衛生動物
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43 巻, 2 号
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  • 原稿種別: 表紙
    1992 年 43 巻 2 号 p. Cover6-
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2016/08/24
    ジャーナル フリー
  • 菊池 哲志, 亀井 正治, 大久保 新也, 安野 正之
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 2 号 p. 65-70
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2016/08/24
    ジャーナル フリー
    Methoprene製剤であるAltosid 10Fと, 有機リン剤(dichlorvos 2%+fenthion 3%混合乳剤)をおのおの蚊幼虫を防除するに十分な濃度で野外水路に処理し, そこに生息する標的外水生動物におよぼす影響を比較調査した。その結果, Altosid 10Fを処理した水路では, 2週間後に処理前と比較してショクガバエ科(Syrphidae)幼虫, ミズムシAsellus hilgendorfii, フタバカゲロウCloeon dipterumおよびユスリカ科(Chironomidae)幼虫の密度低下がみられた。しかし, これらのうちショクガバエ科幼虫以外の水生動物は, 処理後も生息し続けていた。一方, 有機リン剤処理区では, 処理後1週間目でユスリカ幼虫を除く, 魚類をはじめ水生動物がほとんど採集されなかった。次に, 水路で普通にみられるミズムシおよびサカマキガイに対するmethopreneならびに数種殺虫剤に対する急性毒性試験を行ったところ, サカマキガイについてのLC_<50>値はfenitrothion, dichlorvos, diazinon, およびmethopreneでそれぞれ1.9,1.9,2.5,および10.6ppmであり, ミズムシ幼虫に対するLC_<50>値はfenitrothion, dichlorvos, diazinon, methopreneおよびfenthionで, おのおの0.018,0.035,0.25,0.30および0.65ppmであった。
  • 千保 聡, 安芸 誠悦, 川田 均, 伊藤 高明, 安部 八洲男
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 2 号 p. 71-76
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2016/08/24
    ジャーナル フリー
    有効成分dl, d-T80アレスリンの蚊取線香の煙を走査型電子顕微鏡により観察した結果, 煙粒子は燃焼部付近では粒径0.2μm以下, 燃焼部より離れた位置では0.4&acd;1.0μm程度であると考えられた。またX線マイクロアナライザーによる分析より, 煙粒子上または中に有効成分が存在することが明らかとなり, 煙が有効成分拡散のためのキャリアとして働いていることが明らかとなった。一方, ガラス箱(0.34m^3)内で有効成分アレスリンの蚊取線香を燃焼させたときのアカイエカに対するノックダウン効果は, 空間内での揮散有効成分量が等しいなら, 煙量の増加に伴い低下することが認められた。また粒径0.43μm以上の煙粒子上に存在する有効成分の割合は, 空間内の煙量の増加に伴い増加することが示唆された。この煙粒子上の有効成分の存在率の増加に伴いノックダウン活性も低下することより, 線香の煙は有効成分の殺虫効果発現のさいの抑制因子となっていることが示唆された。このことより, 実用条件より高い煙密度条件で実施することの多い, 実験室での生物効力試験でのノックダウン効果の評価のさいには, 煙の影響を考慮する必要があると考えられた。
  • 小川 賢一
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 2 号 p. 77-80
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2016/08/24
    ジャーナル フリー
    神奈川県川崎市内の住宅地域を流れる二ケ領用水で大発生するR. kyotoensisの飛群真近に音響トラップを設置して, ユスリカを捕獲する野外実験を初めて行った。飛群は水面上0.3&acd;2.5mの高さに形成され, 飛群を構成するユスリカの97%以上は雄であった。1989年および1990年の10月から12月にわたる実験期間中, 雄は周波数180Hzから300Hzの範囲の音響に対して顕著に応答し, トラップに誘引・捕獲された。この雄の音響応答において, 捕獲に最適な音響周波数と気温との間にきわめて高い正の相関が認められ, その音響周波数の変動が約11Hz/℃であることを明らかにした。また, 一定の気温条件下では, 雄が応答する音響周波数の範囲がかなり狭いことも示された。
  • 馬場 稔
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 2 号 p. 81-88
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2016/08/24
    ジャーナル フリー
    野外で採集した, カワムラアシマダラブユSimulium kawamuraeの抱卵雌を室内で産卵させ, 種々の温度条件下で卵および孵化から成虫までの発育を調べた。捕獲した雌96頭中87頭が小試験管内で容易に産卵し, 卵は10,14,18,22,26±1℃の各温度区においておのおの10.5,7.5,4.5,4.5,3.5日(中央値)で孵化した。産卵された卵の49.8%が正常に発育し孵化にいたった。孵化幼虫を10,14,18,22±1℃の各温度区でスターラーを用いて飼育を試みたところ, 14,18℃の温度区で成虫にまで発育させることができた。幼虫期間はおのおの39&acd;44日, 29&acd;50日で, 蛹期間は5.5日, 4&acd;4.5日であった。雌雄間で発育期間に差はみられなかった。飼育幼虫の脱皮殻を回収し, そのpostgenal lengthの頻度分布から幼虫期の齢数を推定した。その結果, この種の幼虫は9齢を経過するものと判断されたが, 餌や温度条件によって齢数が変化する可能性も示唆された。生息河川の年間の温度変化と発育に要する積算温度から, 九州北東部に位置する大分県大野川上流部では年間5世代の発生が可能であると考えられた。
