ミルクサイエンス
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47 巻 , 2 号
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総説
原報
  • ─チーズおよび生乳中のGeotrichum candidumの形態学的特徴と芳香生成─
    河合 恒彦, 上田 千佳子, 中澤 勇二
    1998 年 47 巻 2 号 p. 91-100
    発行日: 1998年
    公開日: 2015/10/31
    ジャーナル フリー
     1. 酵母Geotrichum candidumと類推される菌株 (Ga, Gb, Gd, Gh, Gi, Gk, Go, Gy) をフランス国各地および日本産チーズと生乳より単離し, これらの形態学的特徴と培養特性を調べた。標準菌株としては市販のGeotrichum candidum (Geo) を用いた。その結果各種の培地および培養方法による形態学的相違から, これらの菌株を三つのタイプに分けることができた。
     2. PDA培地での平板培養の形態学的特徴から菌株は三つに分けられた。Geo, Gh, Gi, Goの葉状体は白いクリーム色で幾分フェルト状を示した。分生子の形成は少なく, 液体培地で培養したGkに比べて菌糸体を多く造った。毛足は長い (タイプ1)。Ga, Gb, Gd, Gyはタイプ1とタイプ3の中間型である (タイプ2)。Gkの葉状体は白色で酵母様を示した。分生子と分節型分生子を豊富に造るが菌糸体は少ししか造らなかった。葉状体の毛足は短い (タイプ3)。Gdはクライオユニット付き走査型電子顕微鏡で観察した。
     3. ガスクロマトグラフ質量分析器で得た各菌株の芳香成分クロマトグラムを比較し, 菌株の相同性を推定した結果, 近似のクロマトグラムを示したのはGeo, GdとGiであった。このことは, 3菌株に共通した代謝系が存在することを推測させた。Gdの芳香成分としてアセトアルデヒド, エタノール, 酢酸エチル, イソブチルアルコール, エチルアセトン, イソアミルアルコール, 活性アミルアルコール, フェニールアセトアルデヒド, フェニールエチルアルコールを同定した。
     4. Gkの発する芳香について香料標品のクロマトグラムと比較したところ, リンゴ様芳香を産生していると推定された。Gkの芳香成分は, Gdでの成分以外にプロピオン酸メチルエチル, 吉草酸エチル, 吉草酸-2-メチルエチル, 吉草酸-3-メチルエチル, 酢酸ブチルメチル, α-メチルイソクロトン酸, チグリン酸, ヒドロキシメチル吉草酸エチル, 酢酸フェニールエチルを同定した。
     5. Gd, Gi, GkとGhを用い, 大阪府立農芸高等学校乳加工場および家庭でカマンベールチーズとシャウルスチーズを製造し, チーズの品質におよぼす影響を比較した.また, 官能試験もおこなった。その結果, Gdの方がGiやGkに比べ, 風味や組織に優れた品質を与えることが判明した。Gkはリンゴ様芳香を与えた。Ghは植菌量の幅が大きく, シャウルスチーズ用に適していた。菌株Gdはカマンベールチーズ製造に最も有用な菌株であることが明らかとなった。
  • 橋本 英夫, 大根田 啓二, 中村 昇二, 細野 明義
    1998 年 47 巻 2 号 p. 101-110
    発行日: 1998年
    公開日: 2015/10/31
    ジャーナル フリー
     世界各地の発酵乳から分離した乳酸菌株(15菌種,194株)の中からTrp-P1に対する抗変異原性が高く, かつヨーグルトミックス-I(ショ糖6%, 大豆ペプチド1%を含む10%還元脱脂乳)における増殖性, 風味形成性,生酸性に優れた株を選別した。その結果,No. 22 (Lc. lactis subsp. cremoris R-14), No. 136 (Lc. lactis subsp. cremoris 80), No. 138 (Lc. lactis subsp. cremoris 111), No. 173 (Lc. lactis subsp. lactis 12), No. 27 (Lb. casei subsp. casei R-12), No. 119 (Lb. casei subsp. casei 26)の6株がTrp-P1に対し高い抗変異原性をもち, かつスターターとしても良好な株として選別された。
     これら6 株のうち, 特にNo. 136株はTrp-P1のみならずMelQなどにも高い抗変異原性を示したことから,この株をヨーグルトミックス-II(牛乳に脱脂粉乳とクリームを適量加え, 無脂固形分9.5%, 乳脂肪3.5%に調整したもの)に接種し, 35℃で単独培養またはLb. delbrueckii subsp. bulgarics B-5bとSt. thermophilus 510との混合培養を試みた。その結果,単独培養に比べ混合培養した場合の発酵時間は著しく短縮され,Trp-P1に対する抗変異原性も高く維持していた。
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