MEDCHEM NEWS
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30 巻 , 3 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
巻頭言
創薬最前線
  • 辻川 和丈
    2020 年 30 巻 3 号 p. 110-114
    発行日: 2020/08/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    大阪大学は、最先端の基礎研究に基づき、その研究成果を創薬として社会に還元する重要な使命を有している。大阪大学先導的学際研究機構創薬サイエンス部門は、部局横断的な連携研究を推進する大阪大学における創薬研究の司令塔である。また化合物ライブラリー・スクリーニングセンターと創薬センター構造展開ユニットや薬物動態・安全性試験ユニットから構成されている薬学研究科創薬サイエンス研究支援拠点は、日本医療研究開発機構の創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム(BINDS)と連携して、シームレスな創薬支援と高度化研究を担当し、わが国のアカデミア創薬を推進している。

WINDOW
  • 直井 智幸
    2020 年 30 巻 3 号 p. 115-119
    発行日: 2020/08/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    世界最大級の医療研究都市であるTexas Medical Center(TMC)のHouston Methodist Research Institute(HMRI)に1.5年間の留学の機会を得た。HMRIでは、臨床応用を目指した新規技術開発を推進するEnnio Tasciotti教授の研究室で、Biomimetic Nanoparticlesの研究に従事した。異なる文化や慣習を有する多国籍メンバーが在籍した研究室では、研究スキルやディスカッション能力の向上に加え、相互を尊重したチームビルディング力も鍛えられた。TMCでは、多くの学びの機会や、人脈形成にもつながる素晴らしい出会いがあり、充実した留学生活となった。本稿では、留学環境や留学期間中の経験を中心に紹介する。

DISCOVERY
第37回メディシナルケミストリーシンポジウム 優秀賞 受賞
  • 飯嶋 大輔, 須釜 寛, 平井 未希, 高橋 陽一, 飯嶋 徹
    2020 年 30 巻 3 号 p. 120-125
    発行日: 2020/08/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    レニン阻害薬は、昇圧に関わるレニン-アンジオテンシン系の律速酵素を阻害するため、ACE阻害薬やARBより強力に系を抑制できると考えられ、強力な降圧作用に加え臓器保護効果まで期待される。しかし数十年にわたる探索にもかかわらず、既存のレニン阻害薬はペプチド様構造や、非ペプチド性構造でも分子量が700近い化合物のため薬物動態に課題があり、唯一上市に至ったAliskirenでさえ生物学的利用率(BA)は2~3%と低い。筆者らは非ペプチド性構造で分子量500未満の化合物を目指して探索を行い、薬物動態の優れたSPH3127を創製した。本剤は動物モデルで強力な降圧効果と高いBAを示し、現在Phase 2試験を実施中である。本稿では、分子量増加を最小限に抑えつつ活性および薬物動態を改善した最適化の詳細を報告する。

  • 小久保 雅也, 木下 淳, 小寺 泰代, 小柳 孝史, 丸山 透
    2020 年 30 巻 3 号 p. 126-132
    発行日: 2020/08/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    パーキンソン病治療薬として上市されているレボドパは、脳内にドパミンを補充する薬剤として広く用いられており、最も治療効果の高い薬剤である。しかしながら、レボドパは血漿中での代謝により血中半減期が短く、頻回投与が必要であることが課題である。筆者らは、レボドパの動態的課題を克服するため、レボドパのプロドラッグ化に着想し研究を行った。700以上のレボドパプロドラッグを合成し、イヌでの動態評価を実施することで、レボドパの課題を克服したONO-2160を見出した。ONO-2160は、イヌ、ラットにおいてドパ脱炭酸酵素阻害剤(DCI)併用下で良好なレボドパ持続性を示した。さらに、ヒト第一相試験において、健康成人、パーキンソン病患者においてDCI併用下で良好なレボドパ持続性を示した。