  • 津田 良夫, 高木 正洋, 和田 義人
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 2 号 p. 89-93
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2016/08/24
    ジャーナル フリー
    ヒトスジシマカの実験個体群の増殖過程を10週間調査した。実験では, 吸血間隔と幼虫餌量が互いに異なる四つの環境を設定した。各個体群について, 幼虫および成虫密度の変化, 得られたさなぎの大きさ, 羽化した成虫数をそれぞれ調査した。吸血間隔の違いは, 幼虫個体数の変動に対して幼虫餌量の違いよりも大きな影響を与えた。四つの環境における個体群の生産性を比較したところ, 吸血間隔と幼虫餌量の与える影響には相互作用のあることが示唆された。
  • 河合 幸一郎, 坂本 憲市
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 2 号 p. 95-103
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2016/08/24
    ジャーナル フリー
    ラットを用いたPK typeのskin testにより, マウスにIgE産生を誘導するユスリカ幼虫Hbの種間交差反応性を調べた。その結果, ユスリカ亜科ユスリカ族のセスジユスリカ(Chironomus yoshimatsui, CY)のdimer Hbの1成分DVIに対するIgE抗体は, ユスリカ族の各属のみならず, ユスリカ亜科ナガスネユスリカ族やエリユスリカ亜科の種のdimer Hbとも反応した。同様に, ユスリカ族のヤモンユスリカ(Polypedilum nubifer, PNf)のmonomer Hbの1成分MVに対するIgEは, ユスリカ族各属, ナガスネユスリカ族, エリユスリカ亜科のみならず, ユスリカ亜科とは分類学上遠縁のモンユスリカ亜科の種のmonomer Hbとさえ反応した。一方, CYのmonomer Hbの1成分MIに対するIgEは, Chironomus属の数種とこれに近縁なCamptochironomus属のmonomer Hbとのみ反応した。したがって, CY-DVIやPNf-MVのようなHbは, ユスリカアレルギー患者の検出に利用でき, CY-MIのようなHbは, 感作源となった種の推定に利用できる可能性があると考えられる。
  • 藤本 和義
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 2 号 p. 105-112
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2016/08/24
    ジャーナル フリー
    シュルツェマダニとタネガタマダニの産卵と発育を, 16℃から35℃までの種々の温度条件下で観察した。シュルツェマダニとタネガタマダニの産卵前期間は, ともに温度が低下するにつれて長くなったが, 両種を比較すると低温から中温(16℃から25℃)にかけてシュルツェマダニのほうがタネガタマダニより短かった。産卵に対する発育零点は, シュルツェマダニが, 2.9℃, タネガタマダニが, 5.6℃であった。タネガタマダニの卵のふ化率は16℃から32℃まで高かったが, シュルツェマダニは32℃で顕著に低かった。シュルツェマダニの卵期間は低温(16℃)でタネガタマダニより顕著に短かった。卵の発育に対する発育零点は, シュルツェマダニが2.2℃, タネガタマダニは7.4℃であった。タネガタマダニの飽血した幼虫と若虫は, 16℃から35℃までのすべての温度条件下で脱皮できたが, シュルツェマダニは35℃でまったく脱皮できなかった。シュルツェマダニの飽血した幼虫と若虫の発育期間は低温(16℃)で, タネガタマダニより顕著に短かった。シュルツェマダニの飽血した幼虫と若虫の発育に対する発育零点は, それぞれ-2.7℃, 6.0℃であった。一方, タネガタマダニのそれらは, それぞれ9.6℃, 13.5℃であった。以上の結果は, タネガタマダニよりシュルツェマダニのほうが, 冷涼な気候に適応していることを示唆するものと思われる。
  • 栗原 毅, 菊池 哲志, 山岡 和枝
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 2 号 p. 113-116
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2016/08/24
    ジャーナル フリー
    Plasmodium yoelii nigeriensis感染マウスを吸血したAnopheles stephensiを分離し産卵させ, 吸血後5,10,15日の各時点でケージテストに供した。マウスのいるケージに, 障害物である6mmメッシュの網を越して侵入する率, そして吸血した率を調べ, ただちに全供試蚊を解剖し, 侵入率と吸血率を感染・非感染蚊別に比較検討した。5,10日でのオーシストを保有する感染蚊は各29.5%, 36.5%で, これら感染蚊の侵入・吸血の率は非感染蚊に比べ有意に低率であった。しかし15日では感染率が49.6%であり, そのうちスポロゾイト保有蚊の侵入・吸血がともに54.5%に達した。しかしオーシスト保有蚊は10.0%, オーシストとスポロゾイト両方保有は侵入25.5%, 吸血13.9%, そのいずれも非保有(=非感染)の蚊は38.7%・32.7%で, スポロゾイト保有蚊は侵入・吸血ともこれらと有意な差で高率であった。オーシスト感染により蚊の行動は著しく衰退するが, スポロゾイトの保有にいたって蚊はオーシスト保有時の静止期から脱して行動力を復活させ, とくに吸血意欲を高める。このような行動の衰退と復活は, 本原虫の伝播には好都合であろう。
  • 杉山 悦朗, 高槻 覚, 田中 信
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 2 号 p. 117-120
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2016/08/24
    ジャーナル フリー
