数学教育学会誌
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Print ISSN : 1349-7332
50 巻, 1-2 号
数学教育学会誌
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 石垣 春夫
    2009 年50 巻1-2 号 p. 1-4
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー
    とかく即効性の求められる現在であるが、しかし教育、ことに中等、高等教育における数学教育に求められるものはそうではない。すぐに役立つ知識の断片ではなく生徒にとって生涯有効な思考法を身につけさせることこそが求められる。そこでその任に当たる教師たるものが当然身につけなければならないのは、人類が今日までに築き上げてきた成果である諸科学に於ける数学の役割としての数学観を実感することと考える。そこで、教師を目指す者に現代科学の基礎とも言うべきギリシャ時代の思考法と、近代科学が一斉に開花した18~19世紀に於ける数学の貢献について、それぞれの時代の旗手のひとりであるArchimedesとFourierに学び、追体験することによって確固たる数学観を身に付けることを勧めるものである。
  • 環境に関する連携授業から
    梅野 善雄
    2009 年50 巻1-2 号 p. 5-13
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー
    一関高専では,環境をテーマとして幾つかの科目が同時に授業を行う「連携授業」を行っている.数学の授業では,タンチョウの個体数変化を差分方程式で数学的に解析することで,その変化がロジスティック曲線に当てはまることを実際の計算で確かめさせた.その中では,ロジスティック曲線がいろいろな場面で現れることを例示すると同時に,カオス現象にも話を発展させることができる.事後のアンケートでは,多くの学生が,このような自然界のことに数学が有効であることに驚いた,との感想を述べている.ここでは,この教材で必要となる数学知識や,このような実データを授業で取り上げることの意義について考察する.
  • アルキメデス螺旋状折線を用いた膜の巻き取り収納モデル
    杉山 文子, 野島 武敏
    2009 年50 巻1-2 号 p. 15-25
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー
    子供たちの理系離れが深刻化している。この理系離れを防ぐには魅力ある教材の開発が重要である。本 論文では、アルキメデスの螺旋状折り線を用いて紙や薄い円形膜を任意形状の(凸の)ハブに巻き取って収納す る方法を幾何学的に検討し,その一般化法を提案した。この一般化ができると、角度や長さを自由に変化させ ることができるため、生徒一人一人が、オリジナル作品を作ることができ、図形に興味を持つと考えられる。 さらに、巻き取りモデルが、ソーラーセイルとして、工学的に応用できること、花のつぼみや昆虫の翅のモデ ルとして生物学で、利用できること等を知れば、数学のみならず、他分野への学習意欲が高まると考える。
  • 小学校低学年における確率に関する子どものとらえの様相
    口分田 政史, 渡邉 伸樹
    2009 年50 巻1-2 号 p. 27-39
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー
    今日の社会では,確率教育が大切であると指摘されることが多い。しかし,現在の日本の確率教育をみると,その学習の量,質ともに十分ではないと考える。特に小学校では,その教育は意図的にほとんど行われていないのが実情である。そこで本研究では,このような間題点を打開するために,現在の教育で必要とされる初等教育段階における確率カリキュラムを開発することを目的とする。なお本稿では,カリキュラム開発の第一段階として,どのような確率教育がどの段階で可能なのかを探るために,まず小学佼1,2,3年生(確率を未習段階の児童)を対象に,確率の認識段階について調査した。この調査結果から,低学年から一定の確率教育を行うことが可能であることが示唆された。
  • 理論と実践
    小池 宏, 友部 真弓, 剣持 信幸
    2009 年50 巻1-2 号 p. 41-54
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー
    有理数を既知として、有理数から実数への数の拡張には、デデキントとカントルの方法がある。前者は「有理数の切断」、後者は「有理数の基本列」の概念が導入され、数の世界の拡張が理論化されている。これらは完璧な理論であり、その結果として「実数の連続性」等の意味が明らかにされる。しかし、その理解には、記号論理も含め一般集合論の知識と経験が必要であり、高等学校のレベルで容易に理解できるものではない。おそらく、現在では実数論は、数学を専門とする学生のみが大学で学習しているのではなかろうか。しかしながら、我々の実生活と「数」の関わりを考えると、少なくとも理数系の学生にとって、これは教養の一端として学習して欲しい知識である。そのためには、デデキントやカントルほど理論的でなくても、中学校や高等学校からスパイラルに扱い、高・大のギャップを出来るだけ少なくしたうえで、大学の初年度で終わるような教材構成が出来ないものかと考えた。本論文では、「無限小数」を基本概念とし実数論の展開を中・高・大をまたいだ学校教育教材の立場から開発を試みる。
  • 1+1=2の理由、葉序の分析
    田山 育男
    2009 年50 巻1-2 号 p. 55-67
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー
    大学で数学教育を講義しているが、「授業の目標」「指導者としての心掛け」「授業内容」「授業の進め方」を以下で概説する。特に授業内容から自然数とフィボナッチ数列を選び、詳細説明を与える。自然数はPeanoの公理系で定められるが、これから始めると大変なので、自然数から11個の性質を抜き出し、それを新公理系として採用することにした。新公理系を作成するときに「1+1は何で2になるのか」という問に触れ、独自の解釈が得られたので、それを紹介する。フィボナッチ数列の項目では一般の隣接3項間の漸化式の指導と、葉序の研究を述べる。つまり「理想的な葉序」「葉を最も均一にする角度」の意味を明白にし、フィボナッチ数列から得られる有名な角度(約137.5度)が、その意味で葉を最も均一にすることを示す。
  • 2009 年50 巻1-2 号 p. 69
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー
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