1974年7月に北海道, 大雪山系, 化雲内沢においてブユ幼虫と蛹の分布を調査した。3,625個体, 5種を採集, その種名と個体数の相対頻度は, Prosimulium (Distosimulium) daisetsense (64.3%), Simulium (Simulium) japonicum (30.7%), Simulium (Eusimulium) konoi (3.1%), Simulium (Eusimulium) sp. 3 (1.2%), Prosimulium (Prosimulium) yezoense (0.7%)であった。P. daisetsenseは本流支流を問わず上流から下流にかけて広く分布する。S. japonicumは標高1,040m以下の本流支流に分布。S. konoiは標高560mの支流だけに, S. sp. 3は標高1300m付近の主に支流に, P. yezoenseは標高960mの支流と本流の主に下流部に分布する。P. daisetsenseとS. japonicumの幼虫では成長段階の異る二つのグループが見られた。P.daisetsenseでは上流に大きな幼虫, 下流には小さな幼虫と蛹の脱殻, 中流には大きな幼虫と小さな幼虫が混在して見られた。S. japonicumでは, 下流に大小二つのグループ, 中流に大きな幼虫のグループが見られた。両種共, 下流では上流よりも成長が進んでいる。
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