衛生動物
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34 巻, 4 号
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  • 原稿種別: 表紙
    1983 年 34 巻 4 号 p. Cover14-
    発行日: 1983/12/15
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
  • 岩佐 光啓
    原稿種別: 本文
    1983 年 34 巻 4 号 p. 253-262
    発行日: 1983/12/15
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
    日本産マグソハナバエ属の成虫については, 篠永・加納(1974)が5種, 岩佐(1982)が3種を記録しているが, これらのうち幼虫については, キタマグソハナバエG. humilis, キイロコハナバエG. flexa, シロオビコハナバエG. subtilisの3種がPortchinsky (1910), Thomson (1947), Ferrar (1979)らによってそれぞれ報告されているにすぎない。著者は, 若齢期が未知の5種, エゾマグソハナバエG. ezensis, トウホクマグソハナバエG. tohokuensis, ケナガコハナバエG. lasiopa, ミナミコハナバエG. ascendens, ウスグロコハナバエG. nigrogriseaの卵・幼虫・囲蛹を新しく記載し, キタマグソハナバエの幼虫を再記載した。また, これら若齢期の分類上重要な形質について論じた。エゾマグソハナバエとトウホクマグソハナバエの卵は, 典型的なトゲハナバエ型で, ミナミコハナバエとウスグロコハナバエのそれらは変形したトゲハナバエ型であった。6種とも2齢で孵化し, 2齢期は糞食性と思われるが, 3齢になると糞のみでは生育せず, 真性の肉食性にかわる。3齢幼虫は記載のごとくで, 前方気門, 肛板の突起, 腹部棘帯, 咽頭骨格などには大きな差異はみられなかったが, 後方気門に最も種の特徴が現れ, これらの形・色などにより同定が可能である。マグソハナバエ属は, トゲハナバエ亜科に属し, Helina属と近縁であるが, 咽頭骨格の咽頭板(pharyngeal sclerite)の腹部の黒色で強く硬化したその特徴は, オーストラリアから記載されているHelina属の幼虫のそれらより, むしろマルハナバエ亜科に属するHebecnema, Mydaea, Myospila属などのそれらに類似している。囲蛹は全体の形と呼吸角の形・色彩に特徴がみられ, 卵と幼虫同様にマルハナバエ亜科と共通の特徴をもっていた。
  • 平野 雅親, 矢野 俊彦, 松尾 憲忠, 北村 重義, 西岡 敏雄, 藤田 義雄
    原稿種別: 本文
    1983 年 34 巻 4 号 p. 263-268
    発行日: 1983/12/15
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
    鎖状アルコールを有するピレスロイド系化合物のイエバエに対する殺虫活性を, 局所施用法, 濾紙接触法および蒸散法により検討した。その結果, 1-エチニル-2-メチル-2-ペンテニルアルコールのエステルが蒸散法で最高の活性を示した。そこで本アルコールを選択し, 4種のカルバン酸とのエステルの殺虫活性と蒸気圧について検討した。局所施用法では3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステルが最も高い致死活性を示したが, 蒸散試験では菊酸エステルが最も優れていた。本化合物は高い蒸散効果を有する独特な新しい型のピレスロイドとして開発が期待されている。
  • 海野 登久子, 鈴木 猛, O. E. Leonel JUAREZ
    原稿種別: 本文
    1983 年 34 巻 4 号 p. 269-277
    発行日: 1983/12/15
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
    野外に設置した人工水路によって, 7種の殺虫剤のブユ幼虫に対する効力を比較した。クロルフォキシム, ペルメトリン, クロルピリフォスメチルがもっとも効力が大きく, テメフォスがこれに次ぎ, ダイアジノン, フェノスリン, フェニトロチオンは効力が劣った。有機燐剤と異なり, ピレスロイドの場合, 濃度の減少にともない, 効力が急激に減少する傾向がみられた。フェノスリンでは, いったん中毒して基物を離脱した幼虫が, 後に回復する傾向があった。殺虫剤に対する感受性は, Simulium ochraceum, S. metallicum, S. callidum, S. horacioiの4種幼虫に関するかぎり, 種間に顕著な差はみとめられなかった。また, 幼虫の大きさを三つのランクに分けた場合, 大, 中, 小の間で差がなかった。薬剤総量が同一の場合, 10∿120分の処理時間の間で, 死亡率に大きな差はみとめられなかったが, 300分では高死亡率が得られた。テメフォスの人工水路試験と自然水路試験について, 手に入るかぎりの報告を検討した。その結果, 人工水路試験のCL-95の最小値は, 3ppm-min(1分あたり換算)であった。自然水路で有効と報告されたテストの大部分では, 薬量は3ppm-min以上であった。例外的にこれ以下の薬量が有効なのは, 微小粒子にテメフォスを含ませた特殊な剤型の場合か, あるいは, 水流中に浮遊する微小粒子にテメフォスが吸着されたためであると考えた。
  • 篠永 哲, 加納 六郎
    原稿種別: 本文
    1983 年 34 巻 4 号 p. 279-287
    発行日: 1983/12/15
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
