MEDCHEM NEWS
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29 巻 , 2 号
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巻頭言
創薬最前線
  • 岩井 晃彦
    2019 年 29 巻 2 号 p. 50-53
    発行日: 2019/05/01
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    社会や患者の方に高価値の医療ソリューションを継続的に創出していくためには、社外の先端科学の進展をいち早く新薬創出に活用することが肝要であり、またそのための仕組みをもつことが重要である。アステラス製薬ではさまざまな種類の科学の進展を新薬創出の機会と捉え、疾患、バイオロジー、モダリティー・テクノロジーの3要素から多面的なアプローチで創薬研究に挑戦している。また、この3要素からFocus Areaを定義し、これを展開発展させる創薬研究戦略を実行している。組織としてイノベーション創出を促進させるための社内人事制度も重要であろう。本稿では、これらを踏まえ今後求められる創薬研究者像についても考えを共有したい。

  • 青木 一教
    2019 年 29 巻 2 号 p. 54-58
    発行日: 2019/05/01
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    国立がん研究センターでは、「有効な薬をいち早くがん患者に届ける」という使命のもと、国内外の製薬企業との企業治験およびその付随研究を積極的に進めている。近年、築地キャンパスにおける治験に付随したTR/rTRをさらに加速する目的で、Tsukiji TR board(TTRB)と基盤的臨床研究開発コアセンター(FIOC)が組織された。TTRBは、中央病院と研究所が連携した新しい枠組みで、企業やアカデミアとの共同研究に関する一本化した窓口の役割を担っており、同時にTR/rTRの方向性を迅速に決定する機能も有している。FIOCは、研究所内のTRを推進するための新たな組織であり、TTRBでの決定を受けて実際にサンプルの解析等を実行・支援する機能をもつ。このTTRBとFIOCの密な連携を利用して、2018年10月から2019年1月までの1年4ヵ月の間に、すでに20のTR/rTRが計画・実行されており、この取り組みは今後ますます盛んになっていくと考えられる。本稿では、TTRBとFIOCの概略を解説するとともに、TTRBが推進する個別の研究プロジェクトについても紹介する。

WINDOW
  • 八幡 健三
    2019 年 29 巻 2 号 p. 59-63
    発行日: 2019/05/01
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    思わぬことから3年間、米国ハーバード大学の岸研究室で博士研究員として研究を行う機会を得た。強力な抗腫瘍活性を有する天然物halichondrin類の全合成による大量供給法の確立を目指して研究を行った。「複雑な構造の化合物を必要な量供給する」という現代の有機合成における課題ともいえるプロジェクトに携わり、筆者なりに学び、感じた今後の天然物合成に求められるであろう変化に関して個人的な見解を述べる。

ESSAY
  • 五十嵐 中
    2019 年 29 巻 2 号 p. 64-68
    発行日: 2019/05/01
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    日本では、国民皆保険制度という言葉が「すべての国民が公的医療制度に加入できる」ではなく、「その公的医療制度でほぼすべての医薬品が賄われる」状態として理解されてきた。高額薬剤の上市が相次いだことから、財政状況その他を考慮して、最適な医療システムを維持していく方法を見出す議論がようやく可能になった。費用対効果をもとに、公的医療制度での給付の可否や、給付価格の調整を行い、医療の効率性を担保するのが医療技術評価(HTA)である。日本では2019年4月から、給付価格の調整に導入される。費用対効果評価が単なる「薬価を維持するツール」に矮小化されずに、「価値を広く伝えていくツール」と定義されるならば、世の中への高薬価を説明していく手段として費用対効果の情報はむしろ不可欠と考える。

DISCOVERY
平成30年度 日本薬学会 医薬化学部会賞 受賞
  • 寺内 太朗, ボイクマン カーステン, 吉田 融, 数田 雄二, 直江 吉充
    2019 年 29 巻 2 号 p. 69-74
    発行日: 2019/05/01
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    オレキシンは視床下部で産生される神経ペプチドであり、2種のアイソフォーム オレキシンA/B(ヒポクレチン1/2)が知られている。これらペプチドはGタンパク質共役型受容体であるオレキシン1受容体(OX1R)とオレキシン2受容体(OX2R)に作用することでシグナルを伝達している。オレキシンは、睡眠・覚醒状態を制御するキーメディエーターとしての生理的役割が示唆されており、不眠障害などに対する新たな創薬ターゲットとして近年注目されている。筆者らが創製したlemborexantは、ユニークな3置換シクロプロパン骨格を有するOX1R/OX2Rデュアルアンタゴニストであり、不眠障害を対象とした米国NDA申請および日本でのJ-NDA申請を2018年12月と2019年3月にそれぞれ達成した。また、アルツハイマー型認知症に伴う不規則睡眠覚醒リズム障害を対象とした臨床開発も進行中である。Lemborexantの創薬研究については、昨年本誌(28巻3号)に掲載させていただいているが、平成30年度医薬化学部会賞受賞を機に再度執筆の機会をいただいたので、できるだけ重複を避けつつlemborexant創製の経緯についてご紹介させていただく。

