本稿では,EU・一部の欧州国の修理に関する各種施策や取り組みについて整理を行い,修理事業・修理行動のさらなる促進に向けて,修理の障壁と政策とのギャップについて触れた。
主な施策としては,製品要件への修理可能性の適用,修理可能性や修理へのアクセス方法に関する情報開示,修理妨害行為の禁止,修理による法定保証期間の延長,修理業者の情報開示による修理へのアクセスの改善,修理費用の補助等があげられよう。また,修理業者のアクセス改善や,製造・輸入業者のみならず,消費者との接点となる販売者に対しても情報開示等を求めており,バリューチェーン全体での修理促進策がはかられ,体系的な修理政策の枠組みができつつあるといえる。また,これらの施策は,修理促進の障壁となる製品設計や部品の入手可能性改善を通じた技術的要因や修理コスト等の経済的要因の解消,また,情報提供を通じた消費者の行動変容等につながりうると考えられる。
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