平成3年の大学設置基準の大綱化により, 一般教育の見直しがほとんどの大学で行われている. それらの変化は, 1) 進学課程の減少, 2) 特殊教育科目の拡大, 3) early exposure実施の拡大, の3点によって特徴づけられ, 全体として一般教育のモデルが, 一般教養人モデルから医師としての人間性教育モデルへとシフトしてきているといえる. しかし, 問題点として, 制度的枠組みは変わったものの, まだまだ旧来の教育から根本的に抜け出せていない現状が依然としてある. 今後の一般教育は, アメリカのようにカレッジで一般教育を終了後に医学部に入学する形態か, ヨーロッパのように一般教育の一部を高校段階で終了し, 医学部入学後は医師として必要な基礎教育・人間性教育に焦点を当てる形態に変わっていく可能性がある. 課題として, 1) 医学以外のものの考え方を身につけるため工夫, 2) 近年の青年の変化に対応した教育体制の確立, 3) 一般教育を総合的に監督, 調整する部門の確立, のそれぞれの必要性が存在する.
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