生物多様性が豊かな生態系には、新規の医薬品、化学品等の開発につながる未知の微生物が存在している可能性がある。しかし、このような微生物資源の経済価値の評価方法が確立していないため、1993年に発効した生物多様性条約(CBD) を実施する文脈において、微生物資源へのアクセスと利益配分に関する合意形成が容易ではない原因の一つとなっている。
本研究では、微生物資源を対象とし、その利用については規模が大きい医薬品の開発に焦点を当て、微生物資源を医薬品探索スクリーニング材料として用いる場合の経済価値の評価を試みた。それによると、製薬企業から得る初期の支払額に医薬品の開発に成功した場合に期待されるロイヤリティ収入を加えた1株あたりの微生物の経済価値は、その質と付加情報によるがUS$2-60と算出された。
以上の結果、原産国が微生物資源の利用からより多くの利益配分を得るためには、例えば原産国において微生物資源を解析し付加価値情報を付ける能力を高めることが有効と考えられ、CBDに基づく生物遺伝資源利用者との利益配分の契約においては、これを可能とする能力構築等の非金銭的な利益配分を重視すべきであると結論した。
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