MEDCHEM NEWS
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26 巻 , 3 号
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巻頭言
創薬最前線
  • 鹿角 契
    2016 年 26 巻 3 号 p. 114-120
    発行日: 2016/08/01
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー

    世界は新興・再興感染症、両方の脅威にさらされている。日本が有するイノベーション、研究開発能力を感染症対策のために活かすことは、国際貢献、また安全保障の観点からもきわめて重要といえる。グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)は、日本政府、日本の製薬企業、ビル&メリンダ・ゲイツ財団等の共同出資によって設立されたグローバルヘルスR&Dに特化した日本発の非営利・国際機関であり、途上国で蔓延する感染症に対する治療薬、ワクチン、診断薬の研究開発を支援している。これまでに60件以上のプロジェクトに対して総額60億円以上の投資を行い、7件がすでに臨床試験の段階に入っている。また、日本の複数の研究機関、製薬企業が各化合物ライブラリーを活用し、感染症に有効なヒット化合物の発見、さらにリード化合物に進めるべく研究開発を推進している。今後、日本が感染症に対抗すべく創薬開発をさらに推進し、保健医療の面から国際的貢献を果たしていく役割はきわめて大きい。

WINDOW
  • 薬師寺 文華
    2016 年 26 巻 3 号 p. 121-124
    発行日: 2016/08/01
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー

    米国ボストンにあるハーバード大学、Broad Institute of Harvard and MITのStuart L. Schreiber教授が主宰する研究室に2年間留学する機会を得た。Schreiber研究室は、現在Broad Instituteの3階にあり、大学研究室の枠を越えた大規模な研究展開を行っている。最近では、ガン細胞における遺伝子発現と低分子化合物に対する感受性との間に相関を見出すことで、化合物の作用機構を考察する計算科学的手法を発表している。Schreiber教授の研究例を含め、大規模データ解析による知見の構築が次世代創薬の流れをつくりつつある。実際にBroad InstituteはGoogle genomicsと提携し、ゲノム解析ソフトGATKをGoogleクラウドプラットフォーム上で使用できるサービスを開始しており、生物医学や創薬研究に与えるインパクトの大きさがうかがえる。Schreiber研究室への留学という好機に恵まれたことに深く感謝し、今後も幅広い研究活動を行えるよう努力を重ねていきたい。

DISCOVERY
  • 佐々木 博文, 壷内 英継, 橋詰 博之, 川﨑 昌則, 松本 真
    2016 年 26 巻 3 号 p. 125-131
    発行日: 2016/08/01
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー

    結核は、結核菌によって引き起こされる再興性の感染症である。近年では、多剤耐性結核菌や既存の抗結核薬のほとんどに耐性を示す超多剤耐性結核菌の拡大が、治療をさらに困難にしている。また、HIV感染の蔓延による結核との重複感染も大きな問題である。このような状況下にもかかわらず、40年間、新しい化学構造と作用機序を有する新規抗結核薬は一剤も開発されなかった。筆者らはニトロイミダゾオキサゾール骨格が抗結核作用を示すということに着目し、in vitroでの抗菌力と結核菌感染マウスを用いたin vivo試験の結果を指標に、2位の側鎖部分を中心に合成展開し、誘導体の最適化を行った。その結果、変異原性を示さず、強力な抗結核活性を示す化合物群を見出し、多剤耐性肺結核治療薬Delamanidを創製した。

第33回メディシナル・ケミストリーシンポジウム優秀賞受賞
  • 直原 彩枝, 山本 喬彦, 安尾 和也, 服部 マキ, 鹿野 一也
    2016 年 26 巻 3 号 p. 132-137
    発行日: 2016/08/01
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー

    Interleukin-2 inducible tyrosine kinase(ITK)は、T細胞の活性化やTh1、Th2バランスの調節において重要な役割を担っていることから、阻害剤はアレルギー治療薬となることが期待されている。リード化合物は、activation loopがDFG-in型の状態でアロステリックサイトであるback pocketへ伸長しているType 1 1/2型の阻害剤である。ATP結合サイト以外のポケットを利用する阻害剤は、一般に他キナーゼに対して高い選択性を有するが、ITKの上流で機能するlymphocyte-specific protein kinase(LCK)に対する選択性は不十分であった。そこでFBDDのfragment-linkingの手法を応用し、back pocketに作用する部分構造を保持しながら、その他すべての構造を置き換えることにより、広範なキナーゼ選択性を有した新たなリード化合物の創出に着手することとした。その結果、高いキナーゼ選択性を維持しながら、LCK選択性も改善され、ヒンジ結合部位が小型化された新規リード化合物となるType 1 1/2型ITK阻害剤を得ることができた。

