MEDCHEM NEWS
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30 巻 , 2 号
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巻頭言
創薬最前線
  • 中村 春木, 近藤 裕郷, 善光 龍哉
    2020 年 30 巻 2 号 p. 58-62
    発行日: 2020/05/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業(BINDS:Basis for supporting INnovative Drug discovery and life Scienceresearch)は、革新的な創薬およびライフサイエンス研究を支援するための事業として、2017年4月から開始されました。本事業では、わが国の優れたライフサイエンス研究の成果を医薬品等の実用化につなげることを目的として、放射光施設(SPring-8およびPhoton Factory)、クライオ電子顕微鏡、化合物ライブラリー、次世代シーケンサーなどの主要な技術インフラの積極的な提供および共有を行っています。さらに構造生物学、タンパク質生産、ケミカルシーズ・リード探索、構造展開、ゲノミクス解析、インシリコスクリーニングなどの最先端技術を有する研究者が、外部研究者から依頼を受けたライフサイエンスや創薬に関する研究を支援しています。

WINDOW
  • 中原 健二
    2020 年 30 巻 2 号 p. 63-66
    発行日: 2020/05/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    中枢神経領域疾患には多くのアンメットメディカルニーズが残されており、複数の製薬企業が重点領域に掲げている。一方で本領域をターゲットとした創薬は、薬理学的メカニズムの複雑さから難度が高く、開発成功率が低いことから、共同研究によって活路を見出す製薬企業が少なくない。塩野義製薬株式会社はJanssen Pharmaceuticals, Inc.(ヤンセン社)にアルツハイマー病治療薬の開発候補品であるBACE1阻害剤(atabecestat)を導出し、同時にバックアップ化合物の創製に関する共同研究を開始した。筆者は、ベルギーにあるヤンセン社の研究所にてメディシナルケミストとして上記共同研究に参画する機会を得た。本稿ではヤンセン社の研究環境や共同研究を通して感じたことについて述べたい。

ESSAY
  • 檜垣 克美
    2020 年 30 巻 2 号 p. 67-70
    発行日: 2020/05/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    遺伝性ライソゾーム病は、細胞内小器官の1つであるライソゾーム内に局在する加水分解酵素や補酵素などの遺伝的欠損により、脂質や糖脂質などの未分解の基質が蓄積することで引き起こされる疾患群の総称である。ライソゾーム病に対するシャペロン療法とは、患者細胞内の変異ライソゾーム酵素に対し親和性を示すシャペロン化合物を作用させることで、構造的に不安定な変異酵素タンパク質を安定化し、酵素活性を復元し、治療効果を得る方法であり、日本で最初に開発された新規療法である。また、低分子シャペロン化合物は、経口投与が可能で、脳病態に対する効果も期待できる。本稿では、筆者らが中心となって行ったシャペロン化合物の基礎開発から、臨床応用までの最新の知見を紹介したい。

DISCOVERY
2019年度 日本薬学会 医薬化学部会賞 受賞
  • 中田 隆, 内藤 博之, 森田 浩司, 益田 剛, 扇谷 祐輔
    2020 年 30 巻 2 号 p. 71-77
    発行日: 2020/05/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    抗体薬物複合体(ADC)は創薬標的となる抗原に対して特異的に結合する抗体を運搬役とし、薬物がもつ最大の薬効を発揮するバイオ医薬品である。筆者らが創製したトラスツズマブデルクステカン(T-DXd, DS-8201a)は、DNAトポイソメラーゼⅠ阻害剤であるカンプトテシン誘導体を腫瘍細胞内で切断可能なリンカーを介して抗HER2抗体に結合している。その主な特徴は、1つの抗体あたりの薬物結合比が高く均一性が高いこと、バイスタンダー効果によるヘテロな腫瘍への強力な薬効を有すること、そして循環中に安定であることから安全性の懸念が少ないことがあげられ、HER2発現ヒトがん細胞株の異種間移植マウスモデルに対して強力な抗腫瘍効果を示した。現在、HER2陽性乳がん、HER2低発現乳がん、HER2陽性胃がん、その他のがん腫に対する第2相、第3相の臨床試験を実施中である。

