MEDCHEM NEWS
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27 巻 , 3 号
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巻頭言
創薬最前線
  • 塚原 克平
    2017 年 27 巻 3 号 p. 118-124
    発行日: 2017/08/01
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

     エーザイは、今後10年間のグローバル医薬品を取り巻く環境変化を見据え、2025年度までの新たな中期経営計画「EWAY2025」を2016年4月よりスタートした。創薬研究部門もメディスンクリエーション体制として再編され、ニューロロジー領域とオンコロジー領域を戦略的重点領域として定めるとともに、「立地」という概念の導入により、我々がフロントランナーとなれる場所での連続的なイノベーション創出を目標とした。さらにはデジタル技術の爆発的進展によるICTドリブンイノベーション、新興国・途上国に蔓延する熱帯病根絶への責任を果たすためグローバルヘルスにも力を入れ、国境を越えたヒューマンヘルスケアの実現に向かって進んでいる。

WINDOW
DISCOVERY
  • 阿部 博行, 山口 尚之, 飯田 哲也, 菊池 慎一, 河崎 久
    2017 年 27 巻 3 号 p. 129-134
    発行日: 2017/08/01
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

     Trametinibは、非常に高活性・高選択的かつ経口投与可能なMEK1、MEK2のアロステリック阻害薬である。Trametinibは2006年にJTよりGSK社に導出され、2013年にfirst-in-classのMEK阻害薬としてFDAの承認を得て上市された(2016年に本邦でも承認、現在はNovartis社が販売)。しかし、trametinibはMEKの阻害活性を追いかけて見出された化合物ではない。筆者らは、p15INK4bという内因性CDKインヒビターの産生を増強し細胞周期をG1期で停止させる化合物を見出すために、細胞系アッセイによるHTSを行い、リード化合物を見出した。合成展開による化合物最適化は、物性改善を行いつつ、がん細胞増殖阻害活性向上を指標にして行い、trametinibを見出した。その後、本化合物の作用機序解明を行い、標的タンパク質がMEKであることを明らかにした。開発晶に医薬品として先例のないDMSO和物を選定した。

第34回メディシナルケミストリーシンポジウム優秀賞受賞
  • 佐藤 健二郎, 久保 修, 高萩 洋希, 日髙 功介, 北崎 智幸
    2017 年 27 巻 3 号 p. 135-143
    発行日: 2017/08/01
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

     アシル基転移酵素の1つであるモノアシルグリセロールトランスフェラーゼ2(MGAT2)は、小腸におけるトリアシルグリセロール(TG)再合成に関与していることから、肥満症および代謝性疾患治療薬の新たなターゲットとして注目されている。筆者らは、新規低分子MGAT2阻害薬の創出を目指してN-フェニルインドリン-5-スルホンアミド誘導体の最適化研究を行い、強力かつ選択的なMGAT2阻害活性、優れたADME-Toxプロファイルおよび良好な経口吸収性を有する化合物23の創出に成功した。本化合物はマウスを用いた経口脂質負荷試験において、1 mg/kg経口投与下で有意に血中TGの上昇を抑制した。本稿では、リード化合物創出、CYP3A4の時間依存性阻害の改善およびHOMO-LUMOギャップ仮説に基づいた光毒性回避を中心に、MGAT2阻害薬の分子設計、合成、ADME-Toxプロファイルの改善および生物活性について述べる。

  • 寺門 正彦, 高岡 義和, 中出 眞嗣, 世古 卓哉
    2017 年 27 巻 3 号 p. 144-152
    発行日: 2017/08/01
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

