廃棄物資源循環学会誌
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26 巻 , 6 号
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巻頭言
特集:リサイクルを成長産業とするための戦略
  • 酒井 崇行
    2015 年 26 巻 6 号 p. 430-439
    発行日: 2015/11/30
    公開日: 2021/06/14
    ジャーナル フリー
    わが国ではこれまで,大量生産・大量消費・大量廃棄型から循環型へと経済システムを移行させていくためのリサイクル制度等を順次整備してきており,また,リサイクル技術開発や 3R 設備導入等,事業者の取り組みへの各種支援も講じてきたところである。当初の目的である廃棄物対策で一定の成果は得られており,各制度を支える形で,リサイクル関連産業の成長や雇用の創出にも繋がったといえる。
     今後,人口減少や産業構造の変化等により国内の事業環境の厳しさが増す一方,新興国の経済成長に伴う廃棄物処理・リサイクルへの需要の増加や,欧州の資源効率政策といった国際動向も見据えれば,わが国のリサイクル関連産業にとって多くのビジネスチャンスも存在している。リサイクル産業をわが国の今後の成長産業として振興していくため,新興国需要の取り込み,再生材需要の拡大,動脈産業との連携,新たなビジネスモデルの創出等といった方向性について検討する。
  • 林 孝昌
    2015 年 26 巻 6 号 p. 440-448
    発行日: 2015/11/30
    公開日: 2021/06/14
    ジャーナル フリー
    本稿では,業界や政策動向に加え,定量・定性的なデータを用いた分析を基にした著者の知見を踏まえて,わが国のリサイクルビジネスの将来展望を検証する。
     まず,これからのリサイクルビジネスは「大規模化」する。自治体財政逼迫や高度な再資源化へのニーズの高まりに応じて,許認可や業態の壁を越えた広域処理やリサイクルを担う主要事業者に求められる事業規模は拡大する。
     次に,リサイクルビジネスは「低炭素化」する。エネルギー特別会計予算の規模拡大や,グローバル社会の要請を受けて,資源循環がもたらす低炭素化効果の定量的な把握が求められている。結果,競争力強化にも資する低炭素化の動きは加速する。
     最後に,リサイクルビジネスは「グローバル化」する。少子高齢化の進展を背景とした成長には海外市場獲得が不可欠となる。アジア諸国等の経済成長,現地環境・衛生ニーズの高まりとわが国事業者の大規模化はグローバル化進展の後押しとなる。
  • ――排出事業者責任の限界と資源循環ビジネスの可能性 ――
    佐藤 泉
    2015 年 26 巻 6 号 p. 449-459
    発行日: 2015/11/30
    公開日: 2021/06/14
    ジャーナル フリー
    現在の廃棄物の処理及び清掃に関する法律 (以下,廃棄物処理法) は,一般廃棄物と産業廃棄物の区分による処理責任の明確化,排出事業者責任および処理業者への規制強化という観点から,不適正処理および不法投棄防止の対策を進めてきた。しかし,このような硬直的規制は,排出事業者に大きな負担となっていることに加え,資源循環を阻害する側面がある。循環型社会形成推進基本法が,循環資源という概念のもとに資源循環を促進しようとしている点を,廃棄物処理法に反映することが必要である。資源循環を進めるうえで,排出事業者と処理業者の双方にとって「使い勝手のよい」「安全・安心」な法律が求められているのである。そこで,廃棄物処理法が専ら物について,循環資源として規制緩和を行っている点をもとに,専ら物の範囲を明確化するとともに拡大し,さらに再生事業者登録制度を活用し,処理基準の強化等を取り入れて,優良な資源循環ビジネスを育成する法制度のあり方を検討する。
  • 竹ケ原 啓介
    2015 年 26 巻 6 号 p. 460-468
    発行日: 2015/11/30
    公開日: 2021/06/14
    ジャーナル フリー
