現在,日本は少子化に加え,公園の厳しい規制や自動車の普及,遊具の撤去などから,こどもが「やりたい」と思うことができる遊び場が減少している。本研究では,冒険遊び場と地域の遊び場におけるこどもの活動を調査し,遊び活動と環境の豊かさを明らかにする。
冒険遊び場とは,「自分の責任で自由に遊ぶ」というモットーを掲げたこどもの「やりたい」という気持ちを実現できるようにした遊び場である。
東京都武蔵野市にある小学校の学区内を対象とし,行動観察調査を行う。小学校の校庭と冒険遊び場と,遊具のある公園とない公園を1箇所ずつ選定した。
調査から,公園から十分な情報が得られなかったため,冒険遊び場と小学校の校庭を比較する。遊びの継続時間に着目すると,平均遊び継続時間が冒険遊び場より校庭の方がおよそ5倍長かった。また,共通して起こるボール遊びでは,冒険遊び場は様々な場所で行われ,多様な遊び方が発生する。
冒険遊び場での遊びを見ると,年齢により継続時間や遊具の結びつきが異なり,複数の結びつきから,多様な遊び場面が生まれる。さらに,数分で遊びや場所を転々とし,短い遊びの繰り返しが一連のストーリーを作り1つの遊びとなる特徴が見られた。
冒険遊び場は遊びの要素が豊富なため遊具の遊び段階にも多様性が生まれる。現在日本の地域の遊び場は遊具が少なく,多様性が生まれにくいため,このような環境が今後のこどもの遊び環境に必要であると考える。
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