MEDCHEM NEWS
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25 巻, 4 号
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巻頭言
創薬最前線
  • 田中 利男
    2015 年 25 巻 4 号 p. 170-176
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル フリー

    従来の創薬は、ハイスループットが可能なiPS細胞など、ヒト細胞やロースループットながらin vivoメカニズム解析に活用してきた哺乳類が二大モデル生物であった。最近、ゼブラフィッシュがin vivoハイスループットスクリーニングが可能な数少ない第三のモデル生物として、まったく新しい創薬パラダイムを実現し、画期的医薬品やドラッグ・リポジショニングにおいて明確な開発成果を出している。ゼブラフィッシュ創薬は、単なる安価なマウスや追加的薬理試験ではなく、フォワード薬理学とリバース薬理学を統合したものであり、強力なPK/PDモデルとして、真に21世紀的システムズ薬理学戦略である。さらに、ヒトがん細胞のゼブラフィッシュ移植ツールは、次世代フェノミクス個別化医療システムになることが期待されている。

WINDOW
  • 小川 慎志, 原田 明久
    2015 年 25 巻 4 号 p. 177-180
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル フリー

    製薬各社は急速に変化している研究開発環境に対応するために、オープンイノベーションを重要な戦略として位置づけている。近年グローバルファーマでは、オープンイノベーションに特化する部署を相次いで新設しており、ファイザー社の場合、グローバル組織下のExternal R&D Innovation(ERDI)、およびファイザージャパン組織下のJapan Open Innovation Network(JOIN)が協業して日本で活動を行っている。オープンイノベーションや共同研究では、相互利益に基づいたパートナーシップを構築することが非常に重要であり、成功確率が極めて低い創薬の研究開発を成功させ、日本発の医薬品を創出するためには、内資・外資あるいは、アカデミア・産業界などの垣根にとらわれないオープンコラボレーションがますます必要となっていくだろう。

ESSAY
特集:がん治療薬の研究開発最前線
  • 伊藤 文雄
    2015 年 25 巻 4 号 p. 181-182
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル フリー

    今日のがん研究の進歩により、がんの発生・進展の機構が分子レベルで解明されつつあり、その新発見の成果から新たな分子標的薬の研究開発が行われている。本特集では、がんの増殖シグナル・血管新生、がん幹細胞、がん免疫の3つの研究領域から新たな分子標的薬開発に向けた最新のがん研究の動向について紹介する。

  • 船橋 泰博, 鶴岡 明彦
    2015 年 25 巻 4 号 p. 183-188
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル フリー

    レンバチニブメシル酸塩(レンバチニブ)はエーザイ筑波研究所にて創製された経口投与可能な受容体チロシンキナーゼを阻害するマルチキナーゼ阻害剤であり、腫瘍血管新生に関わる血管内皮増殖因子受容体VEGFR1~3および線維芽細胞増殖因子受容体FGFR1~4、ならびにがん細胞増殖に関わるRearranged During Transfectionがん原遺伝子RETのチロシンキナーゼ活性を阻害する。レンバチニブはVEGFR2に対して既存のキナーゼ阻害剤とは異なる新規の結合様式(タイプV)で結合する。in vitro血管新生モデルではVEGFおよびFGF誘導の血管新生を阻害し、様々なヒトがん細胞を移植したマウスモデルにおいて投与量依存的な抗腫瘍効果を示した。FGFR過剰発現やRETに遺伝子変異を有する甲状腺がん細胞に対して細胞増殖効果が認められたことから、レンバチニブは、VEGFR、FGFRによる血管新生と、FGFR、RETによる甲状腺がん細胞の異常増殖の両方を阻害することで、抗腫瘍効果を発揮することが示唆された。

  • 佐谷 秀行
    2015 年 25 巻 4 号 p. 189-192
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル フリー

    がん組織が、がん幹細胞を頂点とした階層性構造を呈し、機能的に不均一な細胞でできあがった細胞集団であることが明らかになってきた。がん幹細胞は、腫瘍組織を維持するための要となる細胞であり、治療に対して抵抗性が高く、再発や転移の起源となる。すなわち、がんの根治を目指すためには、がん幹細胞を駆逐することが必要である。本総説では、私たちが現在進めている固形がんの幹細胞を標的とした治療戦略の開発について概説する。

  • 吉田 隆雄, 柴山 史朗
    2015 年 25 巻 4 号 p. 193-197
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル フリー

    ニボルマブ(遺伝子組み換え)は、ヒト型抗ヒトPD-1抗体であり、「根治切除不能な悪性黒色腫」を効能・効果として、2014年9月より世界に先駆けて日本で発売された新たな免疫チェックポイント阻害剤である。ニボルマブは、PD-1とPD-1リガンドとの結合を阻害し、抗原特異的なT 細胞の増殖、活性化およびがん細胞に対する細胞傷害活性を増強することで抗腫瘍効果を示す。悪性黒色腫患者を対象とした国内第II相試験にて有効性、安全性および忍容性が確認され、ニボルマブは悪性黒色腫の有用な治療薬であることが示された。本試験結果を踏まえ、2013年12月に製造販売承認申請を行い、2014年7月にニボルマブは世界初の抗PD-1抗体として製造販売承認を取得した。

DISCOVERY
  • 西田 晴行
    2015 年 25 巻 4 号 p. 198-206
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル フリー

    酸関連疾患治療薬の歴史を振り返ると、より強力で、より持続時間の長い酸分泌抑制薬を求めて開発が行われてきた。その最後に登場したのがプロトンポンプ阻害薬(PPI)であるが、2000年頃から、PPIでコントロールできない症例が報告されるなど、最強の酸分泌抑制薬と考えられてきたPPIによる治療の限界が明らかになってきた。我々はPPIであるランソプラゾールの課題を克服する新しい酸分泌抑制薬の開発を目指して2003年より研究を開始し、鋭意検討を続けた。その結果、ヒトにおいて胃酸分泌を強力に、速やかに、長い時間抑制する新規カリウムイオン競合型アシッドブロッカー ボノプラザン(TAK-438)の創製に成功した。本薬剤は2015年2月にタケキャブ錠として上市されており、新たな治療オプションとして医療ニーズへの貢献が期待される。

SEMINAR
  • 今井 輝子
    2015 年 25 巻 4 号 p. 207-213
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2018/09/01
    ジャーナル フリー

    アンテドラッグは「副作用のない医薬品」を目指して、不活性代謝物に単代謝されるようにデザインされた医薬品であり、ソフトドラッグとも呼ばれる。局所投与用のステロイド剤の普及で飛躍的にその価値が認められ、薬効を最大限に活かした副作用のない医薬品の開発方法として、多くの医薬品にアンテドラッグ的な分子設計が応用されてきた。低分子医薬品の開発が低迷している今、開発中の医薬品も数多い。本稿では、アンテドラッグ/ソフトドラッグの特徴、生体内変換酵素として利用できる加水分解酵素について説明し、さらに、デザイン方法に準じて、開発中の医薬品を含めて代表的なアンテドラッグ/ソフトドラッグの例を紹介する。

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