日中, 野外で休止している吸血アカイエカを採集し, その吸血源をゲル内沈降反応の1種Ouchterlony法により判定した。吸血蚊の採集は, 1973年と1974年に京都市南部の水田地域の, 東西にほぼ4km離れた2カ所のステーションで, ドロップネット・ケージとスイーピングにより行った。吸血蚊の吸血血液を, 哺乳類から爬虫類にわたる10種の動物の抗血清を用いてテストした結果, トリ, イヌ, ネコ, ウシ, ブタ, ネズミ, ヘビ, ヒトの8種の吸血源が判定され, この蚊の吸血は特定の宿主に限定されているのではなく, 広い宿主幅を持っていることが示された。いずれのステーションにおいても, トリ吸血とイヌ吸血が吸血例の大部分を占めていたが, 両者の比率はステーション間で異なっており, この蚊の宿主選択が, その地域に分布している宿主動物の比率に依存している可能性を示していた。
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