医学教育
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36 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 実習前後の学習者および模擬患者の感想の比較
    阿部 恵子, 西城 卓也, 向原 圭, 菊川 誠, 鈴木 富雄, 伴 信太郎
    2005 年 36 巻 4 号 p. 207-213
    発行日: 2005/08/25
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    【目的】模擬患者 (SP) の協力を得た医療面接と身体診察実習 (MIPEP) の今後の方向性と教育意義について検討した.【方法】SP9名および医学生10名を対象に, MIPEPを15分とフィードバックを15分間行った. 実習の前後でグループ討論を行った.【結果】医学生は診察中のマナー, 言葉がけが重要であると感じ, 臨床に出る前の自信にもつながると感じた. SPは身体を直接触ることの重要性と事前準備などを十分に行う必要性を感じ, 学生の前向きの態度を重要視した.【考察】SPの協力を得たMIPEPはマナー, 言葉がけなど, 尊重すべき人間に対する接し方を学ぶという教育意義があることが示唆された. MIPEPが今後発展していくためには, 十分に配慮された事前準備が必要である.
  • 安達 正時, 山城 清二, 小泉 俊三
    2005 年 36 巻 4 号 p. 215-226
    発行日: 2005/08/25
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    米国では充実したボランティア環境の影響もあり, ボランティア活動が医学教育の一環に積極的に取り込まれている. 一方日本でも病院ボランティアが徐々に増えてきている. こういった中, ハワイ大学と佐賀大学の医学生のボランティア活動を比較するアンケート調査を行った. その結果, 活動期間・場所・内容の比較から, 医学生によるボランティア活動は日米の医学教育制度の違いの影響を強く受けていることが分かった. また, ボランティア経験が実地臨床への関心, 患者と接するにあたっての自信に繋がっていることが分かった. 今後, 日本独自の医学教育を考えていく上で医学前教育におけるボランティア活動も含めたさらなる議論が必要である.
  • 田中 博之
    2005 年 36 巻 4 号 p. 227-233
    発行日: 2005/08/25
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    本学4年次を対象に自動体外式除細動器automated external defibrillator, AEDを用いた一次救命処置basic life support, BLSについての客観的臨床能力試験objective structured clinical examination, OSCEを施行した. 医学生は二次救命処置advanced cardiovascular life support, ACLSに精通すべきとの意見もあるが, 4年次終了時という時期を考えると尚早である. 一次救命処置BLSは医師になる以前に習得すべき基本手技であり, 臨床実習開始前に客観的臨床能力試験OSCEを行うべきであろう. しかし, その中にはGuidelines 2000にも盛り込まれているように, 一次救命処置BLSとしての自動体外式除細動器AEDの使用が含まれるべきである. 今回, 自動体外式除細動器AEDを用いた一次救命処置BLSについての客観的臨床能力試験OSCEを施行するにあたって, 設問・出題・評価方法などを案出したが, いくつかの問題点が指摘できた. 中でも, 評価基準の不徹底, 評価者毎のバラつきは客観性が高いとされる客観的臨床能力試験OSCEの信頼性に関わる問題である. これらを是正したのちには, このような試験が広くわが国で施行されるべきである.
  • 医学部における臨床遺伝教育の必要性
    渡邉 淳, 島田 隆
    2005 年 36 巻 4 号 p. 235-241
    発行日: 2005/08/25
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    遺伝子研究の進歩にもかかわらず, 医学部では臨床遺伝に関する授業はほとんど行われていない. 日本医科大学では平成14年から4年生に臨床遺伝コースを行っている. 今回, 医学部2年生に臨床遺伝に関する理解度を質問紙法で調査した.「遺伝する病気」と「遺伝子異常で起きる病気」を混同あるいは差異がわからない学生や, 「染色体異常」を遺伝すると考えた学生が多くみられた. 質問事項正答率の差に高校生物履修の有無の影響は少なかった. 米国では遺伝医学教育のガイドラインを提示している. しかし, 「遺伝医学」の正しい知識を普及するためには, 用語の不統一性からもわが国独自の遺伝医学教育を構築されることがのぞましく, 臨床遺伝教育の現状を把握し, 今後に向けた内容等検討が早急に求められる.