  • 板谷 敏, 竹内 淳, 大元 和之
    2016 年 26 巻 3 号 p. 138-146
    発行日: 2016/08/01
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー

    CysLT1選択的拮抗薬は喘息治療薬として、その高い有効性および安全性から広く臨床応用されている。一方で十分な効果の得られない患者、すなわち非奏効例の存在が報告されている。その原因は明らかではないが、種々の報告からもう一方のロイコトリエン受容体であるCysLT2受容体を介して気道収縮や炎症が引き起こされていると考えられた。そこで筆者らは「Dual CysLT1/CysLT2拮抗薬はより強い効果が期待できる」という仮説を立て、創薬研究を開始した。そして、各種合成展開の末に見出されたgemilukast(ONO-6950、化合物26)を開発化合物として選択し、世界初のDual CysLT1/CysLT2受容体拮抗薬の上市を目指して第Ⅱ相試験を実施中である。本稿ではDual CysLT1/CysLT2拮抗薬gemilukastの創製経緯を紹介する。

  • 加堂 陽一, 川西 英治
    2016 年 26 巻 3 号 p. 147-152
    発行日: 2016/08/01
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー

    Phosphodiesterase 10A(PDE10A)は、細胞内の環状ヌクレオチド(cAMPおよびcGMP)を分解する酵素であり、特に脳の線条体中型有棘細胞(medium spiny neuron: MSN)に局在している。PDE10Aを阻害する薬物は、cAMPシグナルを調節することでMSNの活動を制御し、抗精神病作用を発現することが期待できる。PDE5阻害薬Avanafilの周辺誘導体に弱いながらPDE10A阻害活性が認められたことから、PDE5阻害活性を減弱させ、PDE10A阻害活性を増強させる化合物の探索を行った結果、PDE10A選択的阻害活性を有するスチルベン誘導体を見出した。さらなる化合物探索を行った結果、遺伝毒性およびCYP阻害などの課題を改善し、ラット条件回避反応(conditioned avoidance receponses: CAR)を抑制する化合物を見出すことに成功した。

  • 高野 理恵子, 吉田 昌生, 井上 雅大, 本田 雄, 戸田 成洋
    2016 年 26 巻 3 号 p. 153-160
    発行日: 2016/08/01
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー

    糖尿病治療において、食後高血糖の抑制にはインスリン分泌促進剤が依然として有用である。近年、スルホニルウレア剤の低血糖誘発リスクを軽減した薬剤として、グルコース濃度依存的にインスリン分泌作用を促進するGPR40アゴニストが注目されている。経口投与で強い薬効を示す薬剤の開発を目標に、3-フェニルプロピオン酸の誘導体展開を行った。その結果、アゴニスト活性、レセプター選択性、薬物動態の優れた化合物DS-1558を見出した。hGPR40とのドッキングスタディから、カルボン酸β位のエトキシ基、インダン環を有する本化合物の構造は、ポケット空間と高い形状相補性を有していることが示唆された。DS-1558は、2型糖尿病モデルラットを用いた経口糖負荷試験において、低用量から用量依存的な耐糖能改善作用を示すことが確認された。

Coffee Break
REPORT
  • 浅田 直也
    2016 年 26 巻 3 号 p. 164-166
    発行日: 2016/08/01
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー

    ACS national meetingは、ACSの主催する世界最大規模の化学系国際学会である。2016年3月13〜17日の5日間、カリフォルニア州サンディエゴで開催された。今回のテーマは、「Computers in Chemistry」であり、in silico技術を活用した研究報告が数多くあった。William Jorgensen氏が基調講演の演者として招かれ、結合自由エネルギー計算手法であるFree Energy Perturbation(FEP)法活用の歴史について講演されたのをはじめとし、そのほか多くのFEP法関連のセッションがあった。本レポートでは、FEP法関連の発表とIsothermal Titration Calorimetry(ITC)データの活用法、FolditDDプロジェクトなど、興味をひかれた講演について報告する。

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