日本微生物資源学会誌
Online ISSN : 2759-2006
Print ISSN : 1342-4041
22 巻, 1 号
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原著
  • 後藤 慶一, 餅田 薫, 加藤 裕子, 浅原 未佳, 小沢 千栄子, 笠井 宏朗, 横田 明
    2006 年22 巻1 号 p. 1-14
    発行日: 2006年
    公開日: 2026/03/26
    ジャーナル フリー

    様々な清涼飲料およびその原料に関する微生物調査の一環として,総計180菌株の中度好熱性,好酸性有胞子細菌を幾つかの検体より分離した.これらの菌株から形態および16S rRNA遺伝子の高度多様性領域の差違に基づき7菌株を選抜し,多相分類学的な試験を行った結果,それぞれ A. acidocaldarius,A. acidoterrestris および Alicyclobacillus genomic species 1と同定された.これら7菌株の菌体脂肪酸組成,キノン分子種およびDNAの塩基組成はそれぞれの基準・標準株と類似する一方,生理・生化学的性状には多くの相違(多様性)が認められた.さらに,16S rRNAおよび gyrB 遺伝子塩基配列の分子系統解析の結果,菌株によっては両分子系統樹間で系統の不一致が認められた.リボタイプ解析の結果もまた遺伝的な不均質性を支持した.以上の結果,Alicyclobacillus 属細菌における表現形質および遺伝子型は種内で高い多様性を示すことが示唆された.併せて,得られた試験結果に基づき,A. acidocaldarius の定義修正に関する記載を行った.

  • 宮崎 正浩
    2006 年22 巻1 号 p. 15-19
    発行日: 2006年
    公開日: 2026/03/26
    ジャーナル フリー

    生物多様性が豊かな生態系には、新規の医薬品、化学品等の開発につながる未知の微生物が存在している可能性がある。しかし、このような微生物資源の経済価値の評価方法が確立していないため、1993年に発効した生物多様性条約(CBD) を実施する文脈において、微生物資源へのアクセスと利益配分に関する合意形成が容易ではない原因の一つとなっている。

    本研究では、微生物資源を対象とし、その利用については規模が大きい医薬品の開発に焦点を当て、微生物資源を医薬品探索スクリーニング材料として用いる場合の経済価値の評価を試みた。それによると、製薬企業から得る初期の支払額に医薬品の開発に成功した場合に期待されるロイヤリティ収入を加えた1株あたりの微生物の経済価値は、その質と付加情報によるがUS$2-60と算出された。

    以上の結果、原産国が微生物資源の利用からより多くの利益配分を得るためには、例えば原産国において微生物資源を解析し付加価値情報を付ける能力を高めることが有効と考えられ、CBDに基づく生物遺伝資源利用者との利益配分の契約においては、これを可能とする能力構築等の非金銭的な利益配分を重視すべきであると結論した。

  • 細谷 隆一, 横山 洋子, 浜名 康栄, 伊藤 隆
    2006 年22 巻1 号 p. 21-33
    発行日: 2006年
    公開日: 2026/03/26
    ジャーナル フリー

    ポリアミンが未分析であった真正細菌51種(13門)についてポリアミンをHPLCにより分析し,化学分類マーカーとしてのポリアミン構成を考察した.Acidobacteria 門,Chloroflexi 門,Chlorobi 門では主ポリアミンとしてホモスペルミジンかノルスペルミジンを含有していた.Nitrospirae 門では,NitrospiraLeptospirillum がスペルミジンを,好熱性 Thermodesulfovibrio がスペルミジンに加え,ノルスペルミジン,ノルスペルミン,スペルミン,カダベリン,ホモカルドペンタアミンを有していた.Chrysiogenetes 門は現在1種のみであるが,スペルミジンを含有していた.Deferribacteres 門ではカダベリン,スペルミジン,スペルミンを含有し,Fibrobacteres 門はスペルミジンを有していた.Fusobacteria 門では全6種においてスペルミジン,スペルミンが検出された.Gemmatimonadetes 門はホモスペルミジンを含有した.Planctomycetes 門では1種を除き主ポリアミンはホモスペルミジンであった.Verrucomicrobia 門ではスペルミジンを有していた.Firmicutes 門では Clostridiales 目で低濃度のカダベリン,スペルミジン,スペルミン,アグマチンを有し,好熱性 Heliobacterium はスペルミンが高濃度であった.Halanaerobiales 目ではすべての種でスペルミジンとスペルミンを含有していた.Bacillales 目,Lactobacillales 目では,ホモスペルミジンやスペルミンは検出されず,スペルミジンとアグマチンの存在に科や属間の差が認められた.Actinobacteria 門では,Rubrobacterales 目,Conexibacteriales 目,Actinomycetales目でポリアミンを検出せず,好熱性 Thermoleophilum が例外として分岐4級ペンタアミンを含有した.トリアミンのスペルミジン,ノルスペルミジン,ホモスペルミジン,のいずれかの存在が網や目レベルでの系統分類と対応していた.分析した菌群には好熱菌,好冷菌,好塩菌,好酸菌,好アルカリ菌を含んでおり,テトラアミン(スペルミン)の含量とペンタアミンの存在は好熱性と相関している場合が多く,好冷性,好塩性,好酸性,好アルカリ性はポリアミン構成に影響を与えているようには思われなかった.

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