廃棄物資源循環学会誌
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30 巻 , 6 号
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巻頭言
特集:太陽光発電設備の廃棄・リサイクル・リユースの動向
  • 佐川 龍郎
    2019 年 30 巻 6 号 p. 365-370
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/11/30
    ジャーナル フリー
    太陽光発電設備は,地球温暖化対策やエネルギーセキュリティ向上への期待から,1990 年代から増加しはじめ,2009 年の RPS 制度 (再生可能エネルギー利用割合基準制度) を経て,2012 年の全量固定価格買取制度 FIT 制度) によって,大幅に導入が進んだ。現時点では,使用済み太陽光パネルはリユース可能なものが多く,またリユースがされない場合も,アルミ製の外枠や発電部位に使用されている銀等の有用金属が回収可能である。他方,ガラスとその他との分離の難しさや,透光性を高めるためにガラスに使われている消泡剤,耐候性を高めるために用いられているバックシート部分の特殊な樹脂等により,リサイクルは容易ではない。2030 年代には排出が増加することが予想されているほか,既に施工不良や災害等で排出が始まっている。3R 原則にのっとり,リユース,リサイクル,適正処理がなされるように対策を講じていく必要がある。
  • 村上 進亮, 豊田 晟史
    2019 年 30 巻 6 号 p. 371-378
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/11/30
    ジャーナル フリー
    2015 年のパリ協定の採択以降,ますます重要になる再生可能エネルギーの利用促進であるが,これら設備のリサイクル・廃棄物処理に関しては依然その準備は不十分だといわざるをえない。その要因の一つが,実際にはどの程度の量がいつ発生するかがわからないという将来予測の難しさにある。本稿ではその難しさの原因を明らかにする目的で,そもそもどのような要因から使用中の太陽光パネルが使用済みとなるのか,そしてどのような変化が社会で起きた際にその行く先のフローやそのタイミングが変化するのかを整理する。その結果を踏まえ,われわれが今後使用済み太陽光パネルの処理に対してすべきことをまとめる。現時点では,入手可能な情報をまとめ今後の発生に備えること,また多様な発生シナリオが想定されることから,これらに対応可能な社会システム設計について早めに産官学すべてのステークホルダーが共同して取り組むことが重要である。
  • 小野 広弥, 石塚 隆記, 白鳥 寿一
    2019 年 30 巻 6 号 p. 379-386
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/11/30
    ジャーナル フリー
    著者らが理解している限り,日本には,太陽光発電モジュール (PV モジュール) の廃棄物管理に関するシステムがない。将来の大量廃棄が懸念されるが,現在は発生量が少ないため,民間が廃棄物管理を業として成り立たすことはできていない。また,制度も明確に決められてはいない。筆者らは,この問題に対して,日本特有の状況を解析した。その結果,PV モジュールの発生イベントに応じて異なる対応が必要となることなどを整理した。以上を受けて,PV モジュールの持続可能な廃棄物管理に向けて,高圧 (50 kW 以上)・低圧 (50 kW 未満) の両方の太陽光発電所への対応を考えた収集システムと災害時の突発的な発生に関する施策を実行に移してきている。さらに,リユース・リサイクルについても,経済的に実現可能な最良利用技術 (EVABAT) を以って行うことのできる体制の構築を目指している。本稿では,これまでの取り組みの概要と今後の展望を述べる。
  • 野田 松平
    2019 年 30 巻 6 号 p. 387-392
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/11/30
    ジャーナル フリー
    太陽光発電設備の大量導入が進み,寿命に到達して大量のパネルが廃棄されはじめるとされる2030 年代が来る前に,九州では 2020 年度に点検・保守により交換される廃棄パネルが年間約 200 ton (2 MW に相当) に上ると推計されている。われわれは,その廃棄パネルのリサイクルを推進すべく,2018 年「福岡県太陽光発電 (PV) 保守・リサイクル推進協議会」を設立し,廃棄パネル回収システムを含む「廃棄パネルリサイクルシステム」の構築を始めた。現在,クラウドを通して会員間で情報を共有し,IoT を活用した効率的回収を目指す「スマート回収支援システム」を開発中である。実証試験により本システムの有効性を確認した後,2020 年度には電子マニフェストとの連携も可能とし,本システムの充実化を図る。ここで重要なことは,本リサイクルシステムの持続性であり,そのためには前記協議会が自立して持続可能な機関になる必要があり,並行して自立化のための独自技術開発を始めたところである。
  • 瀬川 昇
    2019 年 30 巻 6 号 p. 393-402
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/11/30
    ジャーナル フリー
    再生可能エネルギーのなかでその中核をなす太陽光システムの発電量は,経済産業省のエネルギー政策において全体の 7 % に上っており,太陽光システムの社会的な必要性は常態化している。しかしながら,使用済み太陽電池モジュールの取り扱いは,制度的にも技術的にも未だ常態化していない。豪雨災害,震災,台風等による災害廃棄物への対応は,既に始まっている。東芝環境ソリューション (株) は,産業廃棄物処理会社として,使用済み太陽電池モジュールの健全性を評価する技術を開発し,リユース可能と評価した太陽電池モジュールを,発電施設や発電機器に活用する事業を進めている。また,当社は,使用済み太陽電池モジュールの資源や有害物を定量する技術や破砕・分離等のリサイクル技術を開発し,これらを用いた適正処理事業,さらに,評価システム,リサイクル機器を販売する事業を進めている。これらは,資源の有効活用,環境負荷低減とともに CO2 削減の効果が得られている。
  • 島村 安俊
    2019 年 30 巻 6 号 p. 403-407
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/11/30
    ジャーナル フリー
    再生可能エネルギー発電分野が世界的に拡大を続ける中,わが国においても低炭素社会の形成や国産エネルギー資源の拡大等を目的に導入され,特に 2012 年 7 月の FIT 制度導入以降は太陽光発電を中心に再生可能エネルギー導入が飛躍的に拡大してきた。これまで導入されてきた太陽電池モジュールのうち,既に一部が使用済みとなって排出されはじめており,今後その排出量は加速度的に増加し,2030 年代後半には年間で約 50 ~ 80 万 ton が排出される見通しである。排出量の増加が想定される中,使用済み太陽電池モジュールの適正処分や,リユース・リサイクルによる廃棄物の減量化等の体制構築が早期に求められる。本稿では,欧州における廃棄物処理の法制度を踏まえた上で,同法に準拠した処理業者の一つである PV CYCLE が手掛ける使用済み太陽電池モジュールの回収・リサイクル・適正処分について,ドイツ・フランスの事例を紹介する。
  • 大神 広記
    2019 年 30 巻 6 号 p. 408-412
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/11/30
    ジャーナル フリー
    太陽電池発電設備は,耐用年数まで使用され,リユースやリサイクルが行われるものだけでない。近年,自然災害による太陽電池発電設備の損壊事故も多数発生している。自然災害により太陽電池発電設備にどのような事故が起きているのか,電気事業法における事故報告から,紹介する。
     2018 年度に起こった,平成 30 年 7 月豪雨,台風 21 号,北海道胆振東部地震,台風 24 号による太陽電池発電所の事故報告は,計 48 件である。平成 30 年 7 月豪雨では,設備の立地地域における浸水や土砂崩れ等によるパネルやパワーコンディショナーの損傷といった被害が多い。台風では強風や高潮によるパネルの飛散や水没が多数発生。北海道胆振東部地震では,地震による地面の隆起,地割れ,液状化等に伴う架台,パネルの損傷や,パワーコンディショナーの短絡,地絡による運転機能喪失が発生した。
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