2012 年 23 巻 3 号 p. 198-201
    発行日: 2012年
    公開日: 2019/01/16
    ジャーナル フリー
  • 前畑 謙次
    2012 年 23 巻 3 号 p. 202-205
    発行日: 2012年
    公開日: 2019/01/16
    ジャーナル フリー
  • ――遊びの中で育まれる,リユースのこころ――
    伊藤 真理, 白戸 渓子, 鈴木 榮一, 青海 万里子, 齋藤 友宣
    2012 年 23 巻 3 号 p. 206-215
    発行日: 2012年
    公開日: 2019/01/16
    ジャーナル フリー
    《かえっこ》は,美術家の藤浩志氏が発案した,おもちゃを循環させる仕組みをもつ買い物遊びである。
     《かえっこ》の開催会場では,子どもたちが持ってきた 「使わなくなったおもちゃ」 を《かえっこ》のこども通貨 「カエルポイント」 で買い取る。子どもはその 「カエルポイント」 で会場にある 「誰かが持ってきたおもちゃ」 を買い,持ち帰ることができる。
     《かえっこ》が単純な物々交換ではなく,法定通貨の使用も伴わないこと,さらにイベントの趣旨に合わせたお手伝い体験やワークショップ体験などを,主催者が自由に組み合わせてカエルポイントを発行できる仕組みになっていることなどが魅力になり,全国にその開催者を増やしている。
     本稿では主に環境活動・環境教育として《かえっこ》を開催している施設・団体から,その開催の様子や《かえっこ》の有効性とその広がりについて報告してもらい,さらに《かえっこ》から見える日本のおもちゃの廃棄事情などにも触れたい。
  • 村上(鈴木) 理映, 村上 進亮
    2012 年 23 巻 3 号 p. 216-229
    発行日: 2012年
    公開日: 2019/01/16
    ジャーナル フリー
    携帯電話は,単なる 「通話の道具」 であったところにさまざまな機能が加わって 「便利な多機能ツール」 に発展し,さらに 「おもちゃ」 としての側面も兼ね備えたものに進化した。そのため携帯電話は,通話機能を使用しなくなった後にも,その他の機能を目的に二次利用され,結果としてデジタルカメラ等の消費財を代替している。このことは,資源利用量の抑制と,使用済み製品の排出抑制につながっている。他方で,携帯電話等からの資源回収も,資源利用量の抑制につながるが,二次利用すらされぬまま退蔵されている端末も多い。
     そこで,退蔵された小型家電からの効率的な資源回収を目指し,自治体等が小型家電を回収して,認定事業者が資源回収する法制度が検討されている。また,国内外で中古端末や部品リユースのビジネスも徐々に拡大しており,携帯電話の多機能化は,携帯電話の3Rに影響を与えているといえるが,不正利用や模造品製造などの課題も残されている。
  • 貴田 晶子
    2012 年 23 巻 3 号 p. 230-238
    発行日: 2012年
    公開日: 2019/01/16
    ジャーナル フリー
    おもちゃの安全性の基準について,国内外の情報をまとめた。日本では主に3つの法律が関係している。食品衛生法は,幼児が口にする可能性のある製品に対する化学物質の基準を定めている。食品衛生法が,摂食のリスクを考えているのに対して,電気用品安全法や消費生活用品安全法では,身体への傷害を防ぐ目的で製品がつくられていることを保証するものである。電気製品としての玩具や遊具について規格基準を決め,それぞれPSEマーク,PSCマークを安全基準適合製品として認定している。(社)日本玩具協会は,国内外の安全性評価を取り入れた安全基準を設けており,適合製品にSTマークを認証している。国際的なおもちゃの安全性に関する規格基準として,ISO1824シリーズがあり,これは①機械的・物理的特性,②可燃特性,③化学特性についての基準を設けている。このもととなったのは欧州基準,EN71シリーズである。対象となるおもちゃの使用年齢,対象物質が,それぞれの地域で異なっている。有害化学物質として,日本の食品衛生法ではカドミウム,鉛,フタル酸エステル類が,欧州基準および国際基準では8種の重金属類が,また米国基準では鉛とフタル酸エステル類が取り上げられている。またおもちゃの使用年齢上限について,日本,欧州,アメリカで,それぞれ,6歳 (食品衛生法),14歳,12歳と異なっている。2007年に中国製品のマスリコールが生じたことにより,おもちゃの安全性規格の国際的な整合の必要性の機運が高まっている。日本では,国際規格にある3種の安全性に関する特性は,異なる省で規制しており,おもちゃの安全基準は統合的ではない。製造が中国,発売元が世界の各国というおもちゃ市場では,国際的な安全性基準が適用されることが望ましい時代になっている。
技術報告
  • 八太 昭道
    2012 年 23 巻 3 号 p. 239-243
    発行日: 2012年
    公開日: 2019/01/16
    ジャーナル フリー
    高速道路用地内で生育する樹木・草は,道路環境維持のため日々刈り取り・除去されているが,その量は膨大である。道路の維持管理で発生した剪定枝・刈草等の植物類 (以下,植物発生材という) の処理方法として,主として堆肥化プラントが採用されてきた。このたび新しい試みとして植物廃材の熱分解発電プラントが採用されることとなり,その実証実験プラントが東日本高速道路(株)の東北自動車道那須高原サービスエリアに建設された。
     本プラントは,廃棄物処理法では 「一般廃棄物の熱分解施設」 に区分される廃棄物の中間処理施設であるが,プラントエンジニアリングの立場から見ると,化学反応によって原料から有用な物質を製造する化学プラントの一種であり,実際その技術開発過程は石油化学プラントのそれと類似している。
     本技術報告は,本プラントの開発過程を,1.実験装置 (ベンチスケールプラント) 2.試験装置 (パイロットプラント) 3.実証装置 (テストプラント) 4.商用装置 (コマーシャルプラント) の4段階に区分してその概要を述べたものである。
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