MEDCHEM NEWS
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30 巻 , 1 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
巻頭言
創薬最前線
  • 廣川 和憲
    2020 年 30 巻 1 号 p. 2-7
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    本格的な産学連携を促進し、大学に対する企業の投資を増加させるために、文部科学省はオープンイノベーション機構(OI機構)の整備事業を開始した。東京医科歯科大学は、「創薬」を研究分野例として平成30年度事業の支援対象に選定され、企業出身者等をリクルートしてOI機構を立ち上げた。本学OI機構は、医薬、再生医療、ゲノム医療、医療機器、非医療の5分野を注力研究領域としている。OI機構はこれまで大学になかったものであるため、その組織だけでなく、学内の仕組みとルール、外部からの認知度向上のための仕掛け等も新たに作り上げる必要があった。共同研究費の適切な設定基準や間接経費の考え方など、産学官の議論が必要で各大学に共通する課題も残されているが、我々はOI機構を医療系大学にとって新しい価値をもたらすものにまで発展させることに挑戦したい。

WINDOW
ESSAY
特集:創薬の可能性を広げる先進的DDS研究
  • 根岸 洋一
    2020 年 30 巻 1 号 p. 15-18
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    近年の医薬品開発を取り巻く環境は著しい変化を遂げており、ブロックバスター創出のための疾患発症の標的分子の枯渇や、アンメット・メディカル・ニーズの高まりなどを理由に、新しい治療技術(モダリティ)多様化時代に突入している。特に新たなモダリティとしてのペプチド医薬や遺伝子・核酸医薬などを、さまざまな生体内バリアを突破させ、標的部位(臓器、組織、細胞等)へと効率的に送り込むには、薬物送達システム(drug delivery system;DDS)が必要不可欠とされている。特に超高齢化の進展により、アルツハイマー病、精神・神経疾患、がんなどの治療のための新規DDS技術の開発は、医療ニーズに応えうる創薬実現化につながるものと期待されている。

  • 安藤 英紀, 石田 竜弘
    2020 年 30 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    標的遺伝子の発現を特異的に抑制するRNA干渉(RNA interference;RNAi)医薬品は、patisiran(Onpattro®)が2018年に世界で初めて販売されたことを契機に、これまで以上に高い注目を集めている。筆者らは臨床での実用性を考慮したRNAi医薬品の開発を試み、すでに量産が可能な工業化技術を確立し、体腔(胸腔および腹腔)内直接投与により悪性胸膜中皮腫や承認薬のない胃がん、卵巣がん、膵臓がんの腹膜播種転移の治療剤としての有用性を前臨床レベルで確認した。本稿では、すでに本格開発段階に移行している体腔内投与型RNAi製剤(開発コード:DFP-10825)について、これまでの開発経緯を紹介する。

  • 亀井 敬泰, 武田 真莉子
    2020 年 30 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    アルツハイマー型認知症等の中枢神経系疾患の治療薬を開発するためには、薬理活性の高い候補薬物を見出すことに加えて、それらを効率的に病巣である脳内へと送達する手法を確立することが重要である。血液脳関門(BBB)を経由することなく、投与部位から脳へと直接薬物を移行させる手段として、経鼻投与法(Nose-to-Brain薬物送達法)が近年注目されている。本稿では、鼻腔および鼻粘膜の構造や脳への輸送機構に基づくNose-to-Brain薬物送達法の課題を述べるとともに、薬物の脳移行性を高める薬物送達(DDS)戦略を解説する。さらに、鼻腔から脳への薬物輸送過程における最大障壁である鼻粘膜透過性を向上させるために筆者らが開発してきた、細胞膜透過ペプチド(CPPs)併用経鼻投与法の有用性についても紹介する。

  • 秋田 英万
    2020 年 30 巻 1 号 p. 30-36
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    mRNAや小分子RNA(siRNAやmiRNA)は、生体内で不足したタンパク質を補充する、あるいは、過剰に発現したタンパク質の発現を抑制することで疾患を治療するための新規モダリティーとして注目を集めている。これらが機能を発揮するためには、目的の細胞に届け、生体膜を突破し、さらには細胞質に放出するためのDrug Delivery System(DDS)が必要である。筆者らは、核酸送達用材料として、細胞内の酸性環境に応答して正に帯電することで生体膜を突破し、細胞質の還元環境に応答して自己崩壊する脂質様材料(ssPalm)を開発している。本稿では、この材料の設計コンセプトを概説するとともに、目的に合わせた分子改変について実例を示す。

  • 中瀬 生彦
    2020 年 30 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    細胞分泌小胞を介した細胞間コミュニケーションが大きく注目されている。なかでもエクソソームは細胞間の“飛び道具”として、がんの転移や脳神経変性疾患にも関わる重要な活性体として、その検出方法から機序解明、制御方法まで盛んに研究が進められている。一方でエクソソームは、薬学的な観点からの高い優位性(自己エクソソームを用いた免疫制御や活性分子カクテルの治療効果、遺伝子工学を用いたタンパク質制御や人工分子送達等)を有し、次世代の薬物送達キャリアーとして大きく注目されている。筆者らはこれまで、ねらった細胞に確実にエクソソームを届ける技術として、機能性ペプチド修飾型エクソソームの開発研究を展開している。本稿においては、化学的にも幅広い応用が可能であると考えられる人工ヘリックス認識ペプチドを用いたエクソソームの受容体標的技術を中心に紹介したい。本技術は、生体の既存の分子に邪魔されずに特異的に標的受容体の活性化を制御でき、将来の生体内治療への応用を指向した手法構築から始まったものであり、基盤となるヘリックス認識人工受容体の設計構築から紹介する。

  • 住吉 孝明, 平中 誠弥, 出口 芳春, 伊藤 昭博, 吉田 稔
    2020 年 30 巻 1 号 p. 43-46
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    中枢性HDAC阻害剤の創製は、アルツハイマー病などの神経変性疾患の新規作用機序に基づく治療薬になりうると期待されている。筆者らは、血液脳関門に発現してpyrilamineなどの抗ヒスタミン薬の脳内取り込みに寄与するとされるpyrilamine-sensitive proton-coupled organic cation antiporter(PYSOCA)に着目し、pyrilamineとベンズアミド型HDAC阻害剤をハイブリッドする戦略により新規HDAC阻害剤1を創出した。化合物1はPYSOCAの基質であるとともにclass I HDACを選択的に阻害した。また、化合物1はラットにおいてCI-994よりも高い血液脳関門透過性を示した。

Coffee Break
REPORT
  • 髙山 健太郎
    2020 年 30 巻 1 号 p. 49-51
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    12th Asian Federation for Medicinal Chemistry(AFMC)International Medicinal Chemistry Symposium(AIMECS 2019)が、2019年9月8日(日)~11日(水)にわたり、トルコ共和国イスタンブールにて開催された。本会は、“New Avenues for Design and Development of Translational Medicine”の副題のもと、12題の基調講演、30題の一般口頭発表、および58題のポスター発表が行われた。本レポートでは、学会の様子と概要について紹介する。

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