    日本産トゲアシメマトイ属のハエについては, 篠永・加納(1971)が8種記録している。その後, 岩佐(1980)は, シラホシトゲアシメマトイ(H. albipuncta)とキリガクレメマトイ(H. meteorica)の3令幼虫の形態について報告した。このうち, 前種は日本末記録の種であった。著者らは, 日本各地の牧場などで動物糞上から採集されるハエ類のうちに, トゲアシメマトイ属の4新種。ダイセツトゲアシメマトイ(H. daisetsuzana), ケブカトゲアシメマトイ(H. multipilosa), チビトゲアシメマトイ(H. exigua)とオンタケトゲアシメマトイ(H. ontakensis)を見いだしたので記載した。このほかに4新記録種を追加し, これら17種についての検索表を付した。
  • 早川 博文, 高橋 弘
    原稿種別: 本文
    1983 年 34 巻 4 号 p. 289-293
    発行日: 1983/12/15
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
    吐[カ]喇列島の宝島および中之島から採集された雌雄成虫標本に基づいて, 新種A. takaraensis n. sp.タカラキイロアブを記載した。本種はA. kakeromaensis Hayakawa, Takahasi and Suzukiカケロマキイロアブに酷似しているが, 腹背面の斑紋が全くないことと, 翅脈R_4の小枝がきわめて短いかまたはそれを欠いていることにより, 容易に区別される。日本産キイロアブ属11種の検索表を掲げた。
  • 篠永 哲, 岩佐 光啓
    原稿種別: 本文
    1983 年 34 巻 4 号 p. 295-298
    発行日: 1983/12/15
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
    アエバエ科, マキバイエバエ属のハエは, 加納・篠永(1977)によって日本から6種と1亜種が記録されている。著者らは, これら日本産の標本と南西諸島からニューギニアに至る各地の標本について再検討した結果, M. tarsalis tarsalis (Malloch)と同定されていた種は新種と認められた。M. tarsalis tarsalisは, Vockeroth (1972)によってM. laevis (Stein)のsynonymとされている。本新種は, laevisに類似しているが, 背側板剛毛のまわりに1本ないし2本の小剛毛を有すること, 雄の生殖器の内狭子の先端に切れ込みがあること, 雄の小楯板の側面の短剛毛列を欠くことなどによりlaevisと区別さりる。laevisは, 広く東南アジア, ニューギニアなどに分布し, 日本では南西諸島, 九州南部に生息している。新種に分布している。成虫は, 主に放牧地の新鮮な牛糞上にみられる。日本産マキバイエバエ属の検索表をつけ加えた。
  • 中村 央
    原稿種別: 本文
    1983 年 34 巻 4 号 p. 299-304
    発行日: 1983/12/15
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
    Despite the reports that northern part of Taiwan is the known northernmost limit of distribution range of Culex vishnui, it was more abundant than Cx. tritaeniorhynchus in northern Taiwan. Furthermore, the average temperature in every month of the year in Taipei, Taiwan is nearly equal with that in Naha, Okinawa island. Taiwan strain of Cx. vishnui and Taiwan and Okinawa strains of Cx. tritaeniorhynchus were compared as to some ecological characters under the laboratory conditions. In oviposition preference no clear discrimination was made by Cx. vishnui between tap water and artificial food suspension. The gravid females of Cx. tritaeniorhynchus were reluctant to choose the food suspension when the amount of food in 200ml tap water was over 0.01g in Taiwan strain and 0.1g in Okinawa strain. This difference in oviposition preference may be in some way related to the difference in population level between both species. Duration of larval growth was longer in Cx. vishnui than in Cx. tritaeniorhynchus at temperatures between 20 and 33℃. At 20℃ pupation rate tended to be lower in Cx. vishnui than in Cx. tritaeniorhynchus. It seemed that Cx. vishnui is less adaptable to low temperatures than Cx. tritaeniorhynchus.
