医学教育
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30 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 山田 浩, 渥美 哲至
    1999 年 30 巻 1 号 p. 3-7
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    多くの専門科を有する大病院での総合診療の役割を検討するため, 初期臨床研修医が総合診療内科で1年間に受け持った全入院患者205名の疾患内訳を調査した. 患者の年齢は, 平均64.8±21.6歳, 年齢分布は40歳以下の比較的若年者と40歳以上の壮・高齢者の2峰性を示した. 疾患の内訳は40歳以下では, ウイルス感染症を主とした感染症が多く, 40歳以上では感染症以外に, 心, 腎疾患や悪性腫瘍などさまざまな疾患が含まれた. また, 合併症を複数有する割合は高齢者で有意に高かった. 以上より初期臨床研修医が総合診療内科を研修することにより, 高齢者の診療を通じ単一臓器に片寄らない診療を身につけ, 合わせて全人教育を学ぶことが可能である.
  • 江口 光興, 古川 利温, 田中 吾朗, 海野 健, 杉田 憲一, 小澤 武史, 黒崎 元之, 黒澤 秀光
    1999 年 30 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    Problem oriented system (POS) を志向した小児科臨床実習で同一事項について, 学生の自己評価と教官の評価を行い, 検討した. また, 学生の自己評価に個人名が分かる場合と, 個人が同定できない場合で差異があるかをみるために, 記名提出と無記名投書に提出方法を変えて, その差異をも検討した. 学生の自己評価は「小児科の知識」の項でもっとも低く, もっとも高いのは「与えられたテーマの調査, まとめ」であった. 記名提出では学生の自己評価は高くなった. 教官の評価は, 学生の自己評価と比べると, ほぼ同じか, 若干高い傾向があった. 同時アンケートでみると, POSを導入した臨床実習は学生側からも好意的に受け入れられていた.
  • 知識量と予想正解率との関係について
    池袋 賢一
    1999 年 30 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    平成9年の医師国試から採用された五肢複択形式であるX2形式では, 五肢単択形式であるK2形式に比べ, 全く知識がない場合の偶然正解率が20%から10%へ下がるなどの点で改善されているが, 80%の知識量 (選択肢5つ中4つが判別) で正解率100%に達する欠点は共通である. このような特性を検討するため知識量 (5つの選択肢中正誤を判定できた数) と予想正解率の間の関数関係を導き検討した. また, 五肢複択形式は指示する正解数をある範囲で指定可能な点に注目し, 指示正解数「0または1個」などの形式について受験生の知識量と予想正解率の関係を検討したところ, 正解数を1または2とするX1, 2形式で, 知識量0~5個での正解率が7%, 13%, 25%, 43%, 70%, 100%, 正解数を2または3とするX2, 3形式で5%, 10%, 20%, 40%, 70%, 100%となり, 知識量80%と100%の差を正解率に反映可能な点でK2やX2形式より優れていると考えられた.
  • 田村 暢煕, 鮴谷 佳和, 安田 幸雄, 大谷 信夫
    1999 年 30 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    平成7年度の第1学年を対象に導入したテユートリアルの教育について, 教師側からみたその効果を前報で報告した. 今回はテユータによる学生評価と系統講義を含む総合成績および学生に対して行ったポストアンケートを資料に, 学生個々人に, テユートリアル教育がいかなる効果をもたらしたかを検討した. 今回はその結果の最初の報告であり, テユートリアル教育は学生の解析能力の向上に効果があったことを報告する.
  • 遠藤 和男
    1999 年 30 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    老人保健事業の中で, 健康教育事業は大きなウェートを占めているものの, 実施は市町村に任されているため, 市町村における教育内容の格差は年々大きくなってきている. 従来, 一般目標や行動目標が明記された学習プログラムが作成されたことはほとんどなく, また教育の効果についても, 正しく評価されてきたとはいいがたい. 新潟県内の保健所栄養士を対象として, プログラム作りについてのワークショップを開催した. 参加者の態度はより積極的な方向へと変化した. 地域における健康学習のプログラム作成においても, 医学教育におけるカリキュラム立案の過程が適用できると考えられる.
  • 実習レポートの分析から
    森 淑江, 江守 陽子, 紙屋 克子, 戸村 成男, 柳 久子, 土屋 滋, 岡田 直子, 赤沢 陽子
    1999 年 30 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    医療の高度化, 医療に対する社会の要請の変化によりチーム医療を行う必要性が増大している. 筑波大学では開学以来20年以上医学専門学群4年次3学期のpre-BSLの中で, チーム医療実習として看護体験実習を行っている. この目的は看護の視点での患者理解と医療職者間の連携を学ぶことである. われわれは学生の実習レポートの分析により, 本実習を通して学生が実際に学習している内容を検討した. 自由記載の部分から326項目, 11カテゴリーが抽出された. 最多数のカテゴリーは「看護/看護婦」, 次いで「コミュニケーション/人間関係」だった. 分析結果より学生は実習目標以外の点も学習していることが判り, 本実習の成果は大きいと考えられた.
  • 山本 要
    1999 年 30 巻 1 号 p. 43-46
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    インターン制度廃止後のわが国の医師卒後研修は, 今なお大学病院を中心とするストレート研修が主流である. 著者は在沖縄米国海軍病院卒後研修の体験から, 医師卒後研修には教育の質的向上が不可欠であり, プライマリ・ケアが重視される状況において救急研修を含む総合診療方式が必須であると考えた.卒後研修の早急な改善が必要である.
  • 赤林 朗, 宮坂 道夫, 甲斐 一郎, 大井 玄
    1999 年 30 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    全国80校の医学部・医科大学に, 医の倫理教育についての実態・意識を問う, 郵送による無記名・自記式質問紙調査を行った. 調査は1995年に行われ, 64校より有効回答が得られた.94%の大学が, 倫理の話題が講義されている科目が「ある」, あるいは「開設する予定である」と回答した. 医の倫理, 生命倫理など, 独立した科目を設置していた大学は19校 (予定の5校を含む) で, その他は医学概論などの科目の中で講義がなされていた. それらの科目は大多数は必修で, 臨床実習が行われる前に行っている大学が多かった. 回答者に医学生に教育が必要な倫理のトピックスとしてもっとも重要なものを3つ選択することを求めたところ, 医師の義務・エチケット, インフォームド・コンセント, 患者の権利などが多く選ばれていた.
  • 関川 暁, 佐藤 敏彦
    1999 年 30 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    疫学は20世紀, 人類の健康に対して大きな役割を果たしてきた. その重要性は, 近年, 臨床の分野でも高まっている. しかし, 体系だった疫学教育は, 主に, 欧米の公衆衛生学校で施行されているのみで, 医学教育の中では不十分であることが指摘されている. 近年, インターネットは急速に普及し, 遠隔教育への応用も多く試みられている. 著者らは, 1997年, ピッツバーグ大学公衆衛生大学院疫学部が行っている講義の, インターネットを利用した疫学遠隔教育にティーチング・アシスタントなどとして参画した. この講義は, 無料で受講できる唯一の疫学遠隔講義であり, 日本からも4名の受講があった. この論文では, この講義の実際を報告した.
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