Methoprene製剤であるAltosid 10Fと, 有機リン剤(dichlorvos 2%+fenthion 3%混合乳剤)をおのおの蚊幼虫を防除するに十分な濃度で野外水路に処理し, そこに生息する標的外水生動物におよぼす影響を比較調査した。その結果, Altosid 10Fを処理した水路では, 2週間後に処理前と比較してショクガバエ科(Syrphidae)幼虫, ミズムシAsellus hilgendorfii, フタバカゲロウCloeon dipterumおよびユスリカ科(Chironomidae)幼虫の密度低下がみられた。しかし, これらのうちショクガバエ科幼虫以外の水生動物は, 処理後も生息し続けていた。一方, 有機リン剤処理区では, 処理後1週間目でユスリカ幼虫を除く, 魚類をはじめ水生動物がほとんど採集されなかった。次に, 水路で普通にみられるミズムシおよびサカマキガイに対するmethopreneならびに数種殺虫剤に対する急性毒性試験を行ったところ, サカマキガイについてのLC_<50>値はfenitrothion, dichlorvos, diazinon, およびmethopreneでそれぞれ1.9,1.9,2.5,および10.6ppmであり, ミズムシ幼虫に対するLC_<50>値はfenitrothion, dichlorvos, diazinon, methopreneおよびfenthionで, おのおの0.018,0.035,0.25,0.30および0.65ppmであった。
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