MEDCHEM NEWS
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28 巻 , 1 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
巻頭言
創薬最前線
  • 近藤 裕郷
    2018 年 28 巻 1 号 p. 2-6
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル フリー

    最近の創薬研究開発の世界のトレンドは低分子医薬品からバイオ医薬品に大きく移行してきており、バイオ医薬品の研究開発経験の少ない日本においては、今後の創薬力の強化が急務となっている。創薬デザイン研究センター(Center for Drug Discovery Research:CDDR)では、抗体医薬や核酸医薬など今後も市場拡大が予想されるバイオ医薬品の新しい創薬基盤技術プラットフォームを構築することで日本の創薬力の向上に貢献する。<CDDRの2つのミッション>①抗体医薬品、核酸医薬品などの新しいカテゴリーの医薬品をデザインする方法論および技術の研究を通じて、革新的医薬品の開発を目指す。②“創薬支援ネットワーク”の技術支援拠点として、大学などで見出された創薬シーズとなる研究成果を医薬品開発に橋わたしする役割を担う。

WINDOW
  • 岡庭 正格
    2018 年 28 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル フリー

    グローバルな医療経済の変化に伴い、創薬R&Dの構造改革が続くなか、科学者には専門性の追求のみならず、外部の異なる専門性との融合から新しい価値を生み出す感性と応用力が求められている。海外派遣や留学は、不慣れな環境から活路を見出す過程で専門性と能力を高める機会が得られやすい。自己の進化にとどまらず、他者との連携から、単独ではなし得ないイノベーションを達成し成功している例も見られる。私たちは、いま創薬モダリティーの多様化や創薬手法の変化に対応するため、バイオ医薬・薬物送達システム・細胞療法など、古典的低分子創薬以外の発展にも目を配り、活用していく必要がある。そのためには海外とのネットワークは不可欠であり、ボストンでは数多くの日本人研究者が駐在し、これまで治せなかった病気を治す未来創薬に挑戦している。

ESSAY
  • 青木 淳賢, 可野 邦行
    2018 年 28 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル フリー

    リゾリン脂質は脂肪酸を1本だけもつ片足のリン脂質であり、極性頭部と脂肪酸の違いから生体内にはさまざまな分子種が存在する。近年、リゾリン脂質の分子種を見分ける複数のGPCR型受容体が同定され、生体内でリゾリン脂質は脂質メディエーターとして重要な役割をもつことが判明してきている。リゾリン脂質は単純な構造ゆえ有機化学的な修飾が比較的容易である。リゾリン脂質メディエーターの1つリゾホスファチジン酸の有機化学的修飾によりLPA3受容体特異的作動薬T13が開発された。このT13を用いることで、子宮内膜におけるLPA3の新たな機能が判明した。

DISCOVERY
  • 本田 雄, 中田 隆, 内藤 博之
    2018 年 28 巻 1 号 p. 16-23
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル フリー

    モノクローナル抗体に殺細胞活性を有する薬物を結合させた抗体薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate:ADC)は、選択的かつ効果的にがん細胞を死滅させるとともに、全身毒性の軽減も期待できる次世代抗体医薬品である。現在4品目(Adcetris®:抗CD30 ADC、Kadcyla®:抗HER2 ADC、Mylotarg®:抗CD33 ADC、Besponsa®:抗CD22 ADC)が上市され、臨床段階には72を超える品目が並んでいる。このようにADCは将来的に適応拡大が期待される次世代抗体の1カテゴリーとして注目度が高まっている。しかしながら、ADC技術開発には有効性、安全性、物性面など、いまだ改良の余地が多く残されており、より多くのがん腫に適用でき、かつ、より強力な治療効果を示すADCの創製が期待されている。第一三共では2010年より独自のADC薬物リンカー技術の構築を進め、複数の候補化合物の中からDNA topoisomerase 1阻害剤Exatecanの誘導体を薬物部分に適用した薬物リンカー技術を確立した。本技術は、①従来技術に比べ高比率かつ均一に薬剤を抗体に結合させることが可能であるとともに、②リンカーの高い安定性により遊離薬物に由来する安全性上の懸念が低いという特徴を有する。筆者らは本技術を抗HER2抗体に適用したDS-8201aを本技術のリードプロジェクトとして開発を進めている。DS-8201aは、既存の抗HER2治療の適応外であるHER2低発現乳がんモデルに対しても強力な抗腫瘍効果を示した。また、サルにおける良好な薬物動態プロファイルおよびラットとサルにおける良好な忍容性が確認された。これらの結果は、DS-8201aがHER2陽性がん患者の未充足ニーズを満たす医薬品となる可能性を示すとともに、本薬物リンカー技術の有用性を示唆するものと思われる。現在これら非臨床研究結果に基づきDS-8201aのPhase 1試験およびPhase 2試験が日米欧にて進行中である。

SEMINAR
  • 山下 伸二
    2018 年 28 巻 1 号 p. 24-28
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル フリー

    経口剤の開発においては、選択された候補化合物の物性データに基づき、開発過程で生じる可能性のあるリスクと、その回避のための方策を把握しておくことが重要である。特に、溶解度が低く、吸収が溶解度-膜透過律速となるような化合物では、溶解飽和によって吸収に頭打ちが生じ、毒性試験などに必要な血中曝露が得られないため、プロジェクト自体の中止という重大なリスクとなる可能性がある。その改善のための製剤学的な方策として、化合物の溶解度自体を上昇させることが可能な過飽和製剤の利用に注目が集まっており、今後、適切な製剤化技術を早期に導入することによって、経口剤開発の効率化が可能となるものと期待される。

  • 内藤 幹彦, 大岡 伸通, 柴田 識人, 服部 隆行
    2018 年 28 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル フリー

     標的タンパク質を分解するケミカルプロテインノックダウン法が次世代の創薬技術として最近注目されている。この技術は、SNIPERあるいはPROTACと名づけられた化合物によって標的タンパク質とE3ユビキチンリガーゼを細胞内で近接させ、標的タンパク質を強制的にユビキチン化してプロテアソームでの分解を誘導するものである。SNIPERやPROTACは標的リガンドとE3リガンドをリンカーでつないだユニット構造をしており、標的リガンドを置換することにより任意のタンパク質を分解する化合物を合理的に設計できる。阻害剤を開発しにくいタンパク質に対しても適用可能であり、米国ではこの技術を基にした創薬ベンチャーが設立され、臨床開発を目指した研究開発が急速に進んでいる。

  • 新間 秀一
    2018 年 28 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル フリー

    イメージング質量分析法は、質量分析を用いた分子可視化手法である。試料組織表面上でイオンを生成し、それらが検出できればイオン強度をマッピングすることでその分布情報を構築することが可能である。質量分析は破壊分析であるため、「試料採取」という侵襲性の問題はあるが、既存のオートラジオグラフィーのような放射線ラベルを用いる必要はない。さらに、ラベル化法では得ることのできない薬物代謝物の体内分布や投与前後の生体代謝物情報も同時に得ることも可能である。このような理由から、医薬品の研究開発で非常に期待を集めている技術の1つと考えられている。定量性についてもさまざまな手法が報告されており、このような技術発展がより一層の期待を集める一因であると考えられる。本稿では、医薬品を対象としたイメージング質量分析の概要と定量イメージング法について概説する。

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