  • 宮﨑 洋, 川田 剛央, 久田 豊, 盛谷 恭典, 桜井 修
    2020 年 30 巻 2 号 p. 78-83
    発行日: 2020/05/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    二次性副甲状腺機能亢進症の治療薬として、カルシウム受容体作動薬のシナカルセト塩酸塩が広く使用されているが、シナカルセトは嘔気・嘔吐等の上部消化管障害に加え、薬物相互作用の懸念される強いCYP2D6阻害作用をもつことが知られている。筆者らは、これら課題を解決する新規カルシウム受容体作動薬として、エボカルセトを見出した。本剤は優れたBAを有するとともに2D6等のCYPに対して阻害作用を示さず、1日1回の服用で二次性副甲状腺機能亢進症患者の管理目標値達成に寄与する。上部消化管への副作用を軽減するなど利便性に優れ、オルケディア®錠として製造販売承認を取得した。エボカルセトへの本研究は、GPCRのPAM(Positive Allosteric Modulator)を上市まで結びつけた稀有な創薬事例となる。

第37回メディシナルケミストリーシンポジウム 優秀賞 受賞
  • 井上 将行, 徳本 皓太郎, 加治 拓哉, 伊藤 寛晃
    2020 年 30 巻 2 号 p. 84-88
    発行日: 2020/05/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    環状ペプチド系天然物ライソシンE(1)は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対し強力な抗菌活性を示す。1は既存の抗菌薬とは異なり、細菌細胞膜に存在するメナキノン(MK)を標的とし、細胞膜を乱すことで抗菌活性を発現する。本研究では、one-bead-one-compound(OBOC)戦略に基づいた新規1類縁体の迅速かつ効率的な創出を目的とした。筆者らは1の固相全合成法を応用し、2401種類からなる1類縁体ライブラリーを、7510個のビーズ結合型化合物群として構築し、新たに確立した2段階評価系とMS/MSによる構造決定により候補化合物を選出した。再合成と詳細な活性評価の結果、11種類の新規類縁体が天然物1と同等またはより強力な抗菌活性を示し、1と同様のMK選択的な膜破壊活性を示すことを見出した。

  • 小松 徹, 市橋 裕樹, 小名木 淳, 姜 悦, 浦野 泰照
    2020 年 30 巻 2 号 p. 89-94
    発行日: 2020/05/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    生体内の酵素活性の異常は、疾患の成り立ちとも深く関わり、疾患と関わり活性異常を示す酵素は、創薬標的やバイオマーカーとして用いられているものも数多く存在する。酵素の活性は、生体内でさまざまな修飾を受けて動的に変化する性質を有し、これを正しく理解することには困難が伴うが、筆者らは、このような酵素の活性を、生体サンプル中で網羅性をもって評価することにより、疾患と関わる新たな酵素活性異常を見出すことを目的とした研究を行ってきた。本稿では、このようなenzymomics研究に関して、筆者らの開発してきた方法論の概要、および今後の研究展望について概説させていただきたい。

Coffee Break
REPORT
  • 宮本 綾乃
    2020 年 30 巻 2 号 p. 97-100
    発行日: 2020/05/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    わが国では、超高齢化社会の進展や、医療等の担い手の減少など社会構造の大きな変化が見込まれていることから、「未来イノベーションワーキング・グループ」(WG)において健康・医療・介護の領域にIoT、AI、ロボット技術などを積極的に取り込んだ2040年を見据え、バックキャストで中長期的な戦略を検討した。その結果、互いに支え合う「ネットワーク型」の社会が理想であり、理想の社会へのアプローチとして、誰もが担い手になれるような時間・空間制約を超える新たな医療・介護インフラの創出や、一人ひとりの状態に合った医療・介護にスマートにアクセスできるような環境づくりが重要と提言されている。

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