医学教育
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39 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 宮田 靖志, 八木田 一雄, 森崎 龍郎, 山本 和利
    2008 年 39 巻 3 号 p. 153-159
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    地域医療に従事するプライマリ・ケア医の教育を卒前レベルから充実させるために, 現在各大学において地域医療実習の取り組みが始まっているが, そのカリキュラムの中で実際に学生が実際に学んだことに関する研究は本邦ではほとんど行われていない.札幌医大における地域医療実習で学生が学んだことをSEAを用いた振り返りにより検討した.
    1) 2006年度の札幌医大5年生で実施された2週間の地域医療実習の最終日にSEAのセッションを持ち, その内容をビデオ録画し分析した.
    2) 学生のSEAの内容から地域医療実習で学んだことを抽出しカテゴリー化した.
    3) また, 学生が行ったSEAの振り返りの深さを4つのレベルに分類した.
    4) 学生は, 医療システム, 医師の役割, 患者中心性, ロールモデル, 臨床倫理について学び, 体験の感想を述べ, 体験を一般化できるレベルの振り返りを行っていた.
    5) 地域医療実習では, 個々の医学知識技術的なことよりもシステムに基づく医療プロフェッショナリズムについて学んでおり, これらを把握するのにSEAは有用であった.
  • 宮田 靖志, 岩田 勲, 山本 和利
    2008 年 39 巻 3 号 p. 161-168
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    近年, 医療者と患者・社会の関わりに大きな変化がみられるようになり, 欧米では “医師憲章” が作成され医療におけるプロフェッショナリズムの議論が盛んになりつつある. “医師憲章” に関する日本と米国医師の意識の差を明らかにすることで, “医師憲章”を日本のプロフェッショナリズム議論に適用することが可能かどうかを検証する.
    1)“医師憲章” にある10の責務に対する意識を探る質問票を作成し, 2006年2月と4月に日米の総合診療科医師それぞれ661名, 50名に配布し回収した.
    2) 憲章の内容を理解している者は日米医師とも約30%で, 憲章は未だ医師全体に浸透しているとは言えなかった.また両者とも約60%が憲章はどの国にも適用可能と考えていた.
    3) ほとんどの責務について米国医師の方が, 緊急性が高いと考える者, 実際にその事例に遭遇している者の割合が多く, 一部の責務については日米医師の問で緊急性に明らかな意識の差が認められた.また, 日本人医師群の中で年代間における優位な意識の差がみられた.
    4) 本邦医師が遭遇した具体的なプロフェッショナリズム事例は多岐にわたっていた.
    5) “医師憲章” は本邦でも適用可能と思われたが, 一部の責務に関する意識は本邦と米国医師で異なっており, 本邦の医療のコンテクストに合わせて “医師憲章” を適用する必要があると思われる.
  • 木村 琢磨, 前野 哲博, 小崎 真規子, 大滝 純司, 松村 真司, 尾藤 誠司, 青木 誠
    2008 年 39 巻 3 号 p. 169-174
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    研修医にストレスがかかると, 非倫理的な診療や研修プログラムからの脱落につながりうることが欧米での研究で明らかになっている.わが国における研修医のストレスが, 研修医個人や診療に与える影響や, その緩和要因については不明な現状である.そもそも “わが国における研修医のストレス” という概念自体が不明で, その理論モデルは明らかにされていない.
    1) 10施設の研修医25人を対象に, フォーカス・グループ・インタビューを実施し, わが国における研修医のストレス反応, ストレス緩和要因を探索し, 研修医のストレス理論モデルを作成した.
    2) 研修医のストレス反応として, 日常生活に加えて患者診療や研修上の悪影響が生ずることが探索された.
    3) 緩和要因として, 患者や指導医からのポジティブ・フィードバック, 患者管理上のサポート・システムの充実などが探索された.
