地域医療の必要性が増した今日, これを担う医師の養成は大きな課題となっている. 自治医科大学では, 1998年から実施している地域医療現場での臨床実習に, 2001年から実習施設および内容に関する標準プログラムを導入した. 今回, この標準プログラムの効果について検討を行った. 研究デザインは自記式質問紙調査, 対象は2000年~2002年の実習履修者 (5年生308人), 主な調査項目は実習後の感想および地域医療と将来への思いで, Visual Analogue Scale (VAS) を用いた. これらを導入前後で比較した. 導入前に比べ, 実習は「意義があった」や「続ける必要がある」の導入後のVASスコアは統計学的に有意に高かった. 加えて, 「地域で働く医師は楽しそうである」「住民, 患者, 行政職と話すのが苦にならない」「総合医, 専門医になりたい」のVASスコアも統計学的に有意に高かった. これらの結果, 標準プログラムは, 全般評価に加え, 地域医療や将来への思いについても一定の効果をもたらしたと考えられる.
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