  • 宇野 貴夫, 大久保 秀一, 北出 誠
    2020 年 30 巻 3 号 p. 133-136
    発行日: 2020/08/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    HSP90はATP依存性の分子シャペロンであり、がん関連タンパク質を安定化することで、がん細胞の増殖および生存に関わることから、がんの治療標的として期待されている。筆者らは、4-(4-(キノリン-3-イル)-1H-インドール-1-イル) ベンズアミド構造をもつヒット化合物1の最適化により、新規な構造クラスのHSP90阻害剤を見出した。TAS-116(9)は、HSP90α/β選択的な阻害剤であり、マウスにおいて経口投与可能な化合物として見出された。また、TAS-116類縁体8のX線共結晶構造は、N末端ATP結合部位でのユニークな結合モードを示した。TAS-116の経口投与は、NCI-H1975ゼノグラフトマウスモデルにおいて、顕著な体重減少を認めず、強力な抗腫瘍効果をもたらした。本稿では、ヒット化合物1からTAS-116創製に至る化合物最適化の経緯、化合物8のX線共結晶構造解析およびin vivo薬効試験の結果を報告する。

優秀賞/JMC特別賞 受賞
  • 山田 慧, 松田 豊, 關 拓也, Brian A. Mendelsohn, 奥住 竜哉
    2020 年 30 巻 3 号 p. 137-144
    発行日: 2020/08/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    抗体薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate:ADC)は、抗体に高活性な低分子薬剤をコンジュゲートした分子標的薬であり、開発研究が加速している。最近の研究で、位置特異的に薬剤をコンジュゲートしたADCは、ランダムに薬剤をコンジュゲートしたADCよりも機能が向上することが報告されている。今回、筆者らは次世代型の位置特異的に薬剤がコンジュゲートされたADCの開発を加速するため、位置特異的に抗体を官能基化する手法(AJICAP™法)を開発した。AJICAP™法は抗体のFc領域に親和性をもつペプチドを利用して、ペプチドが抗体と相互作用した際に近傍のリシン残基を位置特異的に官能基化する手法である。今回、特定のリシン残基が修飾されたAJICAP™-ADCを合成して生物学的な評価を行い、ランダムに薬剤をコンジュゲートしたADCよりも良好な治療濃度域(therapeutic window)を示したので紹介する。

JMC特別賞 受賞
  • 星川 環, 澁口 朋之, 黒川 利樹, 吉村 光, Phil S. Baran
    2020 年 30 巻 3 号 p. 145-149
    発行日: 2020/08/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    電解反応は古くから知られる合成技術であるが、装置や反応様式の複雑さもあり、これまで創薬分野への応用は限られてきた。本技術の創薬研究への適用を目指し、筆者らは探索合成に有用な新規電解反応の開発をアカデミアとの共同研究で進め、今回、新たに飽和炭素骨格上の炭素-水素(C-H)結合をフッ素原子に直接変換する手法を見出した。本手法はヒドロキシ基やカルボニル基など足掛かりとなる官能基を必要としないため、フッ素化類縁体の効率的な合成に役立つと期待できる。開発した手法をエーザイの社内化合物に適用したところ、tropaneの窒素α位C-H結合が効率的にフッ素化されることがわかった。合成されたフッ素化tropaneのdrug-likenessを評価したところ、P-gpの基質性やhERGおよびNav1.5とチャネル阻害性に大幅な改善が認められた。

SEMINAR
  • 長門石 曉, 津本 浩平
    2020 年 30 巻 3 号 p. 151-156
    発行日: 2020/08/01
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    分子標的創薬において、候補薬剤の標的分子に対する特異性の評価は重要な指標である。この特異的な結合を知る手法として、物理化学的解析技術が威力を発揮する。物理化学的解析の強みは、スクリーニングによって選抜された化合物のヒットバリデーションやリード創出である。これらの解析技術は各々で固有の測定原理に基づくデータを得ることができるため、組み合わせて多角的に評価することにより、膜タンパク質やタンパク質間相互作用など、多様化する標的分子に対しても有効である。本稿では筆者らの最近の研究例も含め、低分子創薬における物理化学的解析技術の動向を紹介する。

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