  • 佐々 学, 長谷川 英男
    原稿種別: 本文
    1983 年 34 巻 4 号 p. 305-341
    発行日: 1983/12/15
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
    琉球列島の淡水域に住むユスリカについてはこれまでまったく報告がなかった。著者らは1981年12月から翌年2月にかけて, 沖繩本島, 宮古群島(池間島を含む), 石垣島の家庭ないし畜舎排水を受ける川と, 養鰻池, 溜池, エビ養殖池などを主たる対象として, これらに発生するユスリカの種類を調べた。Table 1に示す各採集地点では, 空中を群飛する成虫や発生源の近くの草むらなどに休息する成虫を捕虫網で集めることと, 幼虫の生息する水底の泥や草などを採集して研究室にもちかえり, これを水槽に入れて通気し, 成虫を羽化させたうえで標本とするという方法を併用した。この報告にはChironominae亜科のChironomini族に属する種だけについて, その同定, 分布, 形態の記載をまとめたものであるが, この族のみでも26種が区別され, うち17種は沖繩本島より, 14種は石垣島より, 13種は宮古群島より採集された。これらのうち養鰻池など富栄養化のすすんだたまり水からは13種, 下水のまざった流水からは9種(うち5種は前者と共通種), 下水のまざらない湧水や山間の渓流などからは7種(前者と共通種なし), 水の清浄な上水道の濾過池より2種, エビ養殖池をあふれた海水の溝より1種で, これら水域の水質とユスリカ各種の分布にきわめて特異的な相関がみられた。こりら26種のうち, 18種はその形態がすでにタイ, 台湾, 韓国, インドネシア, 日本本土などから報告された種の記載と一致ないし類似するため, 既知種として同定したが, 残り8種についてはその学名を保留した。今回琉球列島から見いだされた本族のユスリカには, 台湾等から報告された珍奇な構造をもつ諸種も含まれていた。しかし, 日本本土の下水溝などに圧倒的な優占種として発生しているChironomus yoshimatsui Martin et Sublette, 1972が1匹も採集されず, その代りに同じような環境の下水溝にChironomus属等の他の数種が混生していたことが注目される。
  • 早川 博文, 米山 陽太郎, 稲岡 徹
    原稿種別: 本文
    1983 年 34 巻 4 号 p. 343-345
    発行日: 1983/12/15
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
    Egg-batches of Hybomitra tarandina (Linne, 1761) were collected from marshes in Hokkaido in late July and early August in 1981-1982. The collection sites were the same as those for Hy. olsoi egg-batches. The eggs of Hy. tarandina were found on very narrow and mostly erected stems or leaves of 6 kinds of plants, mainly Carex middendorffii Fr. Schmidt and Eriophorum vaginatum L., at the average height of 33.4cm above the ground or water surface. The egg-batches were purplish black in color, and rather elongate-oval in shape with 1 to 3 layers of eggs. Average number of eggs per batch was 399. Thirty-six per cent of egg-batches were destroyed by parasitic wasps.
  • 原稿種別: 表紙
    1983 年 34 巻 4 号 p. Cover16-
    発行日: 1983/12/15
    公開日: 2016/09/02
    ジャーナル フリー
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