     リゾホスファチジン酸(LPA)は、生理活性脂質の1つであり、6種類のGタンパク質共役受容体(LPA1〜LPA6)を介して多彩な生理作用を示すことが知られている。筆者らは、LPAがLPA1受容体を介して尿道を強力に収縮させることを見出した。その収縮作用の強度はα1受容体作動薬フェニレフリンに匹敵するものであったことから、LPA1拮抗薬が前立腺肥大症に伴う排尿障害の新規治療薬になるものと考えた。LPA1強制発現細胞を用いた高速スクリーニングのヒット化合物から合成展開を進め、リード化合物ONO-7300243を得た。ONO-7300243は、LPA惹起ラット尿道内圧上昇に対して経口投与で抑制作用を示した。既存薬であるα1受容体拮抗薬タムスロシンとラット尿道内圧低下作用を比較したところ、最大効果はタムスロシンと同等であり、かつ血圧に影響を与えないことを確認した。さらに、in vitro LPA1拮抗活性とin vivo LPA惹起ラット尿道内圧上昇抑制作用を指標として化合物最適化を進め、1日1回投与で有効性を示すONO-0300302を得ることに成功した。ラベル体による結合実験およびwash out実験により、ONO-0300302が有するslow tight bindingの性質が高いin vivo有効性に寄与していることが示唆された。

  • 西村 祥和, 江崎 徹, 一色 義明, 古田 佳之, 田村 達也
    2017 年 27 巻 3 号 p. 153-159
    発行日: 2017/08/01
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    副甲状腺ホルモン(PTH)は、class B G protein coupled receptor(GPCR)であるPTH1型受容体(PTHR1)に作用し、生体のカルシウム維持に重要な役割を果たしている。ヒトPTH(1–34)やヒトPTH(1–84)は、骨粗鬆症や副甲状腺機能低下症の治療薬として使用されているが、ペプチド製剤のため皮下投与が必要となっている。そこで筆者らは、患者さんのQOL向上を目的とし、経口投与可能な新規低分子PTHR1アゴニストの創薬研究に着手した。高感度細胞系HTSから、活性は弱いもののスピロイミダゾロン構造を有するHit化合物を見出した。Hit化合物の構造最適化を行った結果、世界初の経口PTHR1アゴニスト、PCO371の創製に成功した。PCO371は高いPTHR1選択性を示すアゴニストであり、副甲状腺機能低下症モデルラットへの6.5mg/kgの経口投与で、低下した血清カルシウム濃度を正常の範囲に上昇させた。本稿では、スピロイミダゾロン誘導体の合成、構造活性相関、反応性代謝物の回避やin vivo活性に関して紹介する。

  • 平田 和之, 古徳 将之, 平島 新太郎, 野口 正人, 塩﨑 真
    2017 年 27 巻 3 号 p. 160-167
    発行日: 2017/08/01
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    Th17細胞と呼ばれるヘルパーT細胞は、近年見出された第3のT細胞サブセットであり、さまざまな自己免疫疾患において中心的な役割を果たしていることがわかってきた。核内受容体RORγは、このTh17細胞の分化・活性化機構に深く関与していることが示唆されており、有望な創薬ターゲットとして注目を集めている。筆者らは新規RORγアンタゴニストの創製を目指し、HTSにより見出された化合物1からの合成展開を実施した。in vitro活性向上の他に、リスク構造の回避、代謝安定性ならびにCYP阻害改善を課題とし、それらを解決するためにLEとFsp3を指標とした変換を行った。さらに、共結晶X線構造解析の知見(U字形の活性コンフォメーション)を利用し、化合物のコンフォメーション固定を行った。結果、in vivo評価(経口投与)で薬効が認められた化合物41を見出すことに成功した。

Coffee Break
REPORT
  • 山腰 修平
    2017 年 27 巻 3 号 p. 169-173
    発行日: 2017/08/01
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

     2017年4月2日(日)〜6日(木)にかけてアメリカ・サンフランシスコで開催された253rd American Chemical Society National Meeting & Expositionに参加した。本学会は、多岐にわたる化学の分野における大規模な国際学会であり、世界各国から聴講者が訪れる。学会のトピックスとしては、有機合成化学の分野からは、「New reactions & Methodology」、「Total Synthesis of Complex Molecules」、「ACS Award for Creative Work in Synthetic Organic Chemistry」、創薬化学の分野からは、「Macrocycles & Cyclopeptides in Medicinal Chemistry」、「Kinase Inhibitors for Immuno-inflammatory Diseases」、「MEDI Awards Symposium」などがあった。このレポートでは、天然物合成にも応用できる新規反応開発や、創薬化学分野のキナーゼセッションについての報告を行う。

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