卒前教育における診察所実習で, 学生は, 外来診療の見学補助だけでなく, デイサービスへの参加, 往診, 予防接種, 職場巡視, 健康教育, 高齢者サービス調整会議への出席など, さまざまな活動に参加する. このような実習を通して学生は, 患者と医師の親密な関係, 患者・家族の生活背景を考慮した医療, 継続的な医療, 適切な専門医療機関との連携, 医師以外の看護師, 保健師, ヘルパー, 福祉担当者などとの連携, 地域の医療保健福祉資源を有効に利用したケアなど, プライマリ・ケアで重要な項目を具体的に体験している.このような概念を大学病院や大病院で効果的に教えることは難しい.筆者自身の経験を通して, 今後このような診療所実習を普及するための方策や課題について述べる.
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