外国人診療というと英語ができなければと思う医療者は少なくない. しかし, 在住外国人の7割以上が日本語で日常生活を送れるという調査結果が報告されている. そこで, 相手に合わせて分かりやすく伝える「やさしい日本語」が自治体や観光, 教育現場で用いられているが, 医療者にはほとんど知られていない. 本稿では, 「やさしい日本語」について概説するとともに, 多忙な医療者向けに開発した教材を紹介する. 在住外国人が増加するなか, 医療通訳者による多言語通訳と「やさしい日本語」の普及が不可欠である. 「やさしい日本語」は, また, 高齢者や子ども, 聴こえや理解に困難のある人などにも分かりやすく, 的確な医療通訳・手話通訳にもつながる. 多分化共生社会に有用なツールとして, 医学・医療者教育への導入が急がれる.
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