    We investigated statistically the cases of 85 patients with scabies who admitted to the outpatient clinic of the Dermatological Division, Shizuoka Red Cross Hospital, from 1981 to 1990. Of 85 patients 58 were male, the male-female ratio was 2.1 : 1. The teenager was the dominant age group. As to the seasonal change the number of patients was larger in autumn and winter than in spring and summer. The number of patients was maximum in November and minimum in June. Mites or eggs were found from 32(43%) out of 75 patients who received microscopic examination. About the half number of patients consulted us for the first time after 1 to 3 months duration of the illness. Mites or eggs were found easily in cases of more than 7 months duration of the illness. Intrafamilial transmission was found to be the main cause of scabies. The ratio of the scabies patients to all new patients from 1981 to 1990 was 0.247% in our hospital. This ratio was the smallest among the data of other dermatological clinics in Japan. The main reason was probably that the patients with scabies were not concentrated in our hospital, because there were many dermatological clinics in Shizuoka City.
  • 高橋 正和, 正野 俊夫, 梅原 利之
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 2 号 p. 121-123
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2016/08/24
    ジャーナル フリー
    Control efficacy of a pyridazinone derivative, NC-194,which is under development as a potent agricultural insecticide was evaluated against three kinds of house dust mites, Dermatophagoides farinae, Dermatophagoides pteronyssinus and Tyrophagus putrescentiae, by the medium mixing method. NC-194 is very effective against Dermatophagoides mites and suppressed more than 90% of the population growth of D. farinae and D. pteronyssinus at a concentration of 25ppm during 4 weeks. The chemical showed 95.4% suppression of the population growth against T. putrescentiae at the dose of 50ppm 2 weeks after the treatment.
  • 初鹿 了, 三好 薫
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 2 号 p. 125-127
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2016/08/24
    ジャーナル フリー
    From July 1984 to October 1990,the mite faunas were studied in the house-dust from the residences of 61 patients (17 males and 44 females) with suspected acarine dermatitis. The human infestation of mites occurred most frequently in June to November every year. The highest incidence was observed in females (65.6%) between teens and fifties. Eighteen species in 10 families were found in 47 (77.0%) out of 61 cases, and dominant species were Dermatophagoides farinae (49.2%), D. pteronyssinus (29.5%), Haplochthonius simplex (26.2%), Chelacaropsis moorei (23.0%), Cosmochthonius reticulatus (19.7%), and others. In 25 cases (41.0%), 5 biting mite families such as Cheyletidae (20 cases), Laelapidae (6 cases), Dermanyssidae (4 cases), Ornithonyssus bacoti (2 cases) and Pyemotidae (1 case) were found.
  • 原稿種別: 表紙
    1992 年 43 巻 2 号 p. Cover8-
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2016/08/24
    ジャーナル フリー
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