医学教育
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52 巻, 6 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
特集 医学・医療者教育学を学ぶ我が国のプログラム
  • 西城 卓也, 岡崎 史子, 大戸 敬之, 舩越 拓, 三好 智子, 吉田 暁, 芳野 純, 廣内 大輔
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 52 巻 6 号 p. 497-502
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

     医療者教育学を学ぶFaculty and Staff Development (FSD) プログラムの各主催者が, 目的に適合するようにプログラムを設計する際に, 着眼すべきエッセンスを概説する. すなわち, FDSで学ぶ理由, 実践の位置づけ, 内容, 対象, 仲間, 場所, 方法, 時期, そして証である. これらは, 学習者がどのような視点から参加するプログラムを選択するか考える参考にもなるだろう. 医療者教育を学び, 日常の教育にスパイスを効かせることができるようになるためにも, より多くの医療者教育に携わる人々が, FSDに参加することが期待される. また修了者が, 各地や各医療職のFaculty Developerとなり, 医療者教育を活性化しながら, 我が国の医療者教育のプレゼンスを協同的に高めていくことが期待される.

  • 松山 泰, 西屋 克己, 藤崎 和彦
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 52 巻 6 号 p. 503-508
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

     2014年から正式運用されている医学教育専門家制度は, 今日までに181名の専門家を輩出している. 医学教育のグローバル化に対応し, 国際基準に沿った教育改善に取り組むことができる実践的専門家を育成する体制が確立したように思われた. しかし, 新型コロナウイルス感染症の流行によって対面型の履修コースを開催できなくなり, 対面協働学習を活用していた従来の育成体制は見直しを迫られた. 2021年2月, フルオンライン型で履修コースを再開した. オンライン学習に集中できる時間を考慮して事前学習コンテンツを充実させ, 学習プラットフォームとしてMoodleを使用し, 当日のレクチャーやグループワークをZoomで行った. 大きな回線トラブルはなく, コース後のアンケートの結果, 受講者の満足度, 学習の有用度は高かった. 本コースが新たな教育体系のgood practiceとなるよう, 対面型とオンライン型の強みを取り入れて発展させていきたい.

  • 岡田 唯男
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 52 巻 6 号 p. 509-514
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

     HANDS-FDF (Home and Away Nine DayS - Faculty Development Fellowship) は, プライマリ・ケア領域の医師を対象としたおそらく日本で初のHome/Away形式の継続型faculty development (FD) コースである. 米国でFDを正式に学んだ医師が先行事例を踏まえて開発, 試験運用を経て周到に準備されたコースであり, 様々な独自の特徴を有していること, 計146名の修了生の活躍, 15年以上の歴史があることなどから, その開発の経緯も含めて参考にするべき点が多いと考えられる.

  • ―基礎編―
    錦織 宏, 及川 沙耶佳, 谷 昇子, 木村 武司, 種村 文孝
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 52 巻 6 号 p. 515-523
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

     2015年に文部科学省の助成を受けて開講した京都大学の「現場で働く指導医のための医学教育学プログラムー基礎編」は対面型と遠隔型を組み合わせた形で医学教育学を体系的に学ぶプログラムである. 1年間で約120時間学修することになる受講生は, 課題に追われながらも12名の仲間と強固な学修コミュニティを形成していき, その様は講師が羨むほどである. また, プログラムに思想・哲学を掲げていること, そして文化人類学を重視したプログラムであることが特徴である.

  • 橋本 忠幸, 西城 卓也, 小杉 俊介, 金澤 剛志, 長谷川 雄一, 木戸 敏喜, 大塚 勇輝, 菊川 誠
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 52 巻 6 号 p. 525-531
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

     研修医や専攻医は臨床現場において, 実は指導医的な役割が多く, その重要性を指摘されている. その背景として, Near-Peerとして学習者との近接しており, その近接性には2つの側面がある. わからないことを共有できる「認知的近接性」と, 長い間時間と空間を共有できる「空間的近接性」である. 研修医や専攻医のための指導スキル向上を目的としたプログラム, Residents-as-Teachersプログラムは世界中で展開されているが, 日本ではまだ少ない. 我々は研修医や専攻医にとって必要な指導スキルが何かを研究で明らかにし, その結果を元に1年間のフェローシップを運営している. 規模は徐々に拡大し, 2020年にCOVID-19の影響でオンライン化したが, 課題量・参加意欲・技術的課題の観点からフェローシップを再構成し, オンラインでの実施においても高い満足度を得た.

