医療費財源の不足が大きな社会問題となってきている. 産婦人科医における保険診療に関する考え方の実態を知る目的で, 日本産婦人科学会鹿児島地方部会会員 (鹿児島大学医学部および附属病院勤務産婦人科医, 国公立病院勤務産婦人科医, 開業産婦人科医あるいは私立病院に勤務する産婦人科医) を対象に, それらの事項につき, 1999年8月にアンケート調査を行った. 鹿児島大学医学部および附属病院勤務産婦人科医 (大学および附属病院勤務) 17名, 国公立病院勤務産婦人科医 (公立勤務) 25名, 開業産婦人科医あるいは私立病院に勤務する産婦人科医 (開業) 56名からそれぞれ有効回答が得られ, 回収率は全体で63%であった. 大学および附属病院勤務, 公立勤務, 開業の3者とも多くのものは保険診療のルールを考えながら診療しており, またそうすべきであると考えていた. しかし, 大学および附属病院勤務と公立勤務では保険診療についての知識の程度が低く, また職場で上司の医師から保険診療につき教えてもらっているものは少なかった. 開業では, 大学医学部および附属病院での研修期間中に保険診療のルールにつき教えてもらったものはわずかであった. 大学および附属病院勤務, 公立勤務, 開業の3者のほとんどが大学医学部および附属病院での教育の中に保険診療の項目を組み込むべきであると考えていた.
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