数学教育学会誌
Online ISSN : 2434-8899
Print ISSN : 1349-7332
52 巻, 1-2 号
数学教育学会誌
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 亡き妻、房子に捧げて
    横地 清
    2011 年52 巻1-2 号 p. 1-15
    発行日: 2011年
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー
    数学教育学会成立の経過と成立当時の数学教育の研究状況を語り,更に,これらと関連する数学教育の研究課題について述べる。
  • 高等学校の教育実践を通して
    宮川 敏之, 渡邉 伸樹, 柳本 哲
    2011 年52 巻1-2 号 p. 17-29
    発行日: 2011年
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー
    論証指導をするなかで,例えば,証明問題を苦手とする生徒は多い。その理由としては,取り扱う問題があまりに定型的であり,しかも既知の命題が再度証明の対象になったりと,学習内容の中に,生徒が証明する必要性を見出す問題,また証明することで新たなことが発見でき,体系的に論理の繋がりを感得できる題材に乏しいという問題点がある。そこで本研究は,このような問題点を打開するために,高校3年生の授業の中で,証明の必要性を感じることができ,かつ局所的であっても繋がりのある性質を学ぶことができる教育内容を開発,そしてその妥当性を検証するものである。教育実践では,2次曲線の学習において,作図という活動を伴い,接線の作図方法の仮説を立てさせ,そして,その正しいことあるいは正しくないことの説明を証明という形で発表させている。その結果,生徒の証明に対する理解において一定の改善が見られ,意識の上でもいい意味での変容をもたらすことが示唆された。
  • 太田 直樹, 守屋 誠司
    2011 年52 巻1-2 号 p. 31-47
    発行日: 2011年
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー
    小学校における代数領域(主に,文字・連立方程式)に関するカリキュラムを開発することを目指している。その基礎研究として,本稿では,連立方程式の解法(主に加減法)の認識の発展段階を明らかにすることを目的とした。認識調査の結果,文字の実質性や連立方程式の解法などの考え方は,意図的な指導を必要していることが示唆された。さらに,このの結果を生かし,教育実践を行った結果,中学2年生で行っている連立方程式の指導は,自然数の範囲に限れば,小学校3年生から5年生にかけて段階的に指導可能であることが明らかとなった。
  • 「年金税」問題を題材にして
    吉村 昇, 柳本 哲
    2011 年52 巻1-2 号 p. 49-58
    発行日: 2011年
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー
    数学的モデリングの教材として,「年金税」の問題を取り上げ,中学生を対象に実践授業を試みた。生徒にとってより身近である地方公共団体の人口や最低生活保障基準等のデータから,1年生には比例のモデル,3年生は一次関数のモデルを使い,地方公共団体による新たな年金制度モデル案の作成を考えさせた。これは,社会を切り拓く人間教育をめざした数学的モデリングの学習活動を意図し,数学を利用する数学的活動といえる。この実践授業の結果,生徒の数学に対する認識は好ましい方向に変容している。数学が現実問題を考えるときに役立つと答えた生徒は,1年94%,3年95%となり,この教材に興味関心を持った生徒は,1 年72%,3年82%という結果であった。
  • 佐藤 宣明
    2011 年52 巻1-2 号 p. 59-67
    発行日: 2011年
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー
    直線に関する対称移動を表す行列は固有値±1 をもち、不動直線と関係している。行列が昭和45 年(1970)告示の高等学校学習指導要領の科目「数学IIB」に登場して40 年以上経ち、当然、「固有値からみた不動直線」という見方が定着しているものだと思っていたが、教育現場ではそうでもないようだ。平成21 年(2009)告示の高等学校学習指導要領では、行列の内容がすべて削除されてしまうが、将来「行列」が復活するとき、若手教員たちが勉強するために「固有値」の考え方による解法を残しておく必要がある。
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