医学教育
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31 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 櫻井 勇, 井内 康輝, 熊坂 一成, 小寺 一興, 羽田 積男, 吉澤 信夫
    2000 年 31 巻 4 号 p. 209-212
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本学会第12期の会長ならびに運営委員会から委嘱された教育業績評価ワーキンググループは, わが国の現状に則した, 大学医学部 (医科大学) に共通する教育に関する教員の業績を評価するためにこの基準を作成した. この基本的評価基準について各大学が独自の修正・追加を行い, それぞれの大学の教育目標を達成するために活用していただきたい.
  • 特に認知行動特性との関連について
    斎藤 清二, 松井 三枝, 牛 麗沙, 渡辺 明治
    2000 年 31 巻 4 号 p. 213-219
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    医学部5年生36名を対象に, 模擬患者の協力を得た客観的臨床能力試験 (OSCE) による医療面接技能の評価を行った. 受験者の認知行動特性を7種類の評価尺度 (locus of control, 社会的スキル, 自尊感情, 一般性自己効力感, 医療面接特異的自己効力感, 自己認知, 対人認知) を用いて評価し, 医療面接技能との関連性を検討した. OSCE前にスモールグループによる医療面接技法教育を受けていた者は 「全体のまとめを示す」 の項目で有意にOSCEにおける評価者得点が高かった. 評価者得点と正の相関を示した認知行動特性は, 対人認知尺度における 「個人的親しみやすさ」 だけであった. 医療面接技法のうち 「要約と確認」 のカテゴリーのみにおいて, 自己効力感尺度と評価者得点が正の相関を示した. 結論として, 1) 少なくとも今回検討した認知行動特性の相違は医学生の医療面接技能修得の妨げにならない, 2) 「要約と確認」 は重点的に教育する価値のある医療面接技法である, の2点が示唆された.
  • 宮坂 道夫, 山内 春夫, 出羽 厚二, 櫻井 浩治
    2000 年 31 巻 4 号 p. 221-225
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    私たちは, 主に臨床実習等を経験していない段階の医学生, 看護系学生, 一般の学生等を対象に, 3年間にわたって医療倫理教育を試みてきた. その中で, 原則論的方法, 決疑論的方法, 物語倫理的方法の3種の学習方略を, テーマ別の学習計画に沿って適宜組み合わせて用いた. その結果, 1) 原則や概念の学習は不可欠ながら, 倫理的推論能力獲得の学習方略としては, 原則論的方法よりも決疑論的方法の方が学習効果が高いこと, 2) 人間性教育の学習方略, 特に価値相対化の手段として, 物語倫理的方法が効果的であることが伺われた. これら3法を組み合わせることで, 系統的な医療倫理教育の学習方略が構築できる可能性が期待される.
  • 畠山 隆信, 志村 則夫, 大石 雄一
    2000 年 31 巻 4 号 p. 227-234
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    従来の歯科医学教育は知識・技術を伝える講義および実習が中心であり, 歯科医療もまた, それらを基にして提供されてきた. 現在, 歯科医師-患者関係の改善や向上が叫ばれる中で, 歯学教育の中では, 態度学習のあり方と導入の方法が盛んに検討されている.当教室では, これまで医師一患者という役割を超えた普遍的な人間と人間の関係の上で展開される医学教育や医療のあり方を追究してきた. 今回, その試みの1つとして, 学生実習の中に患者が直接参加する教育プログラムを実施した.教官と学生だけで行われる教育や実習では,「人間と人間との間に創造される普遍的な信頼関係とは何か」「健康創造のプロセスはどうあるのか」 ということに対する学生の理解は不十分であった. しかし, 教育現場に患者が直接参加することで, 学生は歯科医師と患者との関係を, 医療モデルの役割としてではなく同じ人間として理解することができ, 健康創造 (全人的医療) についての理解が深まった. 実習内容の紹介および実習後の学生による自己評価の分析結果について検討を行った.
  • テュートリアル1期生に対する臨床教官による評価
    高橋 優三, 高塚 直能, 湊口 信也, 伊藤 和夫
    2000 年 31 巻 4 号 p. 239-246
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    岐阜大学医学部のテユートリアル・システムの実効性を検討するため, テユートリアルで育った学生への評価を, 学内で臨床医学教育に携わる教官などに依頼して, アンケート調査を実施した. その結果, テユートリアルで育った学生が従来の教育で育った学生に比して, 知識量, 問題解決能, 積極さなどにおいて優位性があると示唆された.
