日本組織適合性学会誌
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18 巻, 1 号
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総説
  • 佐治 博夫
    2011 年 18 巻 1 号 p. 31-46
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/03/30
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    HLAの発見とその後の進展は血清学に負うところが大きい. 抗血清とデータの交換と国際ワークショップによるデータ解析により, HLAの全容が明らかにされた歴史がある. そのころのHLA血清学はHLA抗原決定が主目的であり, そのために抗体(抗血清)の収集と特異性の解析が行われた. HLAが遺伝子タイピングで行われるようになると, わが国のHLA血清学は衰退の危機に瀕した. 臓器移植の直接クロスマッチなどに継承されたが, 移植の症例数は諸外国の10〜100分の一であり, まさに細々と受け継がれた感がある. 当時の造血幹細胞移植はHLA一致が前提であったため, 血清学的クロスマッチは行われなかった. 抗血清収集で得られたHLA血清学の経験値(HLAアロ抗体の特性)は貴重で, それを次世代へ伝える努力がいま求められている. 近年になってHLA血清学のルネッサンスがはじまった. Terasaki1)によって臓器移植の超急性拒絶から急性拒絶と慢性拒絶に至るすべてにHLA抗体が関わることが明らかされた.

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