  • ―ハワイ-沖縄医学教育フェローシップ―
    尾原 晴雄, 武村 克哉, 北原 佑介, 入江 驄五郎, 上里 瑞乃, Kori-Jo Kochi, Jill Omori, Richard ...
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 52 巻 6 号 p. 533-542
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

     ハワイ-沖縄医学教育フェローシップは, 将来の研修医教育の中核を担う若手指導医を養成し, 指導医間のネットワーク構築支援を目的とする通年型のFDプログラムであり, ハワイ大学医学部と沖縄県内の指導医が協同で開発, 運営している. 毎年6名前後の参加者が, 毎月のセミナー参加と通年のカリキュラム開発プロジェクトを通じて, 指導医に求められる能力を学んでいく. これまで約60名が修了し, その多くが県内医療機関で臨床教育者として活躍している. 本フェローシップの修了者らで構成される実践共同体は, 徐々にその輪を広げており, 県内の臨床教育体制の充実に今後益々寄与していくことが期待される.

  • ―指導者の成長に合わせた岐阜大学の段階的学習プログラム―
    早川 佳穂, 川上 ちひろ, 恒川 幸司, 藤崎 和彦, 丹羽 雅之, 鈴木 康之, 今福 輪太郎, 西城 卓也
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 52 巻 6 号 p. 543-550
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

     岐阜大学医学教育開発研究センターは過去20年間で全国の医療者教育者の育成に取り組んできた. 医学のみならず, 歯学, 薬学, 看護学, 理学療法学, 作業療法学などの多職種の医療者教育者, さらには事務職員も対象として, 参加者の様々なニーズやレベルに応える豊富なプログラムを提供している. 本稿では, プログラムの中から「医療者教育スターターキット」「フェローシッププログラム」「医療者教育学専攻修士課程」を紹介する. 各プログラムの目的, 参加対象, 特色を紹介しつつ, 今後の展望を含めて概説した.

招待論文
部会報告
  • 第21期 多職種連携教育部会, 後藤 亮平, 前野 貴美, 春田 淳志, 伊野 美幸, 石川 さと子, 内山 靖, 大槻 眞嗣, 加藤 博孝 ...
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 52 巻 6 号 p. 557-563
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

     筑波大学の取り組みを2つに分けて報告する. 第1部では, 筑波大学と茨城県立医療大学の大学間連携教育プログラムであるインタープロフェッショナル演習を紹介する. COVID-19パンデミック前は, この演習はTBL (Team-based learning) の方法を用いて大会議室で行っていた. パンデミック後はこれをオンライン (Zoom使用) で実施した. オンライン実施により変更した点は以下の5点 ; (1)教員会議のオンライン化, (2)資料の事前配布, (3)Googleフォームを用いたテスト, (4)ブレイクアウト機能を用いたグループワーク, (5)Googleドキュメントを用いた同時編集, であった. 今後は, オンラインの多職種連携教育プログラムだからこそできる新たな教育方法の可能性を検討していきたい.

  • 第21期 多職種連携教育部会, 前野 貴美, 後藤 亮平, 春田 淳志, 伊野 美幸, 石川 さと子, 内山 靖, 大槻 眞嗣, 加藤 博孝 ...
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 52 巻 6 号 p. 565-570
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

     第2報第2部では, 筑波大学と東京理科大学の大学間連携プログラムであるケア・コロキウムを紹介する. ケア・コロキウムはPBL (Problem-based learning) 形式の多職種連携教育プログラムである. COVID-19パンデミックに対応し, このプログラムをMicrosoft Teamsを利用して, マニュアルの整備や通信テストなど事前準備を整えオンラインで実施し, 対面実施と同様の学びが抽出された. 卒前の多職種連携教育は大規模プログラムとなりやすく, 教員不足, 教室不足が障害となるが, オンライン教育ではこれらの障害を解決できる可能性がある. 対面とオンライン, 両者のメリットを生かしたハイブリッドプログラムの開発など今後の多職種連携教育の推進につながる可能性が考えられた.

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