MEDCHEM NEWS
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25 巻 , 2 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
巻頭言
創薬最前線
  • 松崎 修
    2015 年 25 巻 2 号 p. 58-63
    発行日: 2015/05/01
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー

    旭化成ファーマは、旭化成グループのヘルスケアセグメントの一翼を担う製薬企業である。旭化成と東洋醸造という異業種から製薬事業に参入した経緯もあり、他の製薬企業とは一線を画したユニークな自社新薬を中心としたビジネスを展開している。化合物の探索から承認取得まで一連の研究開発ラインを持っているが、ここ数年、自社で創出した臨床開発のパイプラインは不足気味である。これを乗り越えるために、オープンイノベーションを活用し、研究センターの規模が適正で各領域の研究者間で密接なコミュニケーションができるというメリットを最大限生かし、さらに幅広いビジネスを展開する大手企業の傘下にある製薬企業という長所を生かすことにより、他社との差別化を可能とする戦略を模索している。

WINDOW
  • 木村 昌由美
    2015 年 25 巻 2 号 p. 64-68
    発行日: 2015/05/01
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー

    マックス・プランク精神医学研究所は、Emil Kraepelinが1917年に創設した基礎精神医学の専門機関を母体とし、現在ではうつ病を中心に気分障害の臨床・研究を行う。病因もさまざまで複雑な症状を示すうつ病には、早期の的確な診断と個別化医療が必要とされて久しい。1990年後半より取り組み始めたMunich Antidepressant Response Signature(MARS)プロジェクトでは、遺伝子多型やストレスホルモン等のマーカーによってサブグループ化した患者群により適した抗うつ薬を選択し、治療効果を高めることを目指している。本文ではMARSサンプルより関連性が示されたFKBP5を基に展開するトランスレーショナル・アプローチを紹介し、CRHアンタゴニストにまつわる研究所の長い挑戦についても触れる。

ESSAY
  • 川原 浩一, 中山 仁
    2015 年 25 巻 2 号 p. 69-74
    発行日: 2015/05/01
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー

    アルツハイマー病(AD)は、アミロイドβ(Aβ)ペプチドの蓄積と進行性の記憶障害を含む神経変性疾患である。レチノイン酸関連化合物のAD治療への適用をめざし、まず5月齢のADモデルマウス(APP23)に対して、レチノイン酸受容体(RAR)アゴニスト・Am80(0.5mg/kg/day)を14週間経口投与すると、脳内の不溶性Aβ42ペプチド量が約15%減少した。しかし、この減少量では、APP23マウスの空間認知障害を改善することはできなかった。そこで、レチノイドの効果を増強すべく、RARの転写活性化能を相乗的に増大させる効果をもつレチノイドX受容体(RXR)アゴニスト・HX630(5mg/kg/day)をAm80(0.5mg/kg/day)と17日間併用投与すると、8.5月齢APP23マウスの脳内不溶性Aβ42ペプチド量は約50%も減少し、空間認知障害も有意に改善された。RARとRXRアゴニストの併用は、アルツハイマー病の治療に対する有効なアプローチであると考える。

DISCOVERY
平成26年度 日本薬学会 医薬化学部会賞 受賞
  • 柿沼 浩行, 大井 隆宏, 山本 浩二, 高橋 禎介, 地野 之浩
    2015 年 25 巻 2 号 p. 75-80
    発行日: 2015/05/01
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー

    腎臓の近位尿細管に存在し、グルコースの再吸収を担うNa依存的糖輸送体sodium-dependent glucose transporter 2(SGLT2)の選択的な阻害剤は、尿中にグルコースを排泄し、インスリンを介さずに血糖値を改善することが期待された。我々は、SGLT2阻害剤の創出にあたり、代謝安定性や脂溶性による阻害活性の向上が期待された5-チオグルコースをグルコースのアナログとして選択した。リード化合物としてO-5-チオグルコシド誘導体からC-5-チオグルコシド誘導体へと展開し、さらに、SGLT2選択性と薬物動態を重視した最適化の結果、ルセオグリフロジンを見出した。2型糖尿病患者を対象とした臨床試験において、ルセオグリフロジン1、2.5、5、10mgまたはプラセボを1日1回、12週間投与した結果、1mg投与よりプラセボに比べ有意なHbA1cの低下作用が認められた。

  • 及川 信宏, 木下 和大, 古市 紀之, 坂本 洋, 高梨 賢二
    2015 年 25 巻 2 号 p. 81-87
    発行日: 2015/05/01
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー

    2007年のEML4-ALK融合遺伝子の同定を契機としてALKは特定のがんの治療標的として注目されており、中外製薬では高選択的ALK阻害剤を目標に創薬研究を実施した。自社化合物ライブラリのスクリーニングで取得した構造的独自性の高い四環性ヒット化合物に対する構造最適化を構造活性相関情報や分子モデリングに基づくデザインにより実施し、アレクチニブの創製へと至った。アレクチニブはALKに対して強力で選択的な阻害プロファイルを有しており、EML4-ALKを有する腫瘍のマウスモデルにおいて高い抗腫瘍活性を示す。アレクチニブはALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん患者を対象にした国内第I/II相臨床試験において高い有効性と忍容性が確認され、本結果に基づき2014年7月に製造販売承認を取得した。

第32回メディシナル・ケミストリーシンポジウム 優秀賞 受賞
  • 小郷 尚久, 浅井 章良
    2015 年 25 巻 2 号 p. 88-94
    発行日: 2015/05/01
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー

    キネシンモータータンパク質の1つであるKinesin spindle protein(KSP)は、細胞周期におけるM期の進行に重要な機能を担っており、次世代抗がん剤開発の新たな標的として注目されている。著者らは独自に構築した低分子化合物ライブラリーを用いてKSP ATPase活性を指標としたスクリーニングによりS-trityl-L-cysteine(STLC)をヒット化合物として同定し、その後の最適化と作用機序解析およびヒトがん移植ヌードマウスモデルでの評価を通じてKSP阻害剤としてリード候補になり得る新規システイン誘導体を見出した。40年以上も前に抗がん剤としての可能性が報告され、長らくその作用機序は不明なままであったSTLCの標的を明らかにし、さらにトリチル部の構造最適化により、現在臨床開発されているKSP阻害剤と同等またはそれ以上のポテンシャルを有する誘導体へと導くことができた。

  • 松藤 哲義, 島田 神生, 小林 祥三
    2015 年 25 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 2015/05/01
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー

    抗肥満・抗糖尿病薬の標的であるbombesin receptor subtype-3(BRS-3)は中枢系のほか、末梢系の消化管にも発現している。Merck社の中枢系作用型BRS-3アゴニストはラットやイヌで抗肥満作用を示すものの、副作用として体温・血圧上昇、心拍数増加が見られた。そこで、われわれは消化管BRS-3選択的に作用する、より安全性の高い薬剤の開発を目指した。自社ハイスループットスクリーニング(HTS)ヒット化合物とMerck社化合物の構造類似性から新規二環性ジアゼピンをデザインし、脂溶性低減を志向した極性基導入によって低中枢移行性化を行った。さらに、ごく僅かな中枢系曝露を回避するため、生体内代謝によって不活性化するアンテドラッグ11cを考案した。11cはマウス経口単回投与で摂食抑制作用を示すとともに、イヌ心血管系リスク評価では心拍数・血圧変動の減弱傾向を確認し、薬効と中枢系副作用回避の両立を達成した。

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