  • 河井 真
    2019 年 29 巻 2 号 p. 75-81
    発行日: 2019/05/01
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    インフルエンザとはインフルエンザウイルスの感染によって引き起こされる急性呼吸器疾患であり、オセルタミビルなどのノイラミニダーゼ阻害剤が標準的な治療薬として使用されてきた。近年その耐性ウイルスの出現が確認されており、その蔓延によるパンデミックが危惧されている。筆者らは、新規薬物標的として増殖に必須の酵素であり、メタロエンザイムであるキャップ依存性エンドヌクレアーゼ(CEN)に着目した。社内で蓄積したメタロエンザイムに対する創薬ノウハウに基づき、構造活性相関研究を実施した結果、バロキサビルマルボキシルを見出した。本化合物は、各種インフルエンザウイルスに対して高い有効性を示し、マウスin vivo薬効モデルにおいても優れた効果を示した。バロキサビルマルボキシルを見出した経緯および非臨床試験結果について紹介する。

第36回メディシナルケミストリーシンポジウム 優秀賞 受賞
  • 小笠原 大介, 井中 卓明
    2019 年 29 巻 2 号 p. 82-85
    発行日: 2019/05/01
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    ABHD12は免疫応答調整脂質であるlyso-phosphatidylserine(lyso-PS)の分解酵素として知られているが、その生体内での機能はほとんど解明されていなかった。そこで、今回、筆者らはABHD12選択的な低分子阻害薬を見出し、ABHD12の生体内機能を解明することを試みた。化合物スクリーニングにより見出されたリード化合物の最適化を行った結果、in vivoでもABHD12に対し高い阻害活性を示すDO 264および構造的に類似したABHD12に対し不活性な(S)-DO 271が見出された。DO 264の投与によりマクロファージおよびマウスの脳において基質であるlyso-PSの増加が確認された。また、これらのマクロファージおよびマウスでは免疫応答の増強も確認された。これらの結果からABHD12が生体内のlyso-PSの代謝を制御して

    おり、免疫応答に重要な役割を果たしていることが明らかにされた。

  • 藤本 夏月, 松岡 瑛梨子, 浅田 直也, Harrie J.M. Gijsen, 日下部 兼一
    2019 年 29 巻 2 号 p. 87-91
    発行日: 2019/05/01
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    BACE1阻害による脳内アミロイドβ量の制御は、アルツハイマー病の発症機序に基づく疾患修飾療法となることが期待されている。一方、BACE1ホモログであるBACE2においては、阻害することにより毛の脱色等が報告されているが、生体内の役割は依然不明な部分が多い。筆者らは、BACE2阻害による潜在的安全性リスクの低減を目的として、BACE1選択的阻害剤の探索研究に着手した。非選択的阻害剤verubecestatのBACE1とBACE2複合体結晶構造の比較から、S2’ポケットの水分子ネットワークが両酵素で異なり、BACE2でより安定に存在することを見出し、これらの活用により選択性が獲得できると考えた。本水分子をねらったSAR研究の結果、107倍の選択性を有するプロピニルオキサジン化合物7を見出した。化合物7誘導体と両酵素との複合体構造中では、共に水分子ネットワークが切断されていた。本研究結果はBACE2に対する選択性獲得において本水分子をねらった戦略が有用であることを示すものである。

Coffee Break
REPORT
  • 鏑木 洋介, 原田 尭明
    2019 年 29 巻 2 号 p. 94-96
    発行日: 2019/05/01
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    2018年9月2日(日)から6日(木)にかけて、スロベニア共和国リュブリャナで開催された25th EFMC InternationalSymposium on Medicinal Chemistry(EFMC-ISMC 2018)に参加した。本学会はメディシナルケミストリー分野における世界最大級の学会であり、欧米の製薬企業・アカデミアのメディシナルケミストリー研究者を中心に世界各国から参加者が集う。本レポートでは今回の開催概要およびFirst Time Disclosureの内容を中心に報告する。

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