MEDCHEM NEWS
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28 巻 , 3 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
巻頭言
創薬最前線
ESSAY
DISCOVERY
  • 古田 要介
    2018 年 28 巻 3 号 p. 115-121
    発行日: 2018/08/01
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル フリー

    ファビピラビルは富山化学工業株式会社で抗インフルエンザウイルス活性を指標に創製された薬剤であり、RNAウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)を選択的に阻害する新規抗ウイルス薬である。その作用機序は細胞内に取り込まれたファビピラビルが細胞内酵素により代謝され、ファビピラビル・リボシル三リン酸体となり、RdRpを選択的に阻害するものである。特記すべきは致命的な出血熱を引き起こすRNAウイルスにも活性を示すことである。RdRpの触媒領域がRNAウイルス間で広く保存されていることが、広範囲なRNAウイルスにin vitroin vivoで効果を示す現象を支持している。これらの特徴的な抗ウイルス活性を示すファビピラビルは、治療法の確立されていないRNAウイルス感染症薬として期待される。

第35回メディシナルケミストリーシンポジウム 優秀賞 受賞
  • 山本 圭介, 田村 友裕, 松原 正浩, 上野 公久, 周東 智
    2018 年 28 巻 3 号 p. 122-126
    発行日: 2018/08/01
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル フリー

    Peroxisome proliferator-activated receptor(PPAR)γ完全作動薬efatutazoneは、がん細胞に対して分化誘導作用を示す従来とは異なる作用メカニズムを有する抗がん剤として期待されているが、これまでのPPARγ完全作動薬はその特徴的構造に起因すると考えられる体液貯留等の副作用が確認され、承認まで至っていない。筆者らは、既知作動薬とは異なる結合様式を有する新規骨格のPPARγ作動薬であれば、副作用が回避できると仮定し、研究に着手した。自社HTSでのヒット化合物1から母核変換により得られた化合物3は、X線結晶構造解析より、期待どおり、既存のPPARγ作動薬とは異なる結合様式を有していた。そこで、本化合物の最適化研究を実施した結果、in vivo抗腫瘍活性を示し、高用量でも体液貯留が限定的な化合物8を見出した。さらに、化合物8の課題であったCYP3A4誘導作用の回避を達成し、K-928の創製に成功した。

  • ~ビッグデータ解析のアンバイアスドメソッドによる「俯瞰・予測・判断」の提案~
    黒野 昌邦, 西澤 玲奈, 江頭 啓, 竹内 淳
    2018 年 28 巻 3 号 p. 127-131
    発行日: 2018/08/01
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル フリー

    創薬研究に利用できる情報は指数関数的に増大し、ビッグデータの有効利用法の開発が望まれている。メディシナルケミストにとって、HTSの結果解析はリード創製のための重要なプロセスであるが、あまりにも膨大なデータのためにその取り扱いや解析が難しい。そこでメディシナルケミストに使いやすい可視化法「エルピスマップ」を開発したので本稿で紹介する。「エルピスマップ」は、良質なリード創製の可能性を見極められること、追加HTSまたはヒットからの合成展開のGo/No-go判断ができること、そして複数ターゲットのHTS結果を比較した場合、リード創製面でのプロジェクトの優先順位づけを可能にした新しい可視化法である。

  • 稲垣 雅尚, 田村 嘉則, 粂 昌治, 甲斐 浩幸, 金政 利幸
    2018 年 28 巻 3 号 p. 132-136
    発行日: 2018/08/01
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル フリー

    オピオイド鎮痛薬は中等度から重度の痛みに対して広く利用されているが、その副作用として、便秘や悪心・嘔吐がしばしば発現する。オピオイド拮抗薬はこれらオピオイド鎮痛薬により誘発される副作用に効果があることが報告されている。これら副作用を軽減する薬を開発するために、筆者らはモルヒナン誘導体の合成と構造活性相関研究に着手した。そして、強い活性を有する有望で新規なケモタイプを見出すことに成功した。リード化合物のさらなる活性の向上と動態の調整により、最終的にナルデメジン(S-297995)を見出すに至った。本化合物はラット小腸輸送能のモデルにおいて強い抗便秘作用を示し、フェレットにおいて強い制吐作用を示した。ナルデメジン(スインプロイク®)は、2017年オピオイド誘発性便秘治療薬として日米で承認された。

  • 寺内 太朗, ボイクマン カーステン, 吉田 融
    2018 年 28 巻 3 号 p. 137-142
    発行日: 2018/08/01
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル フリー

    オレキシンは視床下部で産生される神経ペプチドであり、2種のアイソフォーム オレキシンA/Bが知られている。これらペプチドはGタンパク質共役型受容体であるオレキシン1受容体(OX1R)とオレキシン2受容体(OX2R)に作用することでシグナルを伝達している。オレキシンは、睡眠・覚醒状態を制御するキーメディエーターとしての生理的役割が示唆されており、不眠障害などに対する新たな創薬ターゲットとして近年注目されている分子である。筆者らが創製したLemborexantは、ユニークな3置換シクロプロパン骨格を有するOX1R/OX2Rデュアルアンタゴニストであり、不眠障害を対象としたPhase 3試験が現在進行中である。また、アルツハイマー型認知症に伴う不規則睡眠覚醒リズム障害を対象としたphase 2試験も同時に進行中である。本稿では、Lemborexant創製に至った探索合成研究と薬理試験結果について紹介する。

 
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