医学部学生に対する「緩和医療」に関する教育内容を改善するための1つの方法として, 「ターミナルケア」受講後10年を経た医師を対象に, 緩和医療教育の必要性, 講義時間数や内容などについてのアンケート調査をし, その内容を分析した. 2学年の卒業生247名のうち, 有効回答は56名で, 有効回答率は23%であった. 臨床医は, 全員何らかの形で, それまでに緩和医療に携っていた. 学生時代の緩和医療に関するカリキュラムの必要性は全員が認めていた. 自分たちが受けた学生時代の講義内容については, 大半が有意義であったと回答した. 資料や話題を提供して学生に緩和医療について考えさせるという基本方針には, 修正意見もみられたが賛意を表するものが最も多かった. 内容についても同様に, 修正意見もみられたが, 現行でよいとの意見が最も多かった. 時期は臨床講義が一通り終わった後の臨床実習の前あるいは後, 時間数は10~20時間程度とする意見が比較的に多かった. 実習については大半がその必要性を認めていた. しかし, 緩和医療は各診療科で日常診療の一部としては行っているとはいえ, 専用病棟もなく, 専門の診療科もないという九州大学の現状からすると, 大学での実習実現については否定的であった. また, 仮想実習についてはリアリティーに欠けるなどの理由から否定的であった.
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