日本組織適合性学会誌
Online ISSN : 2187-4239
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20 巻, 3 号
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総説
  • 弓場 英司
    2013 年 20 巻 3 号 p. 181-189
    発行日: 2013/12/20
    公開日: 2013/12/27
    ジャーナル フリー
    がん免疫治療の達成には,樹状細胞のサイトゾルに抗原を導入し,抗原特異的な細胞性免疫を誘導できるキャリアが必要である。我々はこれまで,線状もしくは多分岐状の3- メチルグルタリル化ポリグリシドール(それぞれMGlu-LPG,MGlu-HPG)を固定化したリポソームによるサイトゾルデリバリーについて検討してきた。本稿では,pH 応答性ポリマーを固定化したリポソームによる抗原のサイトゾルデリバリーと,がん免疫治療への応用について検討を行った。MGlu-LPG もしくはMGlu-HPG 修飾リポソームは,樹状細胞のサイトゾルにモデル抗原オボアルブミン(OVA)を効率良く導入し,MHC クラスI を介した抗原提示を誘導した。これらのリポソームをマウスに皮下投与すると,抗原特異的な細胞性免疫が誘導され,抗原を発現したがん細胞のみが担がんマウスから排除された。したがって,pH 応答性ポリマー修飾リポソームはがん免疫治療のための抗原キャリアとして有用である。
  • Jianbo An, Akinori Kimura
    2013 年 20 巻 3 号 p. 191-197
    発行日: 2013/12/20
    公開日: 2013/12/27
    ジャーナル フリー
    HLA 領域には免疫にかかわる多数の遺伝子が存在するが,抗原提示において重要な役割を果たすHLA クラスI およびクラスII 遺伝子群以外の遺伝子も免疫制御に関わると考えられる。なかでも,HLA クラスIII 領域内にマップされるIKBL(NFKBIL1)遺伝子は,その多型自己免疫疾患や慢性炎症疾患などの疾患感受性と関連することが知られている遺伝子であるが,その機能は不明であった。最近我々は,IKBL がコードするIκBL タンパクがヒト免疫関連遺伝子やインフルエンザウイルス遺伝子の選択的スプライシングを制御することを明らかにしたが,この知見はHLA 領域による免疫と感染の制御する機構として新たな視点をもたらすものである。本総説では,IKBL 研究に関する最近の動向を紹介する。
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