MEDCHEM NEWS
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27 巻 , 2 号
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巻頭言
創薬最前線
  • 吉光寺 敏泰, 鈴木 幸吉
    2017 年 27 巻 2 号 p. 54-58
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    Meiji Seikaファルマは、抗菌薬を中心とする感染症領域と中枢神経系領域をスペシャリティとした研究開発型製薬企業である。現在、創薬研究では感染症に加えて、免疫炎症・がん領域の強化に注力しており、外部連携を重視してアカデミアや企業との共同研究・技術導入などを推進している。さらなる研究能力向上を目的に、2016年4月に国内最大のバイオクラスターである神戸医療産業都市に研究拠点を開設し、複数の研究者を派遣して研究活動を進めている。創薬テーマの設定においては、対象疾患を絞って出口を見据え、臨床でのポジショニングを重視する方針としている。特に、自社単独では困難となりつつある創薬に対し、アカデミアや企業との複合的な連携を想定したネットワーク型創薬を成功の鍵として、新たな疾患領域と創薬モダリティの拡大に取り組んでいる。

WINDOW
  • 湯本 史明
    2017 年 27 巻 2 号 p. 59-63
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    筆者は2007年からカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のRobert Fletterick研究室にて博士研究員として在籍し、主に幹細胞の転写因子複合体の構造解析に取り組み、その後、NIHのPSI:Biologyの1テーマとなったプロジェクトの立ち上げとプロジェクトマネージメントを担当し、5年半の現地での研究生活を経て、2012年に高エネルギー加速器研究機構に職を得て帰国した。その後もUCSFやスタンフォード大学との密接な共同研究や共同セミナーの開催を通じ、現地と交流を続けている。本稿では、UCSFで開始した幹細胞転写因子の構造生命科学研究について紹介すると共に、この10年間の構造生物学を取り巻く時代背景、さらには実際に見聞きしたアカデミアと産業界との交流について紹介する。

ESSAY
  • 滝川 修
    2017 年 27 巻 2 号 p. 64-69
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    脳リキッドバイオプシーとは、血液に含まれる神経細胞由来やグリア細胞由来のエクソソームを使用した神経疾患の診断や病態解析技術である。神経細胞由来エクソソーム中の病原性タンパク質とされるアミロイドβペプチドやリン酸化タウタンパク質を測定することによって、軽度認知障害やアルツハイマー病を高い精度での診断が可能となった。さらに本技術により、軽度認知障害やアルツハイマー病の神経細胞では、インシュリンシグナル伝達異常やタンパク質品質管理能力の低下が生じていることが明らかとなった。今後、本技術により、認知症に限らず、うつ病や統合失調症などの多くの神経疾患の分子病態解析が急速に進み、これら神経疾患の予防・診断・治療に大きな変革をもたらすと予想される。本稿では軽度認知障害とアルツハイマー病に関する神経細胞由来およびアストロサイト由来エクソソーム解析の成果を概説するとともに今後の展望を述べる。

DISCOVERY
平成28年度日本薬学会医薬化学部会賞受賞
  • 神戸 透, 杉本 勇, 小櫃 徹夫, 谷 耕輔, 丸山 透
    2017 年 27 巻 2 号 p. 70-77
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    緑内障は、主に眼圧上昇を原因として進行する視神経障害を特徴とする一群の眼疾患であり、失明に至るおそれのある重篤な疾患である。治療にはラタノプロストなどのプロスタグランディン(PG)製剤をはじめとする眼圧下降薬が用いられるが、より強力な作用を示す新薬が待ち望まれている。筆者らは、PG受容体の1つであるEP3受容体が眼圧下降作用に関与する報告に基づき、FP作動活性とEP3作動活性を併せもつ薬剤が、既存薬である選択的FP作動薬を上回る眼圧下降作用を示すことを期待し、EP3/FPデュアル作動薬の創製に取り組んだ。プロスタサイクリン骨格をもつヒット化合物を変換し、強力かつ選択的なEP3/FPデュアル活性を示す化合物を見出した。本化合物はin vivo試験において既存薬を上回る眼圧下降作用を示し、安全性面でも問題がなかったことから、開発化合物ONO-9054(Sepetaprost)として選択した。本剤は米国および日本において緑内障、高眼圧症患者を対象とした第Ⅱ相臨床試験の実施を計画中である。

