日本組織適合性学会誌
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28 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
2021年度認定 HLA 検査技術者講習会テキスト
  • 成瀬 妙子
    2021 年 28 巻 2 号 p. 77-82
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/11
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    The HLA Technologist and Director Certification System for Histocompatibility Testing of the Japanese Society for Histocompatibility and Immunogenetics (JSHI) offers various programs and training opportunities for the members to be certified as the expert. Here we will make comment on difficult questions in the paper test to help your study.

  • 東 史啓
    2021 年 28 巻 2 号 p. 83-93
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/11
    ジャーナル フリー

    HLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球抗原)はその豊富な多型性からヒトゲノム多様性の研究対象となるだけでなく,自己非自己認識の根幹としての機能から,免疫学的研究でも重要な位置を占める。さらにドナーと患者の適合性は移植や一部の血小板輸血において大きな影響を与えるため,適合度を評価するためのHLAタイピングは臨床上も重要な技術である。かつてタイピングは血清学的手法で行われてきたが,分子生物学的理解が進んだ現在はHLA遺伝子の塩基配列から遺伝子型(アレル)を決定する「DNAタイピング」が主流となっている。現在までに多くのDNAタイピング法が開発,試薬キット化されて身近な技術となったが,非発現変異による血清学との乖離や,アレルを確定できないambiguityの存在といった課題は完全には解消されていない。一方,HLAタイピングは移植や輸血だけでなく,免疫療法分野でのワクチン選択や薬剤副作用の予防といった目的でも用いられていることから,今後さらに重要性が増す技術であり,更なる発展が期待される。

  • 大段 秀樹
    2021 年 28 巻 2 号 p. 94-101
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/11
    ジャーナル フリー

    画一的な免疫抑制療法では拒絶や感染症の発症リスクが懸念される免疫学的高リスク症例を,免疫機能分子のゲノム情報を基盤として抽出し,免疫モニタリングによって重点的に個別化免疫抑制療法を適用することが現実的である。そこで,臓器移植成績に関連する免疫関連分子の候補遺伝子多型を包括的に解析した。その中で,レシピエントのFcγR遺伝子FCGR2A(rs 1801274)[131 H/R]とFCGR3A(rs396991)[158 F/V]の一塩基多型(SNP)が,肝移植患者の敗血症及び腎移植患者の尿路感染症の発症と起因菌に有意に関連すること,そして,FOXP3プロモーター領域(rs3761547)[33499 A/G]のSNPが,肝移植レシピエントは,急性拒絶反応の治療として行われるステロイドパルス療法に感受性に関連することなどを報告して来た。危険因子を持つレシピエントに対し,必要最小限の免疫抑制療法を実践する目的で,carboxyfluorescein diacetate succinimidyl ester(CFSE)細胞質染色とマルチパラメーターフローサイトメトリーを応用したmixed lymphocyte reaction assayを施行し,免疫モニタリングに基づくfine tuningにより免疫抑制薬の投与量の最適化に努めている。

総説
  • 鈴木 進悟, 亀谷 美恵, 椎名 隆
    2021 年 28 巻 2 号 p. 102-110
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/11
    ジャーナル フリー

    HLA-G(Human leukocyte antigen G)遺伝子は古典的HLA遺伝子と比較して多型性に乏しく,局所的な細胞に発現を示すことから非古典的HLAクラスI遺伝子の一つに分類されている。この遺伝子より発現するHLA-G分子は,免疫寛容を誘導する免疫チェックポイント分子として,妊娠免疫,臓器移植の際の免疫応答の抑制,腫瘍やウイルスの宿主免疫系からの逃避,自己免疫疾患などに関与する。近年,HLA-G遺伝子の3’UTR(3’ untranslated region)に位置する14 bp(base pair)の挿入/欠失多型(rs66554220)やSNP(Single nucleotide polymorphism)(rs1063320)が急性移植片対宿主病の発症リスクや移植後の生存期間と関連することが報告されているが,それらの多型部位はHLAアレルの公的データベースであるIPD-IMGT/HLA(Immuno Polymorphism Database-International ImMunoGeneTics project/HLA)から公開されているアレル塩基配列の範囲に含まれていない。そこで筆者らは,それらの多型部位を含めたHLA-G遺伝子の多型性を明確にするために,プロモーター領域から3’UTRの多型部位までの遺伝子領域を含むHLA-G全遺伝子領域をロングリードシークエンサーにより再解析し,新たに22種類のHLA-Gアレルを日本人集団で決定した。本稿では,HLA-G遺伝子の構造,発現および多型性を概説すると共に,筆者らが決定したHLA-Gアレル塩基配列の特徴について紹介した。

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