  • 野村 恭子, 矢野 栄二, 三丸 剛人, 川越 厚
    2005 年 36 巻 4 号 p. 243-247
    発行日: 2005/08/25
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    現在の医学教育では「生命倫理」や「終末期医療」などの教育が系統的に行われている大学医学部は依然少なく, またその方法については確立していない. 帝京大学医学部では医学部5年生の公衆衛生実習の一環として在宅終末期医療の現場での実習を行っているので報告する. 本実習では, 医学部生が在宅緩和ケアの実習を行っている看護学生に合流し, 終末期の患者さんを訪問しケアプランを作成した. その結果, 終末期医療サービスの目的や心のケアの重要性, 関係職種とのチームワークの大切さを認識できた. 臨床に従事する前に人間の死について熟考する時間を持つことは, 臨床医としての活動の礎となる望ましい態度の修得がなされると思われた.
  • 信岡 祐彦, 亀谷 学, 三宅 良彦
    2005 年 36 巻 4 号 p. 253-257
    発行日: 2005/08/25
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    ディジタル聴診器の時間軸可変機能の, 心臓聴診教育への応用を検討することを目的とした. 対象は医学部5年生の学生61名で, 特徴的な5種の心音, 心雑音について, ディジタル聴診器による時間軸延長の効果を検討した. 時間軸延長の方が通常のスピードよりもわかりやすいと回答したものは, 収縮期クリックとそれに続く収縮期雑音, II音分裂, 収縮期駆出性雑音, III音の順に多く, 一方収縮期逆流性雑音は通常のスピードの方がよいと回答したものが多かった. 時間軸可変機能は心臓聴診教育に有用であるが, その効果は, 連続して生じる複数の異なる要素の心音・心雑音の弁別と時間関係の把握において大きいと考えられた.
  • 清原 達也, 渡部 健二, 野口 眞三郎, 青笹 克之
    2005 年 36 巻 4 号 p. 259-264
    発行日: 2005/08/25
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    今年度で30年目を迎える大阪大学医学部学士編入学制度の成果を総括するために, 学士編入学者のプロフィールと卒後進路について分析を行った. 現在までに通算で453名が入学している. 受験者はバブル期に一時減少したがバブルの崩壊とともに増加した. 入学者のうち男性が93%を占め, 入学時の年齢は30歳未満が82%で24-26歳にピークがあった. 出身大学は国立大学が96%を占めた. 学歴は学士が57%, 修士が36%, 博士が7%. 理科系の専攻が84%であった. 卒後進路としては, 一般学生との比較で学士編入学者の方が基礎医学系に進む割合が高かった. また, 学士編入学者は一般学生と比べて教授や病院長などの管理職を務めている率が高かったが, その一方で開業率も高かった. 卒後20年目以上では, 学士編入学者の勤務先は大学関係が14%で病院関係が44%. 9.6%は教授で7%は病院長, 開業医は27%であった. 以上より大阪大学医学部の学士編入学制度は理科系出身で目的意識が明確で有能な人材を集めて指導的立場にある卒業生を輩出しているとの結果が得られた.
  • 谷田 憲俊
    2005 年 36 巻 4 号 p. 265-270
    発行日: 2005/08/25
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    生命倫理教育における資料のあり方に関する情報を得るために, 配布資料の意義や配布方法, 理解度に関する調査を行った.対象は, 医学科, 保健学科, 他学部の計195名である.その結果, 資料は有用と考えてeメイル配信された資料を利用する学生は理解度が高かったと答えていた.医学科学生では解説の記載度と理解度の間に関連はなかったが, 保健学科学生では「資料は解説がすべて記載されていない方が理解しやすい」と考える学生の方が有意に多く「理解できた」と応えていた.以上, 学生が課題に探索的な問いをもてるよう配付資料に工夫することは, 学生の理解度を高めるのに役立つと示唆された.
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