    4) 既存の一般的な職業性ストレスモデルの枠組みに基づいて, 研修医のストレス理論モデルを作成した.5) 研修医のキャリア・デベロップメントや, 安全で良質な医療サービスを提供する上で, 研修医のストレス理論モデルを考慮したストレス要因の軽減ストレス緩和要因の促進などの対策が必要である.
  • 前野 哲博, 中村 明澄, 前野 貴美, 小崎 真規子, 木村 琢磨, 富田 絵梨子, 笹原 信一朗, 松崎 一葉
    2008 年 39 巻 3 号 p. 175-182
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    研修医はきわめて高いストレスにさらされており, うつ病などのストレス反応を起こして研修を中断せざるを得ない研修医が後を絶たない.研修医が安心して研修に専念できるために必要な方策を検討するために, 研修医のストレスについての実態及び要因について包括的に評価することを目的とする研究を行った.
    1) 2004年度の1年目研修医41施設568名を対象に, 研修開始時と2か月後に, 自記式質問紙票を用いて研修状況, ストレス要因・緩和要因, ストレス反応等について調査を行った.
    2) 有効回答者318名のうち, 研修開始2か月後に新たに抑うつ反応を呈した研修医は80名 (25.2%) であった.
    3) 研修医のストレス特性としては, 高い質的・量的負荷と著しく低い裁量度・達成感が特徴であった.
    4) 多くの研修医が研修開始後に抑うつ状態に陥っていることが明らかになった.研修環境の改善には, 研修医特有のストレス特性に配慮し, 特にストレス緩和要因を高めることが重要と考えられた.
  • 小林 志津子, 小山 弘, 新保 卓郎
    2008 年 39 巻 3 号 p. 183-186
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    1) 出産する学生にとって出産時休暇の保障は学業を継続するための必須要素であるが, 全国の医学部・医学系大学院 (N=81) を対象にした我々の調査 (N=55, 回収率67.9%) では, 学生. 大学院生の出産時休暇を制度化して保障した大学は無かった.
    2) 教育担当者は出産する学生の学業を継続させるために補講等の調整を配慮する一方で, 出産する女学生への対応に困惑し, その指針を望んでいる現況が明らかになった.
    3) さらに, 出産. 育児を理由にした女性の大学院生の退学者の存在も明らかになった. 学業と出産や育児の両立を目指す大学院生に学究の戸を閉ざさないために, 出産後の休暇の保障を含めた教育環境の整備が望まれる.
  • エビデンスに基づいて
    竹村 洋典
    2008 年 39 巻 3 号 p. 187-190
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    1) 欧米で有効な医療面接が必ずしも日本において有効とは限らない.
    2) 患者から身体的な情報を得るためには, 促進, 絞込み, そしてまとめの使用が有効である.
    3) 患者から情緒的な情報を得ることに, 開放型質問が寄与する可能性がある.
    4) 患者満足度を向上させるには, 反映と是認の使用が有効である.
    5) 患者の感じる診察時間は, 実際の診察時間よりも患者満足度と関連がある.
    6) 日本における非言語的コミュニケーションが欧米に比べて患者満足度に大きく寄与しているか否かは不明である.
  • 阿部 恵子, 藤崎 和彦, 丹羽 雅之, 鈴木 康之, Phillip EVANS
    2008 年 39 巻 3 号 p. 199-203
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    1) 模擬患者 (SP) 養成プログラムとコミュニケーション教育を学ぶ目的でスコットランドの5大学 (Aberdeen, St Andrews, Dundee, Glasgow and Edinburgh) を視察した.
    2) SPの種類トレーニング, フィードバックなどのSP養成プログラムは各大学により異なる.
    3) スコットランドでは“Tomorrow's Doctor”と“Scottish Doctor”に示されたOutcome達成が共通の目標とされ, 教育カリキュラムには“独自性”が尊重されて興味深い.
  • 2008 年 39 巻 3 号 p. 205-220
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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