医学教育
Online ISSN : 2185-0453
Print ISSN : 0386-9644
ISSN-L : 0386-9644
28 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • アンケート調査結果報告
    徳永 力雄, 桜井 勇, 伴 信太郎, 福井 次矢, 堀口 正治, 生駒 尚秋, 小寺 一興, 神津 忠彦, 日下 隼人, 森田 孝夫, 小 ...
    1997 年 28 巻 4 号 p. 197-203
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    日本の医科大学における卒前臨床実習の実態を, 医学部ならびに臨床実習担当診療科を対象に質問紙法により1996年2月に調査した. 医学部からの回答率は81%(65大学), 診療科からの回答率は約54%(1,328科) であった. 各大学が実行していると回答した割合は, clinical early exposure83%, 臨床クラークシップ28%, 実習到達目標の明示75%, 学生の医行為水準の明示66%, 学生実習に対する患者への説明と同意77%, 実習開始前の学生の能力の評価40%, 実習終了後の総括的評価72%, 教授法ワークショップ51%, などであった. 指導医師数は89%が不足と回答した. 各診療科の回答もほぼ同様であったが, とくに指導スタッフの不足, 学生の学習意欲と基礎的知識技能の不足に対して意見が多かった. 大学および診療科において, 臨床実習の充実のために臨床クラークシップの導入や学外施設との連携など多様な改善を予定していることが判明した.
  • アンケート調査結果報告
    徳永 力雄, 桜井 勇, 伴 信太郎, 福井 次矢, 堀口 正治, 生駒 尚秋, 小寺 一興, 神津 忠彦, 日下 隼人, 森田 孝夫, 小 ...
    1997 年 28 巻 4 号 p. 205-212
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    医科大学・医学部附属病院の学生臨床実習担当診療科を対象に, 医行為を中心とした実習の実施状況に関するアンケート調査を行い, 1,328科から回答を得た. 学生が直接行ってよいとされる水準1 (36項目) の医行為の実施状況 (ほとんどの学生あるいは一部の学生が実施している割合で, 全科の平均または関連当該科の平均) は, 80%を超える項目が8項目, 50~70%の項目が19項目, 50%未満の項目が9項目であった. 指導医の立会いのもとで状況によって学生が実施してよい水準II (15項目) の医行為の実施状況は, 同様に実施率が55~79%の項目が8項目, 50%未満の項目が7項目であった.原則として介助または見学にとどめるべき水準III (16項目) の医行為の実施状況は, 見学 (一部介助) を行っている率は82~86%が4項目, 50~79%が11項目, 40%が1項目であり, また, 実際に (一部の学生が) 実施している率が10~44%の項目が13項目, 6~9%の項目が3項目であった. そのほか各診療科において, 特殊な医行為の介助・見学や標準模擬患者・パソコン・模型・動物の利用, 学外・院外での体験実習が取り入れられていた. 一方, 学生の医行為の違法性の有無への不安, 患者への説明と同意, 学生の基礎的能力の向上, 指導スタッフの不足, 指導医の訓練と指導マニュアルの必要, などについて意見が多かった.
  • 調査報告
    日下 隼人, 徳永 力雄, 桜井 勇, 伴 信太郎, 福井 次矢, 堀口 正治, 生駒 尚秋, 小寺 一興, 神津 忠彦, 森田 孝夫, 梅 ...
    1997 年 28 巻 4 号 p. 213-220
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    新しい医学教育の方向性を求める資料を得るために, 各大学で教育カリキュラムの中に態度教育がどの程度取り入れられているかをアンケートにより調査した.その結果, 態度学習について, すでに多くの大学がなんらかの形でカリキュラムまたは指導項目に取り入れているが, その時間数や内容については大学間の差が大きく, 学生の評価や教育効果の判定についての取り組みは不十分であった.教員数不足やカリキュラム作成の困難さ, 時間数の不足などのために取り組めないとする大学もある.しかし, これから新しい試みに取り組もうとしている大学も多く, 医師以外の人による教育, 第一線の医療体験, 模擬患者 (SP) を用いる教育などが検討されていることがわかった.これらのことから, 態度教育についてガイドラインが必要な時期にきていること, SP養成など医学教育をバックアップする体制の早急な整備が求められていると考えられた.
  • 藤川 貴久, 西村 理, 八田 和大, 伊賀 幹二, 今中 孝信
    1997 年 28 巻 4 号 p. 225-230
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    総合診療方式における外科研修の一環として結紮手技習得法について検討した.対象は1996年度の本院1年次ジュニアレジデント (臨床研修医) 11名で, 研修開始時にビデオ撮影を利用した手技の説明の後, 毎週の外科カンファレンスの前後を利用した反復練習, 受け持ち症例での実践を4か月間行った. 評価には, 所要時間, 結び方, 確実性からなる独自の結紮スコア (0~18点) を用いた. 研修開始時と4か月後では結紮スコア値は9.8±2.7から12.0±2.4へと有意に上昇しており (p<0.05), とくに所要時間の短縮傾向が強かった.また, 2年次ジュニアレジデント10名による同様のスコア値に比べ, 結び方や確実性で1年次レジデントの方が高い傾向を示した.症例での実践に加え, ビデオによる技術習得の補助, 定期的な反復練習により, 確実かつ安定した結紮技術を比較的短期間で習得しうることが示された.