    持続可能な社会の実現に向けて資金の流れを変える「環境金融」が関心を集めている。これをリサイクルビジネスとの関係でみれば,一義的には,環境ビジネスへの投融資に伴うリスクアセスメント等を通じ,ビジネスモデルの強化に貢献する直接的な関与の強化が期待される。このビジネスに直接の接点をもつリースが,近年,3R 関連サービスの高度化を通じた差別化に注力しているのも,その一環といえる。また,金融の新たな役割として注目される「非財務的価値」に着目した企業評価も,ユーザーである排出企業の行動に影響し,高度な 3R サービス指向を高めるなどの形で,リサイクルビジネスの強化に間接的に貢献する可能性がある。長期的には,循環型社会の進展が銀行のビジネスモデルそのものを変化させる可能性が指摘されるなど,今後,3R と金融との接点は多面的に拡大していくことが予想され,これを双方に有意義なものに発展させていくための努力が求められる。
  • 黒田 武志
    2015 年 26 巻 6 号 p. 469-473
    発行日: 2015/11/30
    公開日: 2021/06/14
    ジャーナル フリー
    リネットジャパン (株) は,2014 年 1 月に小型家電リサイクル法の全国認定を取得し,インターネットと宅配便を活用したパソコン・小型家電の回収を全国展開している。また自治体と積極的に連携し,官民連携した取り組みとして成果を上げている。特に 2015 年 5 〜 6 月に実施した京都市とのパソコン無料回収の実証事業では,2 カ月間で全世帯の 1 % に相当する利用数があったことから宅配便回収の有効性が示された。
  • 今井 佳昭
    2015 年 26 巻 6 号 p. 474-485
    発行日: 2015/11/30
    公開日: 2021/06/14
    ジャーナル フリー
    2001 年 1 月に「循環型社会形成推進基本法」が完全施行された。わが国は,循環型社会の形成を目指し,企業活動等に伴い発生する多種多様な廃棄物を,安全かつ総合的に,きっちりと後始末 (処理および再資源化) できる廃棄物処理業と資源リサイクル業が一体となった静脈産業の誕生を期待した。あれから 15 年たったが,まだ発展途上の状態である。
     静脈産業は,動脈産業と一心同体,表裏一体の関係でありステークホルダーでもある。人口減少や高齢化社会の到来が明らかになった今,多くの動脈産業は経済成長が期待されるアジア地域へ生産拠点を移転しはじめた。そして静脈産業も製造産業のパートナーとしてアジア地域を市場として意識せざるをえなくなった。アジア地域には欧米のリサイクルメジャーが既に進出している。国内の静脈産業が将来,市場を争う相手は,欧米のリサイクルメジャーであることはほぼ間違いない。欧米のリサイクルメジャーと比肩できる企業を作り上げる必要がある。今こそ,日本発! リサイクルメジャーを作りあげるときである。
  • 藤吉 秀昭, 滝澤 元
    2015 年 26 巻 6 号 p. 486-498
    発行日: 2015/11/30
    公開日: 2021/06/14
    ジャーナル フリー
    廃棄物分野の産業の海外展開は最近に始まったことではない。まずは汚水処理分野の浄化槽や医療廃棄物用の小型焼却炉が消極的に売り出されてきたが,安い外国製の製品に負けている。本報ではわが国の循環産業がアジアへの展開を狙った場合,何が必要かを論じる。そのための必要情報としてアジアの経済発展の状況とごみ発生量の増加を示したうえで,そのごみを処理する市場がどのように増えるのかを示す。そのアジアで大型ごみ焼却発電の発注が少し出てきているが,その事業スキームがどのようなものか,日本国内の自治体発注とどのように違うのかを示す。その上で,環境省の循環産業海外展開の戦略を踏まえて,今後循環産業がアジアでその優位性を発揮していくにはどのような戦略が必要なのかを論じ,民間の海外展開戦略を支援する都市間連携の重要性,その都市の発注事務を手伝うわが国のコンサルタントの国際化が重要あることを示す。
廃棄物アーカイブシリーズ/『ゴミ戦争』の記録
平成27年度廃棄物資源循環学会第2回セミナー報告
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