わが国のProblem-Based Learning (PBL) に基づいた小グループ学習による医学教育を構築していくにあたり, 国外で本教育法をすでに実施している医学校に対して, アンケート調査を行った. アンケートは教育システム, 教師の教育トレーニング, 教師の評価, 学生の評価に関する計15項目で構成された. 10校にアンケートを送付し, 完全回答の得られた米国5校, イギリス1校, カナダ1校, オーストラリア1校の計8校の結果をもとに検討した. この教育法を実施している大学では, 1校を除いて全ての大学で教師の教育トレーニングが行われ, 4大学では再訓練が施行されていた. 教師の評価に関しては, 5校で教師自身が自己評価を行い, 7校では学生あるいは教務委員会などによって客観的な能力評価が行われ, その結果は教師にフィードバックされていた. 学生の評価に関しては, 全大学で自己評価, 筆記, 口頭試験などによる多面的な評価が行われ, 1校を除いてその評価は進級に直接影響すると回答した. また, 学生の評価は自己評価に加え, テユータや教師によっても行われ, 1校では同級生によっても評価されていた. 以上の結果から, PBLに基づいたテユートリアル教育を効果的に行うためには, テユータの自己評価および学生や教務委員などの教育関係者による評価, 学生の学識, 技能および学習態度の多面的な評価に加え, それらの評価が教師や学生の双方へ十分にフィードバックされることが重要であると確認された.
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