  • 佐々木 勸
    1997 年 28 巻 4 号 p. 231-234
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    18歳人口減少に伴う 「医科大学志願者減少」 が学生の質を低下させるであろうとの予想を, モデルを用いて裏づけた.また, この際, 別個の現象である 「医学情報量増大」 がともに働き, 学生の質の低下を倍加させる理由をも明らかにした. この結果は, 一部の医科大学が, 近い将来, 危機に直面するだろうことを示唆している. この危機を乗り切る対策は新カリキュラムしかなく, その成否は教員の教育意欲で決まる. その理由を説明した.
  • 和田 忠志, 川越 正平, 前田 浩利, 川畑 雅照, 北田 志郎, 高屋敷 典生, 鷲山 拓男, 田井 健, 山田 健志, 羽原 隆, 日 ...
    1997 年 28 巻 4 号 p. 235-238
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    初期プライマリ・ケア研修においては, 急性疾患・慢性疾患の双方をバランスよく習得することが望ましい.そのために, 病棟, 救急外来, 一般外来・定期往診の研修は互いに相補的なものである。「どの科を回るか」が横の軸であるとすれば, 病棟, 救急外来, 一般外来・定期往診の研修は「縦の軸」である.これまでは, 横の軸が主に語られてきたが, 縦の軸でもバランスよく研修することが望ましい.
  • 田辺 政裕, 大沼 直躬, 岩井 潤, 吉田 英生, 榎本 秀樹, 黒田 浩明, 小林 裕之, 岡田 忠明, 高橋 英世
    1997 年 28 巻 4 号 p. 239-243
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    小児外科での臨床実習の有用性およびその問題点を検索する目的で, 授業評価アンケート調査を学生に対して行い, 95名中70名 (74%) から回答を得た.うち84%の学生が患児のproblem listを作成できたと回答したが, 実際にproblem解決のための方法を見出せたと回答した学生は54%であった.解決法を見出せなかった理由として, 疾患に関する知識の不足, 診療に必要な技能の未修得を多くの学生があげた. 学生が臨床実習を施行していく上での基礎的な知識, 技能が十分修得されておらず, 臨床実習開始前にそれらを修得させる授業および習熟度を評価する必要があると考えられた.
  • 卒業生によるカリキュラムの振り返り評価と卒後の経歴
    森田 倫子, 工藤 典雄, 加納 克己, 高橋 秀人, 林 英生, 大野 忠雄, 三井 利夫, 阿部 帥
    1997 年 28 巻 4 号 p. 245-251
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    筑波大学医学専門学群は講座制を廃し, 統合カリキュラムによる6年一貫医学教育を実施し, 1994年までに1,561名が卒業した. この卒業生を対象に現在の社会的活動状況を調査し, あわせて本学学群のカリキュラムに関する意見調査を行った.卒業後8年以上経過した者では, 44~73%は病院医師として活躍しており, 16~40%は大学において教育・研究に従事し, 開業している者は0~8%であった.卒業生の約80%以上は卒業後研修医 (2年以上) を経験しており, 約40%は本学の6年制のレジデント (定員40名/年) を修了していた.いわゆる 「定職に就いた医師」 となるまでには約10年の卒後教育・研修を受けていた.専門医・認定医を取得している者は93%であるが, 学位を取得している者は70%, 準備中を含めても80%程度であり, 専門医の志向が強かった.女子においてはとくにこの傾向が強く, 専門医・認定医取得85%に対して学位取得 (準備中を含めても) は53%であった.本学のカリキュラムの評価はおおむね好評であった.卒後の進路決定には, 自分の適性・興味をもっとも重要視しており, 先輩や友人の意見, 親や親戚の意見はほとんど考慮されていなかった. このような調査結果を十分考慮しながら卒前・卒後の一貫した医学教育カリキュラムを立案し現状の改善を志向しなければならないであろう.
  • 佐々木 純, 島地 重幸, 山内 誠
    1997 年 28 巻 4 号 p. 253-254
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    医科, 歯科学生の外科学臨床実習の一環として, われわれは学生に医学部外科系各科の手術の鉤ひき助手をさせ, あるいは見学をさせている. 見学生のためにわれわれは移動式テレビカメラを作った. これは廃物の麻酔器キャビネットに柱を立て, 柱から長い横腕を出し, 腕の端にカメラをとりつけたもので, 狭くて深い手術野も, キャビネット上のモニターテレビに鮮明に写し出すことができる. 学生からは手術がよく理解できると好評である.
feedback
Top