藻類のポリアミン成分構成をカタログ化するため,灰色藻植物,緑藻植物,紅藻植物の細胞内ポリアミン分析に引き続き,緑藻または紅藻の二次共生やその後の三次共生により進化した全7藻類グループと,これらと系統的に関連する3原虫様グループと2菌類様グループの細胞内ポリアミンを分析した.これらに属し,新規に分析対象とした44生物種から酸抽出したポリアミン画分を高性能液体クロマトグラフィーと高性能ガスクロマトグラフィー・質量分析により追加分析した.生物種は,国内の公的保存機関の MCC-NIES,NBRC,KU-MACC および民間培養機関の DBT より提供された後に大量培養するか,国内の市場および自然界より収集した.新規に追加できたクロララクニオン藻類,ユーグレナ藻類,ハプト藻類,クリプト藻類,渦鞭毛藻類,クロメラ藻類,不等毛藻類,およびクロララクニオン藻類と近縁のリザリア類である原虫様ケルコモナス類,インブリカテア類,ネコブカピ類,および不等毛藻類と近縁な無色ストラメノパイル類である菌類様ラビリンチュラ類と卵菌類のポリアミン分析データと,すでに分析済みの65関連生物種のポリアミン構成とも比較し,これらの生物群のポリアミン成分構成のデータベースの最終報告とした.ジアミノヘキサンを含むジアミン類の存在,ノルスペルミジン,スペルミジン,ホモスペルミジン,ノルスペルミン,スペルミン,サーモスペルミンなどの構成差,長鎖ペンタアミン類とヘキサアミン類の含有,についての各グループのポリアミン構成の特徴に系統分類関係や共生関係が反映されているのかを考察した.また,数種に,メチル化ポリアミンと水酸化ポリアミンが微量検出された.
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