参加型臨床実習の導入が進み,医学生が自主性を持って臨床実習に取り組むことが重要になってきている.自主性を高める要因の一つとして,診療科に対する興味が考えられる.そこで,診療科に対する興味と学生の自主性の関連および自主性を高める可能性のある要素を明らかにすることを目的として,質問紙調査を行った.
1) 筑波大学6年次学生92名を対象に,臨床実習の自主性に関する4つの項目を,興味のある科と興味のあまりない科での実習それぞれについて,6段階Likert Scaleを用いて調査した.
2) 臨床実習において学習のモチベーションを高めたエピソードについて,自由記載で回答を求めた.その後,回答内容のカテゴリー化を行った.
3) 回答率は94%であった.興味のある科での実習については,自主性に関するすべての項目で興味のあまりない科よりも有意に自主性が高かった(P<0.01).
4) 自由記載では38名からのべ56の回答を得た.患者からの質問や励まし(29名)や医師の熱心な指導(9名)を挙げたものが多かった.
5) 診療科に対して興味をもつように学習を工夫することや,患者や指導医との密なコミュニケーションにより,臨床実習における医学生の自主性が引き出される可能性があると考えられた.
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