本稿では,ダイオキシン類の微生物分解と植物による吸収に関する知見を概説した。
Dehalococcoides 属等の嫌気性細菌は,脱ハロゲン呼吸によって,塩素置換数の多いダイオキシン類を脱塩素化することができる。
Sphingomonas 属,
Pseudomonas 属,
Burkholderia 属等の好気性細菌には,主に共代謝によって塩素置換数の少ないダイオキシン類を分解できるものがいる。白色腐朽菌は,P450 と細胞外に分泌するリグニン分解酵素群によってダイオキシン類を分解することができる。ウリ科植物は,ダイオキシン類を土壌から吸収し,茎や葉に蓄積することができる。また,ダイオキシン類に汚染された土壌の環境負荷の少ない浄化方法として,植物−微生物系によるリゾレメディエーションが有望である。
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