  • 北川 元二, 伴 信太郎, 島田 康弘
    2000 年 31 巻 4 号 p. 247-254
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    客観的臨床能力試験 (OSCE) の医療面接の標準模擬患者 (SP) として医学部4年生の学生を訓練し, 実際に医学部5年生のOSCEの医療面接に患者役として参加させる試みを行った.受験した学生, 評価者の教官からのアンケートおよびビデオレビューの結果からはSP役として十分なリアリティと再現性があり, SPとして適切であった. SPを演じた学生もeye contactや共感的な態度, 信頼できる態度など患者の視点からの気付きなどが実感でき, 教育効果もあったと考えられた. OSCEの医療面接評価のSPとして, 訓練した医学部の低学年の学生が参加できれば, 現在医療面接評価の展開の制限因子になっているSP不足をクリアできるのみならず, 学生自身の学習機会ともなり, その意義は大きいと考えられる.
  • 久保 圭子
    2000 年 31 巻 4 号 p. 255-260
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    コメディカル養成校の 「豊かな人間性の育成」 や 「医療・保健・福祉の連携に対応できる人材」 と謳われている教育目標はカリキュラムの中でどう展開されているのだろうか.筆者は全国178の養成校の教育カリキュラム, シラバスを調査し, 福祉教育の位置付けを試みた.結果, 福祉教育は実習教育, 人権教育, 社会福祉学によって展開され, その目的は人間理解, 問題解決能力の育成, 共生社会の基礎づくり, 自己の存在の認識であることがわかった. しかし, 福祉の科目は十分な内容とは言えず, 福祉教育が豊かな人間性を育む教育として機能していない. 21世紀の医療を考えるとコメディカル教育における福祉教育の正しい理解の普及と構築が緊急の課題である.
  • 綾木 雅彦, 亀田 俊忠
    2000 年 31 巻 4 号 p. 261-264
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    亀田メディカルセンター眼科における電子カルテを使用した医学教育について報告する. 所見やデータの入力において形式や用語の点でソフトウエアに改善の余地があるが, 電子カルテを使用すると, 情報の保存と整理, ブリーアクセスといったコンピューターの特長をそのまま教育に生かすことができ, 教育効果も紙カルテよりも増大すると考える.
  • 大西 弘高, 小田 康友, 江村 正, 山城 清二, 小泉 俊三
    2000 年 31 巻 4 号 p. 265-270
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    【目的】学生が習得すべき基本的神経診察法に関する客観的臨床能力試験 (以下神経OSCE) の役割とその妥当性, およびその評点と学習行動との関連について評価する.【対象と方法】31項目からなる基本的神経診察法の要点を学生に示し, 小グループ実習を実施した後, これが評価項目であることを提示し自己学習を促した上で1週間後に上記31項目に基づく神経OSCE (各0-2点) を実施した. 対象は, 平成10年8月から10月にかけて基本的神経診察法実習を受けた佐賀医科大学医学科6年次生44名. OSCE評価表による診察技能の評価と共に, 自己評価・緊張度・OSCE前の自己学習および練習時間, 練習相手の有無といった学習行動に関する項目に関して質問票を用いて回答を求め, 神経OSCEの評点との関連性を統計学的に分析した.【結果】神経OSCEの項目間において内的一貫性はα計数=0.731を示し, 合計の平均点は51.2±6.6点であった. 評点と統計的に有意な関連を示した学習行動の項目はOSCE前の練習時間, 受験時の緊張度であり, 自己学習時間や自己評価は評点と関連しなかった. 高得点者は, 受験前により長く練習し, 受験時の緊張度が高かった.【結論】われわれの考案した神経OSCEは自己学習時間より練習時間とよく相関し, 神経運動領域の評価法として概念的妥当性を有していることが示唆された.緊張度が評点と関連することについては, その意味するところをさらに調査する必要があると思われた.自己評価が評点と関連しないことに関しては, 神経診察法については現状の卒前教育レベルでは学生自身による自己学習の目標設定が不十分であることが予測され, 神経OSCEによる客観的評価の場を設けることが学習目標を明確にし, 適切な学習行動を導くうえで有用であると思われた.
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