日本微生物資源学会誌
Online ISSN : 2759-2006
Print ISSN : 1342-4041
33 巻, 1 号
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原著論文
  • ─ジアミノヘキサン,ペンタアミンおよびヘキサアミンの分布─
    浜名 康栄, 小林 正樹, 古地 壯光, 林 秀謙, 新津 勝
    2017 年 33 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2017年
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー

    大型海産褐藻類の16種(ヒバマタ,アルギット,アカモク,ヒジキ,マコンブ,カゴメコンブ,ワカメ,ヒロメ,カジメ,クロメ,アラメ,ツルモ,モズク,オキナワモズク,マツモ,ハバノリ)を市場より入手し,過塩素酸抽出後のポリアミン濃縮画分を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)と高性能ガスクロマトグラフィー・質量分析(HPGC-MS)にて分析し,藻体湿重量あたりのモル濃度を算出した.12種において,ジアミノプロパン,プトレッシン,カダベリン,スペルミジン,ノルスペルミジン,ホモスペルミジン,スペルミン,ノルスペルミン,サーモスペルミン,アグマチンに加えて,生物試料では初めての長鎖ジアミンである1,6-ジアミノヘキサンを検出した.全16種がカルドペンタミンとホモカルドペンタミンを含有していた.数種がサーモペンタミンやカルドヘキサミンをも有していた.褐藻類は,多細胞性(大型)の海産紅藻類や海産緑藻類に比べて,長直鎖型ポリアミンに富んでいる.

  • 佐藤 豊三, 加賀 秋人, 古屋 成人, 土屋 健一, 大貫 正俊
    2017 年 33 巻 1 号 p. 9-18
    発行日: 2017年
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー

    国内で記録のあるダイズ祖先種のツルマメの病原菌5種は,すべてダイズの病原菌と共通種である.本研究では全国的なツルマメの寄生菌類相を把握し,ダイズの病原菌との共通種を調べるため,2014年,各地のツルマメの病変部から菌類の検出と分離・同定を試みた.その結果,50種を同定し,そのうち42種はツルマメが新たな宿主であることを明らかにした.また,24種は国内外で知られているダイズの病原菌や着生菌の共通種であった.さらに,そのうちCercospora kikuchii, Cer. sojina, Colletotrichum destructivum, Corynespora cassiicola, Epicoccum nigrum, Gibberella avenacea, Fusarium sp.(the F. oxysporum species complex), OidiumPseudoidium)sp., Peronospora manshurica, Phakopsora pachyrhizi, Phytophthora cryptogea, Phy. sojae, Septoria glycines, Thanatephorus cucumeris(AG-1 1A)の14 種は国内で報告されている共通種であり,それ以外の共通種は Alternaria alternata, Botrytis cinerea, Curvularia intermedia, Cur. lunata, Fusarium fujikuroi, Fusarium sp. (the F. graminearum species complex), Gibberella acuminata, G. intricans, Paramyrothecium roridum, Pseudopithomyces chartarum の10 種であった.複数の県で得られたCol. destructivum(炭疽病菌),Per. manshurica(べと病菌),Pha. pachyrhizi(さび病菌)だけでなく,単一の県でのみ採集された Cor. cassiicola(褐色輪紋病菌),Phy. sojae (茎疫病菌),S. glycines(褐紋病菌),T. cucumeris(葉腐病菌)等はダイズの重要病原菌であり,ツルマメが感染源となり被害を及ぼしうるため,注意を要する.以上より,ツルマメは多くのダイズ病原菌類の温床になる可能性が示唆された.

技術報告
  • 三谷 英李, 中山 史葉, 松脇 いずみ, 市 育代, 川端 篤志, 河地 正伸, 加藤 美砂子
    2017 年 33 巻 1 号 p. 19-29
    発行日: 2017年
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー

    表現型的マーカーとしての高度不飽和脂肪酸の有無について調査するために,国立環境研究所(NIES)の藻類コレクショ ンから,不等毛植物門,クリプト植物門,ハプト植物門について,合計 235 株の脂肪酸分析を行った.エイコサペンタエン 酸(EPA,20:5)は分析した 119 株において,総脂肪酸の 10% 以上を占めていた. ドコサヘキサエン酸(DHA, 22:6)は16 株のハプト植物と未同定の2 株のペラゴ藻綱(不等毛植物門)において,総脂肪酸の10% 以上を占めていた.黄金色藻綱やペラゴ藻綱以外の不等毛植物の株やクリプト植物の株では,一般にDHAよりもEPAのほうが,多く含まれていた.近年新しく設立され,本研究で初めて脂肪酸分析が行われたアウレアレナ藻綱,ペラゴ藻綱,シゾクラディア藻綱を含む11 綱の不等毛植物を調査した結果,多様な脂肪酸組成プロファイルが明らかになったものの,表現型として分類群を特徴づけるよう な明瞭な結果は確認されなかった.

  • 田中 尚人, 宮崎 智, 鈴木 智典, 冨田 理, 梶川 揚申, 内野 昌孝, 五十君 靜信, 岡田 早苗
    2017 年 33 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 2017年
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー

    東京農業大学菌株保存室(NRIC)は独自に分離した多くの乳酸菌株を有する.これら菌株に付加価値を付与し,応用利用 に展開させるための有用な菌株情報の充実化とそのデータベース化および検索システムの開発を行った.供試菌株は食品へ 利用可能な条件を有する1,891 株を用い,プロバイオティクス特性や各種有用物質生産,糖類発酵能などのデータを実験により収集した.試験項目は81項目であり,各項目のデータは質的データや量的データである.検索システムは完全一致方式と し,量的データはデータに基づく性状の優劣を記号で表現した質的データに変換し,ユーザーが直感的に検索できるような 仕組みを構築した.本検索システムはホームページに公開し,保存菌株からユーザーが求める機能性乳酸菌株を選抜するこ とを可能にした.

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