  • 佐藤 勉, 小林 孝光, 西本 昌弘, 池田 幸弥, 加藤 基浩
    2017 年 27 巻 2 号 p. 78-86
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    筆者らは、安全性が高く、1日1回の服用で有効な新規骨格を有する高選択的SGLT2(sodium glucose cotransporter 2)阻害剤の創薬研究に際し、ligand-based virtual screeningを活用した分子設計を実施した。すなわち、複数の既知SGLT2阻害剤の構造から作成した3Dファーマコフォアモデルを検索条件として構造データベースを検索し、得られたヒット化合物が共通に有していたO-スピロケタール・C-アリールグルコシド構造を基に新規骨格を見出した。そして、構造最適化を実施し、トホグリフロジンを開発候補化合物として創出した。各種臨床試験における有効性と安全性の確認を経てトホグリフロジン水和物は、2014年3月に日本にて、2型糖尿病を効能・効果とする薬剤として製造販売承認を取得した。

第34回メディシナルケミストリーシンポジウム優秀賞受賞
  • 相馬 洋平, 新井 唯正, 新谷 卓士, 城野 柳人, 金井 求
    2017 年 27 巻 2 号 p. 87-91
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    アカデミアならではの発想で、特色ある創薬研究を実践できればと考えている。優れた医薬機能を有するとともに、触媒反応開発主導型の構造展開を可能とする分子を創出したいという考えに基づき、アミロイドβ(Aβ)の凝集に対する独自の低分子阻害剤の開発を目指した。全長Aβのうち、凝集に重要な部分ペプチドを環状化し、構造活性相関研究を通してファーマコフォアを同定した。その活性構造情報からAβに対する低分子凝集阻害化合物の論理的創出に成功した。

  • 進藤 直哉, 王子田 彰夫
    2017 年 27 巻 2 号 p. 92-99
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    コバレント阻害剤は求電子的反応基で標的タンパク質と共有結合を作り、強力で持続的な薬効を示す。毒性の懸念から従来の創薬では避けられる傾向にあったが、標的選択性の高いコバレント阻害剤(TCI)の開発が近年盛んである。マイケルアクセプターはシステイン残基に対する反応基として汎用されているが、薬剤の構造や時間・濃度に依存してさまざまな非特異反応を起こすことが報告されている。筆者らはTCIの標的特異性の向上を目指して新規反応基を探索し、クロロフルオロアセトアミド(CFA)基がチオールと穏やかに反応することを見出した。CFA基を既知のEGFR阻害剤骨格に導入しSARを検討した結果、承認薬と同等のEGFRT790M阻害活性とin vivo抗腫瘍活性を示す化合物NS-062を見出した。また蛍光ラベル化解析により、CFA誘導体がマイケルアクセプターと比べ極めて高選択的にEGFRと共有結合を形成することを確認した。

SEMINAR
  • 山岡 俊和
    2017 年 27 巻 2 号 p. 100-104
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    反応性代謝物は特異体質性薬物毒性発現の一因と考えられており、リード最適化ステージにおいて、反応性代謝物生成リスクの高い化合物を開発候補選定までに排除することが望ましい。その手段としてグルタチオントラッピング試験が用いられる。これまでにいくつかのトラッピング試薬が開発されてきたが、いずれも偽陽性・偽陰性を生じるため、結果の解釈が困難になる場合がある。新規トラッピング試薬GSHEE-d5は既存試薬と比較して、高感度・高選択的であった。本試薬は反応性代謝物の検出力が優れており、結果の信頼性が高いため、反応性代謝物生成回避のためのヒントとして使いやすい。メディシナルケミストがGSHEE-d5によるトラッピング試験のデータを活用することで、従来よりも安全性の高い医薬品が創出されることを期待している。

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