日本組織適合性学会誌
Online ISSN : 2187-4239
Print ISSN : 2186-9995
ISSN-L : 2186-9995
10 巻, 1 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
原著論文
  • 清水 まり恵, 柏瀬 貢一, 田中 秀則, 植木 純一, 峯元 睦子, 市原 孝浩, 菅原 直子, 栗田 裕子, 中島 文明, 中村 淳子, ...
    2003 年 10 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 2003年
    公開日: 2017/03/30
    ジャーナル フリー

    我々は日常, HLA-A, B, C検査に血清学的検査法とDNAタイピング法を, HLA-DRB1検査にDNAタイピング法をそれぞれ実施している. DNAタイピング法としてはPCR-microtiter plate hybridization(PCR-MPH)法とPCR-single-strand conformation polymorphism(PCR-SSCP)法を通常用いている. これらのタイピングで, HLA抗原型またはHLAアリルが確定できなかった場合に, sequencing based typing(SBT)法によりHLAアリルの確認を行なっている. SBT法で新対立遺伝子を含むヘテロ接合体が検出された場合は, 新対立遺伝子を含む一方の染色体の遺伝子領域を増幅し, その塩基配列の決定を行なった. それらのアリルのうち, 7種類がWHO HLA命名委員会によりそれぞれ公認, 命名された(A*0259, A*020107, B*5609, B*5131, B*5205, DRB1*1444, DRB1*1445). A*0259は, A*020101と比較して第2エクソンに位置する塩基125のGがAに置換することにより, コドン18のGlyがSerに変異していた.

  • 吉川 枝里, 宮原 詞子, 成瀬 妙子, 島田 和典, 東 史啓, 原 啓高, 猪子 英俊
    2003 年 10 巻 1 号 p. 21-31
    発行日: 2003年
    公開日: 2017/03/30
    ジャーナル フリー

    蛍光ビーズを用いたLuminex法は, 簡便, 正確かつ短時間で多検体処理が可能(high-throughput)な新しい遺伝子多型判別法である. このLuminex法を用いて, HLA-A, HLA-BおよびHLA-DRB1遺伝子に関して, 日本人を対象とする4桁DNAタイピングを検討した. HLA-Aで33種類, HLA-Bで46種類, HLA-DRB1で44種類のプローブを1ウェルに混合し, 日本人集団で遺伝子頻度が0. 1%以上みられる対立遺伝子(allele)が4桁レベルで判別可能な方法を構築した. 遺伝子型が既知の138検体で検討した結果, HLA-AとHLA-Bで各々1検体, 増幅不良による判定不能があったもの以外は4桁の判定が可能であった. 本法は, HLA-AとHLA-Bについて1ウェル, HLA-DRB1について1ウェルの, 計2ウェルでタイピングが可能な, 迅速な方法であり, 計47検体について約5時間でHLA-A, -Bおよび-DRB1遺伝子の4桁レベルのタイピングが1名の検査員で行える. 特に, 大量検体を短時間で行うHLA検査方法として有用であると考えられる.

総説
  • 千田 昇平, Daniel E. Geraghty
    2003 年 10 巻 1 号 p. 33-44
    発行日: 2003年
    公開日: 2017/03/30
    ジャーナル フリー

    Natural Killer(NK)細胞は, 腫瘍による形質転換やウイルス感染などによる, あらゆるストレスに曝されたアブノーマルな細胞を認識し, 傷害することができる, リンパ系エフェクター細胞の一種である. キラーT細胞と標的細胞の関係のように1対1の対応性は持たず, 1個のNK細胞が数種類の異なった標的細胞を傷害できることが一つの特徴である. NK細胞は通常の免疫応答(T細胞/抗原提示細胞を介した系)に先駆けてより早い段階で免疫応答を引き起こし, サイトカインやモノカインを放出することによって免疫機構に寄与する(1, 2). NK細胞はその細胞表面に活性化シグナルを伝える受容体(activating receptor)と抑制化シグナルを伝える受容体(inhibitory receptor)を発現しており, それらの種類, 数は多岐に渡っている. NK細胞のエフェクター細胞としての機能はこれら活性化/抑制化受容体を通じた, 細胞内への"正と負のシグナルのバランス"によって決められる(3-5).

feedback
Top